2013年10月02日
フィルム撮影の経験値が高いスタッフこそ4K撮影に向いている
ソニーマーケティング BRAVIA 4K 「美へのこだわり」篇
ソニー4KテレビのCM映像は、ソニーの最新4Kカメラ「Cine Alta F65」で収録された。2013年、桜が開花する頃、染色、和紙など日本の伝統工芸品の職人を訪ねて、京都、福井、金沢でロケを敢行。
その撮影について、ドリームデザインの島津裕介氏、TYO MONSTER Div.の鈴木篤史氏に聞いた。
「ソニーの4K〈ブラビア〉は単にこれまでより美しい映像が見られる、ということだけでなく、『日本人は古来より美にこだわり続けてきた』という普遍的な姿勢を、4Kで映した職人たちの姿を通して訴求しています」(島津氏)。
4K映像がこれまでのHD映像と比べて高精細であるという概念は理解できても、それがどういうことなのかは実感することはできず、まさに手探り状態だったという。
職人の方からは「これまで撮ってもらえなかった細部が写っていた」と言われた。
「4K映像では、これまで映らなかったところが映り、表現できなかったことが表現できるというメリットともデメリットとも取れる面があります。そこをちゃんと理解して制作に臨まないと、今回の被写体である伝統工芸の持つ真の美しさや職人の方々の最高の技術を表現することができないかもしれないというプレッシャーが、常につきまとっていました」(鈴木氏)。
スタッフはまず4K映像を理解するために、数少ないデモリールを見たり、ソニーPCLで講習と検証を重ねて、4Kはどこまで映るのか、どういう映像表現ができるのかを勉強することから始めた。
「映らなかったところまで映るということは、被写体はどこまで映ったとしても『本物の美しさ』を持つものでなければいけない。だからこそ、何を映すかは時間をかけて探しました。今村直樹さんに演出をお願いしたのも『本物の美しさ』を見極めることができる方だと考えたからです」(島津氏)。
4Kで美しく撮ることも大事なのだが、被写体が美しさを放つ瞬間にカメラを向けられるという判断ができることが、何よりも求められた。そのため、経験豊かなスタッフに依頼し、4K映像の概念や制作フローを共有して、撮影に臨んだ。
「Cine Alta F65では、スタッフの力量が試される機材。その意味では、本当のプロ機材だと感じました」(島津氏)。
「Cine Alta F65は4K出力が不可能なため、撮影した映像はHDのモニタでしか確認できない現場だったので、フィルム撮影の経験値が高く、実際に眼で見てライティングやピントを直観的に判断できるキャメラマンの松永高寛さんの力も大きかったと思います。
フィルム撮影ではよく言われていた空気感まで映すという感覚が4Kの撮影では必要だったかなと思います」(島津氏)。
「被写体の持つ細部へのこだわりや美しさを狙って撮ってきたとはいえ、現場での4K確認ができなかったため、どう映っているのだろう?という、初めてフィルム撮影した時のような、懐かしい感覚で撮影したのを覚えています。のちの4K試写で、想像を超える高精細さに驚いたのは言うまでもありません」(鈴木氏)。
「ソニーPCLからは、4K映像が美しさを発揮できるポイントはパンフォーカスとディテールと伺っていたので、今回の撮影では、『美しさをディテールの中で表現する』ということを監督の今村直樹さんと話し合っていました。ユーザーが4Kの映像を視聴するときの醍醐味もディテールにあると考えていました。
一方、4Kでの撮影現場では、スタッフの力量や経験値が試され、そういう意味では、本当のプロにこそ使いこなせる機材だと感じました」(島津氏)。
SONY F65
A&P=電通+ドリームデザイン+TYO MONSTER Div. CD+Pl+C=島津裕介 St-Pl=加我俊介・鈴木瑛・関口嶺 Ag-Pr=松本耕平・中津梨沙 Pr=鈴木篤史 Pl+Dir=今村直樹 P=松永高寛 L=東元丈典 T-SV=石川智太郎 VE=田添利世 A=中村裕 SFX=友久哲也(関西ロケーションサービス) VFX=高橋裕士・宮島勉(WOW) ST=吉野耀脩 HM=田中徹哉 Crd=村田敦(関西ロケーションサービス) Cas=鈴木篤史(TYO MONSTER Div. )・原淳(Super Films)・茂木ちか M=小田和正 T=吉岡幸雄・堀木エリ子・山村慎哉・大島宗翠 Na=斉藤歩 SE=小森護雄(録音処) TC=金田大(ソニーPCL) ED=小峯政勝/鈴木教予 R=高橋美照 R+MA=北原慶昭(LIVERARY) PM=八重樫武裕・鈴木啓介
※この記事はコマーシャル・フォト2013年9月号 特集「4K入門」を転載しています。
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