黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 16

鏡面の被写体は
シルバーペーパーを床背景に使う

全体が鏡面の鍋の撮影。
周囲の映り込みを防ぐために両サイドに乳白アクリルのディフューザーをセットして、
その間からレンズを出して撮影をします。

床面も鍋に映り込みますが、通常の白ペーパーだと

両サイドのディフューザーの映り込み(ハイライト)よりも、
床面の映り込みが暗くなってしまうため、
反射率が高いシルバーペーパーを使ってハイライトの明るさを揃え、
境界を馴染ませます。

またハイライトをつなげるためには、

左右のディフューザーを撮影台下まで垂らすことも重要です。

シルバーペーパーの場合、ペーパーにも被写体が映り込んでしまうため、

影イキの写真に仕上げる場合、白ペーパーで撮影した影のみを合成します。
完成カット。作例では鍋の前に野菜を置いて、映り込ませている。
シルバーペーパーで撮影後、鍋部分を切り抜き、白ペーパーで撮影した影と合成。

ライト❶❷❸❹は乳白アクリル越しに左右から打って、鍋にハイライトを入れる。
❺は背景を飛ばすためのライトアクリルボードの後ろから。
❻は斜め上より、柄の部分のハイライト用。

ポイント
床背景を反射率の高いシルバーペーパーにして、左右のハイライトと床面の
映り込み(ハイライト)の明るさを、ライト❶❷❸❹の距離と高さを調整。
ハイライトの境界線を馴染ませる。

左右のディフューザーは撮影台下まで垂らす。

撮影台手前を斜めにカットすると、左右のディフューザーの間を
狭くできる(鏡面被写体のセンターに入る黒の幅を狭めることができる)



五條製紙のスペシャリティーズペーパー

五條製紙のスペシャリティーズペーパーは、メタリック、パール調などに
加工をされた特殊紙で、パッケージなどに使われるが、
様々な種類があり撮影でも利用できる。

上の鍋の撮影では明るめのシルバー「No319-1」(12μダルペットシルバー)を使用。

下の時計の作例は、暗めのシルバー艶ありの「No381」(特殊蒸着PET)を
使用して被写体を映り込ませ、画像編集で背景全体を暗くしている。

五條製紙:https://www.gojo.co.jp/










黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714


黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア

コマーシャル・フォト 2024年10月号

■特集「令和の時代に、フィルムで写真を撮るということ。」
写真家・石田真澄がフィルムを使い、ハウススタジオやフェリー、海辺で自然体の齋藤飛鳥を11Pにわたって撮り下ろした。また、これまで石田が積み重ねてきた仕事の数々から一部を抜粋して紹介する。

また、中森 真、大野隼男、木村和平、竹中祥平、三部正博という5人のフォトグラファーがフィルムを使って撮影した仕事例、作品を紹介。フィルム撮影に関する考え、使用機材やよく利用する現像所などを伺った。

■連載「撮影を楽しむスペシャリストたち」
写真業界には数多くの撮影ジャンルがあり、それぞれの分野で活躍するスペシャリストたちがいる。この連載では、フォトグラファー中野敬久氏が毎回気になるスペシャリストにインタビューを行ない、その分野ならでは魅力や、撮影への向き合い方を聞くことで、“撮影を楽しむ”ためのヒントを探っていく。今回のゲストは新津保建秀氏。

■連載「GLAY CREATIVE COLLECTION 2024- VOL.03」
GLAY 30年間のクリエイティブを網羅した書籍「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」が好評につき連載化!今回紹介するのは9月18日発売の「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME Blu-ray & DVD」のアートワーク。アートディレクターの吉野晋弥氏、フォトグラファーの岡田祐介・田辺佳子氏に取材した。