2013年02月08日
日本コロムビア 木村カエラ「Sun Shower」MV
「A3の大きさで作ったものをプロジェクターで投影しています。それが、カエラさんと一瞬に映ることで、彼女が妖精みたいに見える。そんなファンタジーなビジュアルを目指しています。今回は、高感度に強いC300のおかげでずいぶん助けられました」(関和亮)。
制作=P.I.C.S. Pr=加島貴彦 Dir=関和亮 PM=名古屋忠嗣 P=矢部弘幸 L=上野甲子朗 A=小林慎典 SFX(プロジェクター)=佐藤宏司 ST=白山春久・鈴木里菜 HM=フジワラミホコ プロジェクション映像協力=onnacodomo・益子悠紀
投影された光と影、複雑な色の組み合わせをC300で再現
木村カエラの新曲「Sun Shower」は自分の人生を色にたとえ、様々な情景やシチュエーションが盛り込まれている歌詞が特徴。そこでミュージックビデオは水滴、滲んだインク、花火、手描きの絵が出来上がっていく様子、草原、道、雨、ドラムの振動など、スクリーンに投影されたカラフルなモチーフに合わせて木村カエラが歌い、踊り、歩く作品に仕上がった。
スタジオは白ホリゾントの壁と緑のシートのみ。両サイドには投射用の素材を作るスタッフたちが集まり、中央に白い衣装の木村カエラが立ったらセッティング完了。壁をスクリーン代わりにして、その場で作ったものも含め、様々な映像を投影し、人物の動きとともに収録していくという方法で撮影されている。
プロジェクターからはシーンに合わせてその場で作ったもの、あらかじめ用意していたもの、草などの立体物など、様々な情景が投影されていく。その光がスクリーンのみならず、アーティスト自体にも投影されているのだが、これによって色や明るさの調整がかなり困難な状況。そこで、この一連の撮影をEOS C300(Canon log収録)で行なうことで、色と光の調整の問題をクリアし、理想の絵作りを実現した。
Special Session 関 和亮(監督)×矢部弘幸(撮影)
今回は高感度撮影になるとわかっていたので最初からC300で撮ろうと決めていた
──この企画はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。
せき・かずあき(左)
映像ディレクター/アートディレクター 多くのMV演出やCM演出の傍らPhotographerとしても活動。
やべ・ひろゆき(右)
ムービーキャメラマン 最近の主な仕事:日テレドラマ「悪夢ちゃん」番宣ポスター アートワーク、横山秀夫著「64」カバー アートワーク。
関 打ち合わせの段階で「いろんな色を感じるビデオ」というキーワードが挙がっていました。その時に絵がカエラさんの動きを追いかけていくとか、大きなキャンバスに絵を描いているというアイデアが浮かんで、プロジェクターを使ってカエラさんと一緒に映すという企画のイメージが固まりました。人のぬくもりを感じるようなメロディだったので、動きを解析してビジュアル化するよりも、手作りの部分を残した方が合うんじゃないか。袖でみんながやっているのをそのまま映した方が面白いんじゃないかと考えました。
ピカソが作ったすりガラス越しに絵を描いていく映像があるんですけど、それをヒントに水に浸した和紙にインクを垂らして滲ませたり、上からだけじゃなくて下から撮ったりと、様々な映像を作りました。
──ライティングが難しそうな設定です。
矢部 作業用の光が強いのでどうしても白く飛んでしまうんですね。それに対して、大画面に投影するプロジェクターの光は弱いので、感度を上げて照明をなるべく暗く落として光のもれを抑えました。
関 トップのライトとか、作業している蛍光灯がどうしても強くなっていっちゃうのでなるべくプロジェクターの光を強くして周りの光を抑えた。白い衣装がいろんな色に染まるのが見た目に綺麗なのでカエラさんにもバンって投影しちゃおうというのは最初に考えました。ライティングとか、プロジェクターのホワイトバランスなど、撮影前に何回も試したね。
矢部 プロジェクターの光をそのまま投影してしまうとモアレが出てしまうのでそこはぼかして奥ピンに。雨のシーンでは後ろから照明を当てています。プロジェクターは真正面から当てているため、正面の顔にテカリが目立ってしまったりと、その辺りの照明とのバランスに時間かかりました。
関 人物の影が上手く出ていましたね。
撮影の様子。カエラさんは投影された絵を見ながら動けないので入念にリハーサルを行なった。
──C300で撮影した決め手は何ですか。
関 とにかく感度が必要だという時に、C300を使うことが多いですね。高感度撮影(今回はISO1000で収録)になるのが最初からわかっていたので、企画の段階からC300でと考えていました。
矢部 あとは Canon logで撮ってあとでいじれるというのも大きいですね。最初に狙いをかなり絞り込んで撮っておかなければいけないDSLRに比べるとC300は幅があるので安心します。
協力:キヤノン(株)・キヤノンマーケティングジャパン(株)
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