2022年10月21日
小型軽量なボディに優秀な動画撮影機能を搭載しているEOS R7。その実力を検証すべく、ファッションブランドの撮影現場で、ルックムービーとイメージムービーを撮影。映像ディレクター/フォトグラファーの山口侑紀氏に、使用感と魅力について語ってもらった。
<ルックムービー>
<イメージムービー>
DP:YUKI YAMAGUCHI(W) ST: SAYAKA HARA(willfully) HM:AYAKA MARUBAYASHI MO:Randelina(WIZARD MODELS) 協力:willfully
使用レンズ:RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
動画記録:4K/60p
─どのような内容の撮影でしたか?
山口 willfullyというファッションブランドからオーダーを受けた撮影です。ルックムービーとイメージムービーの2種類があるのですが、ルックムービーはランウェイ風の表現を希望されていました。別のフォトグラファーが静止画の撮影を行なっていて、その合間にスタジオの一角で動画を撮影するといったシチュエーションです。
モデル側から見たセットの様子。ペーパーを垂らして白ホリを作成し、正面からディフューズした光と直あてを1灯ずつ。左右からのバウンス光も加えた4灯ライティング。
─今回の撮影にEOS R7を採用した理由を教えてください。
山口 RシリーズのAF性能がとても良い評判だったので、モデルが横から入り、正面まで歩いてくるルックムービーで活用してみたいと思いました。こちらは三脚に据えて定点でしっかりとモデルを捉えるものですが、一方イメージムービーでは手持ち撮影で動きを出した表現を狙いたかったので、小型軽量で強力な手ブレ補正を搭載したEOS R7を試してみることにしました。
ルックムービーでの使用感はどうでしたか?
山口 期待していたAF性能が、抜群の効果を発揮してくれました。モデルが後ろを向いたときなどに外れてしまわないように瞳AFはオフにし、人物像で検出するモードで使用しました。検出スピードがとても早く、画面にモデルが入ってきた瞬間から捉え始め、最後までにしっかりと追従してくれました。賢いですね。モデルの動きはそこまで速くはありませんでしたが、この性能ならもっと素早く動く被写体の撮影でも信頼できそうです。撮影の幅が広がりますね。
ルックムービー撮影中のモニター画像(タブレット端末に転送)。高性能なAFがモデルの動きをしっかりと捉えている。
─手持ち撮影をしたイメージムービーはどうでしたか?
山口 手ブレ補正機能もスペック通り、かなりの効果をもたらしてくれました。さらに、自動水平補正という機能もあるので、まるでジンバルを装着しているような感覚です。実際、ジンバルを装着した状態と比較してみましたが、ほぼ変化はありません。そのおかげで余計な神経を使わず撮影に集中することができました。グリップとサムレストのデザインも良いのでホールドしやすく安心感がありますね。
─イメージムービーではスローモーションも使用していました。
山口 両方とも4K/60pで記録しているのですが、イメージムービーではそれを活かして2倍のスローモーションシーンを盛り込みました。単調な映像にならないように入れた要素です。仕事では出力媒体としてサイネージも増えてきました。サイネージの場合、Full HDだと少し余裕がなく、解像度が気になることがあります。4K/60pだとその心配もないので、需要も高いですね。
─描写についてはどのような印象を持ちましたか?
山口 一言で言うならば、クリアなイメージです。動画記録においては、いかに目で見たままの世界を撮れるかが重要で、それを叶えてくれていました。編集時のワークフローに関わってくるのですが、演出の効いた動画を自然な状態に戻すことが、一番大変なのです。なので、記録段階ではクリアなほど、後の演出がかけやすいといったメリットがあります。とはいえ今回は、大きな編集は加えずにほぼ撮って出しの状態です。服の色合いも正確でしたし、肌の色かぶりなどもないデータだったので。
イメージムービーのコマ画像。肌色の再現性が高く、とても自然な仕上がりとなっている。
─RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMとの組み合わせはどうでしたか?
山口 このレンズは結構シャープでしたね。ライティングの影響もありますが、モデルはモデル、背景は背景といった具合に、はっきりとしたエッジを感じました。境界の色にじみなどもなく、被写体が際立ったので気に入っています。
─最後に、EOS R7はどういった場面で活躍できるカメラだと思いましたか?
山口 今回はスタジオ撮影でしたが、ロケでもかなり期待できるカメラだと思います。AFや手ブレ補正に頼れますし、コンパクトさは取り回しの良さに直結します。このスペックなら汎用性も高いので、様々な現場で使えるオールラウンダーと言えるでしょう。
山口侑紀(やまぐち・ゆうき)
1993年生まれ。HIRO KIMURA氏に師事。2022年独立後、Wに所属。ムービー・スチルの双方を手がけ、ディレクションから撮影までマルチに活動する。
EOS R7
EOS Rシリーズ初となるAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載し、高速連写と高画質を両立したハイエンドモデル。有効画素数は約3,250万画素。7Kオーバーサンプリングによる4K動画撮影や、「Canon Log3」に対応するなど、動画性能も優れている。ボディ内5軸手ブレ補正機構を搭載しているが、レンズ内光学式手ブレ補正機構を搭載したRFレンズ装着時は協調制御で最高8.0段の手ブレ補正が可能となる。
製品の詳細:https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r7/