2022年08月17日
キヤノンEOS Rシリーズ初となるAPS-Cモデル「EOS R7」。新開発の有効約3,250万画素APS-CサイズCMOSセンサー、映像エンジン「DIGIC X」、「デュアルピクセルCMOS AF II」、ボディ内5軸手ブレ補正機構(IS機構を搭載した対応RFレンズとの協調で最大8段)を搭載した、静止画・動画問わず活躍が見込めるカメラとなっている。今回はその動画撮影機能に注目し、ファッションムービーの撮影を行なった。
CD+ST:TADASHI MOCHIZUKI Dir+P:HIROHISA NAKANO Hair:KENSHIN(Epo Labo) Make:KOHEI DOMOTO Model:JAN・GABY FUJIKAWA(NLINE)・CHARLIE SMITH
EDIT:KUMI TORINOUMI MUSIC:DONGURIZU “Oto mafia”
使用レンズ:RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM ・ RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
動画記録:Full HD/120p
INTERVIEW
中野敬久
─作品のコンセプトと設計について教えてください。
中野 スタイリストの望月 唯さんが主宰するWebマガジン「HEADS TOKYO」に寄稿したファッションムービーです。今、20代くらいの人たちの間で90年代後半から2000年代前半のファッションがブームになっていて「Y2K」と呼ばれています。それをヒントに、90年代の『THE FACE』や『i-D MAGAZINE』といったイギリスの雑誌のイメージをそのまま映像に落とし込む、といったテーマを固めました。
─EOS R7を手にとった印象はどうでしたか。
中野 手の座りがとても良いです。今回の撮影はスピード感が求められるので、機動力は重要です。サイズ感、重量もしっくりと手に馴染んでくれました。
─ファッションムービーということで、動きのある撮影でしたが、AFが活躍していましたね。
中野 普段の撮影では、マニュアルで撮ることが多いんです。動きながら直感的に撮影していると、AFがそのスピード感について来られないことが多くて。その点、EOS R7のAF性能には驚かされました。常に瞳追従をオンにして撮っていたのですが、抜群の精度ですね。
もちろん限界はあるのですが、そこをあえて攻めることで、ボケからピンが入る過程にストーリーを持たせるといった表現も楽しめました。AFへの信頼感があってこそできるテクニックですよね。
─手ブレ補正にも力を入れているカメラです。
中野 手持ちで撮影していたのですが、安心感があります。ピントと同様にブレも表現には欠かせない要素なので、あえて取り入れていますが、過度な動きをしなければブレないという前提があってこそです。
─記録される映像の色味や質感についてはどう感じましたか。
中野 一言で言うなら素直ですね。プロにとってはとても扱いやすいデータとも言えます。自然であればあるほど、そこに個性を盛り込むことができるので。今回のコンセプトである時代感を演出する上でも、相性が良かったです。
それがテスト段階でわかったので、DaVinci Resolve で僕好みのトーンカーブを作成しておいて、本番ではそれを適用した状態でモニタリングしていました。
─今回新たに発売された2本のズームレンズの使用感を教えてください。
中野 ヌケ感が良くてクリアに撮れました。レンズの描写も素直なほど、個性を出したいときにはメリットになります。カメラとの相性も良い感じでした。
─どのような現場で活きてくるカメラだと思いますか。
中野 僕のように写真がメインのフォトグラファーも、映像撮影を求められることが多い時代です。今、需要が高いと感じているのは、エディトリアル撮影に合わせてWebムービーも撮影するといったケースですね。その為に、普段のスチルカメラとは別にサブを用意している人がほとんどだと思います。
まさにそういった場面で活躍するカメラではないでしょうか。今後のレンズラインナップにも期待です。
スタジオにペーパーを垂らした白バック撮影。Profoto B10とディフューズ越しのARRIL7-Cでライティング。
カメラに外部モニターを接続し、手持ち撮影。
高精度の瞳AF性能と手ブレ補正機構を活かした撮影。
中野敬久(なかの・ひろひさ)
1993年 渡英。ロンドン・カレッジ・オブ・プリンティングで、写真、映像を学び、スタジオにて数々のアシスタントを経験後、帰国。VOGUEのイタリア版メンズファッション紙「L'UOMO VOGUE」をはじめとするファッション誌や国内外の俳優女優、アイドル、ミュージシャン、文化人など枠にとらわれないポートレイト撮影で、広告、CDジャケット、雑誌など幅広い媒体で活動中。
EOS R7
EOS Rシリーズ初となるAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載し、高速連写と高画質を両立したハイエンドモデル。有効画素数は約3,250万画素。7Kオーバーサンプリングによる4K動画撮影や、「Canon Log3」に対応するなど、動画性能も優れている。ボディ内5軸手ブレ補正機構を搭載しているが、レンズ内光学式手ブレ補正機構を搭載したRFレンズ装着時は協調制御で最高8.0段の手ブレ補正が可能となる。
製品の詳細:https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r7/