キヤノンEOS Rシステムの世界

平野タカシ|EOS R5のAF性能・高感度性能の実力を試す

発売以降、注目を集めているキヤノンのフルサイズミラーレスカメラEOS R5。EOS R システム初の“5”シリーズを受け継ぎ、約4500万画素フルサイズCMOSセンサーとDIGIC XでEOS史上最高解像性能を実現。高度な被写体検出性能・瞳検出性能の他、常用最高ISO51200の優れた高感度性能も併せ持っている。平野タカシさんには、ライブ撮影でAF性能、高感度性能の実力を試してもらった。

強い逆光でもブレないAF性能と、露出の安定感

img_products_eosr5_02_01.jpgReoNa(ソニーミュージック)「Dive/Connect @ Zepp Online」


──無観客ライブ撮影と写真集撮影でR5を使用していただきました。

img_products_eosr5_02_04.jpg8月中旬に行なわれた無観客ライブでの撮影。複数名の映像キャメラマンの間からシャッターを切る平野さん。

平野 ライブ撮影では、暗転から急に強い照明に照らされたり、光の強弱が激しい環境で撮影する場面がとても多いんです。そこにさらに被写体の動きも加わる。

特にアーティストが後ろから強い光に照らされて光と混ざりあう瞬間は、ライブの臨場感を表現できる“撮りどころ”の瞬間ですが、カメラが被写体を見失ってシャッターが切れずストレスを感じることも多かった。

普段は急遽マニュアルに切り替えて、ピントを探っていたけど、R5は急な逆光でもピントが迷うことが少なかったです。AFの反応が速いので、シャッターを押したいときに押せないストレスから解放されました。瞳を検出する時も、顔から瞳へと僕らが被写体に焦点を定める時と同じようにAFフレーム表示されるので安心感がありますね。シャッターフィーリングも良いし、撮り手の感覚に近いカメラなんじゃないかな。

突然の逆光でも、安定した露出でアンダーに振れることもないし、測光を意識する必要もなかった。瞳検出が早いので、常時、顔に対しての露出検出がなされていて、安定感があります。

モノクロに仕上げた一枚(ページトップ)は、グラデーションが綺麗に表現されていたし、スキントーンや階調が綺麗なのも印象的でした。赤色の照明で照らされたカット(下)は、明るく色が飛びがちな絵ですが、ディテールも残っていたのは嬉しい。

img_products_eosr5_02_02.jpgReoNa「Dive/Connect @ Zepp Online」


圧倒的な高感度性能と画質

ステージ上の照明が当たらない所でも充分なクオリティで撮れるので、狙い所が増えると思います。例えばピンスポットが当たっていないサポートミュージシャンが黙々と演奏をする姿もフォトストーリーの中に組み込むこともできます。

アーティストが楽屋から暗いバックヤードを通り、強い光が照らされたステージに出ていく様子を追うのは、感度やレンズを変えたりとなかなか忙しい作業だったんです。感度をオート設定にしても追いきれなかったところでも、R5では問題なく追ってくれる。

レンズだけに依存したズーミングにも充分な画素数なので、クロップ機能もストレスなく使用できる。ステージ、舞台裏含めてライブ全体を撮りきれますね。

img_products_eosr5_02_03.jpgReoNa 1stアルバム「unknown」 ブックレット写真集

──写真集の撮影は全て夜間屋外で撮影したそうですね。

平野 上の写真は光を打っているようにも見えますが、外灯の明かりだけで撮っています。他にも車のヘッドライトを活かしたり…どんな光でも撮影用ライトとして活かすことができて、制限を受けずに面白いカットが撮れました。

高感度特有のドライな画質に偏ることもなく、ノイズも少ない。高感度性能が優れていると一言で言っても足りないような、これまでの“高感度”とはレベルが違うように感じます。光源が少ないシチュエーションでもAF性能が高いから、表情がこぼれた瞬間を写真に収めることができました。

──今回は全てRF70-200mm F2.8 L IS USMを使われました。

平野 R5を使って、初めてRFレンズのポテンシャルの高さを実感できました。のぞいた瞬間にその良さがわかる。画質面や色表現でも、想像を超えていて、R5のボディがRFレンズの良さを引き出しているのがよくわかりました。

AF性能や画質にしても、Rシステム3番目のカメラで既にここまできたのかと驚きました。仕事道具としてとても優秀で、さらに今後が楽しみです。僕にとっては何よりも良い仕事道具は、極論で言えば、気分よく撮れるカメラであること。R5は撮影中の僕のテンションをさらに上げてくれるカメラです。


平野タカシ(ひらの・たかし)
大阪生まれ。広告撮影の他、CDジャケット撮影、写真集、ファッションフォトなどで活動。2009年メメント設立。
www.hirokiwatanabe.net


img_products_eosr5_01_06.jpg

EOS R5
約4500万画素35mmフルサイズCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC Xを搭載。 静止画での常用ISO感度は100~51200を達成した。デュアルピクセルCMOS AF IIによってAF性能が大幅に向上。人物の瞳・顔に加え、頭部検出も可能に。さらに縦横ともにAFエリアが映像表示範囲の最大約100%×約100%に拡大。映像エンジンDIGIC Xにより、最高約20コマ/秒の高速連続撮影(電子シャッター時)やカメラとレンズの協調により、最高8.0段の手ブレ補正効果を実現。また8K動画など先進機能を搭載している。


キヤノン Your EOS. https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/


※この記事はコマーシャル・フォト2020年11月号から転載しています。


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