CINEMA EOS SYSTEM

EOS C300制作事例「タカラスタンダード システムキッチン テレビCM」

CINEMA EOSの第1弾として華々しく登場したデジタルシネマカメラ、キヤノンEOS C300。徐々に実際に仕事で使われるケースも増えてきた。そこで、タカラスタンダードのCM現場に潜入し、そのポテンシャルを探る。

タカラスタンダード システムキッチン Helloホーロー編

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写真上:朝のシーン、左下:昼のシーン、右下:夜のシーン。それぞれの光の特長をとらえて演出した。
※このCMはタカラスタンダードのWebサイトで見ることができます。http://www.takara-standard.co.jp/cm/

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企画制作=大広+創造 シニアCD=白瀧富士子 CD=羽木一成 Pl=石川奈津 D=河野貴行 チーフPr=石本良夫 Pr=柳本喜久晴 Dir=石崎晃代 P=尾道幸治 L=柴田亮 A=レフティデザイン 特殊機材=関西ロケーションサービス ST=鈴木ちあき HM=太田絢子 フードCrd=曼荼羅 MP=スパークス・松島孝幸 Cas=キャスティングウエスト PM=松尾保文

タカラスタンダードのシステムキッチンのある3家族の暮らしを描いたCM。朝・昼・夜をスタジオ撮影で変化をつけるのはCM撮影ではよくあるシチュエーションだ。それだけにそれぞれの光の特長をとらえた表現が求められる。そこで撮影機材にはキヤノンEOS C300(以下C300)のPLマウント(シネレンズ使用)が選ばれた。このカメラを選択し、使い方も熟知した撮影監督の尾道幸治氏に話を聞いた。

「今回は朝の家族、昼の家族、夜の家族と3つのシチュエーションをスタジオに作らなければなりませんでした。

従来のシネマカメラのLogは低コントラストの映像になるため、後から色をグレーディングして作っていくのが一般的ですが、Canon LogはトーンがあるLogなので、今回のように朝、昼、夜と3つのトーンを表現する撮影で、朝と昼のシーンはCanon Logの色をカスタムピクチャーで少しカスタマイズしました。今までC300を検証した経験などから、今回の撮影に関してはその方法にトライしました」。

Canon Logは従来のLogの発想とは違う

Canon Logは従来のLogとイメージが異なるというという声を聞くが尾道氏はどう使いこなしているのだろうか。

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「Canon Logは、従来のLogの発想とは違うというのを理解した上で使う必要があります。Logだと考えないでトーンだと思って使えばいいんじゃないでしょうか。Canon Logの面白さはすでに色が画にのっていてベーストーンがすごくいい。今回はベーストーンを主としてシチュエーションに合ったトーンを作りました。

3つのシチュエーションではカスタムピクチャーでCanon Logを少し調整してトーンを作った場合とCanon Logのまま撮影してグレーディングでトーンを作ったのと、2種類の使い方をしています。

前日の建て込み段階でMacBookProを現場に持ち込み、テスト撮影した素材をDavinci Resolveでグレーディングし、グレーディング後の素材を本番前に監督に見てもらい、トーンを確認しました。そのトーンをもとに朝と昼のシーンでは本体のカスタムピチャーをちょっとだけいじっています。

夜のシーンは商品の色味などもあってグレーディングでの後処理を見越して、カステムピクチャーはいじらずにCanon Logで撮影しています。最終的にすべてのシーンをPablo(カラーグレーディング編集システム)で調整しています。

C300はCFカード収録でMacBookProでも映像を扱えるのが助かります。夜のシーンでタングステンライトを使っていて、クライアントさんには最終的なトーンの仕上がりがわかりにくかったので、MacBookProに取り込んで『グレーディングでここまでのトーンに作り込めます』というのを理解してもらいました」。

尾道さんの感じるCanon Logの特長はどんなところだろう。

「人物のアップを撮った時に良さがはっきり出ますね。寄った時に肌の陰影がなくなってしまうシネマカメラもあるのですが、C300の場合は肌のグラデーションまで綺麗に表現されます。

また、自然光の柔らかい光のトーンをライティングで作り込むのは難しいんですね。ところがC300ならセンサー感度がいいので低照度で感度を上げても問題ない。柔らかい画も容易に作れるし、一方堅い画も得意。ただとにかく感度がいいので、そこだけちょっと気をつけてライティングすれば狙った表現ができると思います」。

そのほか、C300を使ってみてよかった点をあげてもらった。

「シーン数も多いので、2日かかるボリュームの撮影だったのですが、香盤通り1日で撮れました。今回PLマウントでシネレンズの撮影だったのですが、レンズが単玉オンリーでしたし、C300はボディが小さく、撮り回しが楽だったのでスムーズに撮影できました。感度がいいので大きなライティング設計をしなくていいのもありがたいですね。

基本的な感度設定はISO850で撮影しました。広い画でライティングを作った次の撮影でシンクを拭く寄りのシーンがあったのですが、どうしてもキーライトを人物が切ってしまうという状況で逆からライトでつくると嘘になってしまいます。そこで、そのシーンはキーライトが遮られるのですが若干のベースだけでISO1600まで上げて撮影して影の部分を補いました。感度を上げても綺麗なのはC300の絶対的な強みですね。また、モアレが出にくいというのも助かりました。

スタジオにレールを敷いてパンサーで横移動しながら撮影しましたが、ローリングシャッター現象もほぼありません。カメラの手前を子供が横切るシーンがあるんですけどまったく問題なかったです。僕としてはとても面白いカメラだと思います」。

img_products_cinemaeos01_07.jpg レールを敷いて移動撮影。小回りが効くのでカメラの移動方向はセットの建て込みが終わってから決めた。


C300が撮影の可能性を広げてくれる

石崎晃代(CMディレクター)


今回のタカラスタンダードのCMは3つの家族のキャラクター設定と、それに基づくライフスタイルを軸に企画を構成しています。


映像上の狙いとしては、子供のいる家族の朝の風景は逆光の中で人物とカメラの移動で一日の始まりを躍動的かつ印象的に見せる。シニア家族はやわらかな光の中で品のいい優雅な休日の昼間を描くこと。若い夫婦はライフスタイルとともに部屋のコーディネイトの一部としてのキッチンを印象づける。ウィークデイ訴求で夜のシーンを選びました。


EOS C300は逆光の光のニュアンス、フレアなどがやわらかく描写されていてとても満足しています。夜のシーンも暗く沈みすぎずに感度の良さを実感しました。


DSLRでも何本かCMを作ってきましたが、DSLRよりも明るく柔らかい印象。ハイがとびすぎることもなく、バランスも良かったです。


そのほか、利点として感じたのは長回しにも耐えるボディの安定感ですね。熱を帯びずに連続使用できる点も魅力です。照明機材が制限されるようなバジェット、状況でも明るく撮影できる点もありがたい。EOS C300の登場によってレンズのチョイスの幅が広がって、撮影の可能性も広げてくれるのではないかと期待しています。


協力:キヤノン(株)・キヤノンマーケティングジャパン(株)
撮影・解説:尾道幸治(TYOテクニカルランチCRANK)


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