2014年04月28日
4K編集マシンのストレージにはスピード、大容量、安全性が必要
ディスクスペースの役割を分散して運用
今回紹介するZ820のカスタマイズモデルは、マリモレコーズの映像ディレクター江夏由洋氏のマシンを参考にしている。CPUは最新のインテル XeonプロセッサーE5-2630v2で、2.6GHz/6コアのデュアルプロセッサー(水冷式)。メモリは48GBで、After Effectsの4K解像度RAMプレビュー約16秒を実現しているが、全体としてみればものすごくパワフルなモンスターマシンというわけではない。
なぜならば、このマシンはいたずらにパワーを追求するよりも、ディスクスペースの運用を工夫することで、スピードを引き出すことを重視しているからだ。
拡張ベイが豊富なZ820は、SATA接続のHDDやSSDをたくさん搭載できる。そのため、システム、データフィールド、キャッシュフィールドなど、役割ごとにディスクを分散することが可能になる。実際にこのマシンのディスク構成を見てみよう。
各ストレージの役割
まず、システム用ディスクはスピードを重視して、HDDよりも高速なSSDを選択。同時に安全性も必要なので、データセンター用として信頼性の高いインテル DC S3500シリーズ480GBを使用している。このスペースはOSとアプリケーション専用にして、それ以外のデータは一切保存しないようにするのがポイントだ。
動画の素材等を入れておくデータフィールドは、大容量を重視してHDDを選択。さらに安全性を高めるために2台でRAID 0を組み、ディスク自体は二アライン向けHDDと呼ばれる、耐久性に優れたHGST社Ultrastar 7K4000シリーズの3TBを使用している。リアルタイムの4K読み出しはできないが、約300MB/sの速度なので、アクセス自体は速いという。
そして、After EffectsやPremiere Proのキャッシュファイルをためておくディスクは、スピードを重視して、いわゆる「赤箱」と呼ばれるCFD社のSSDを使用。中身は東芝製のOEMである。
4K編集マシンのストレージには、スピード、大容量、安全性の3つの要素が必要となるが、これを1つのディスクだけで成立させるのは難しい。そこで役割を分散して、スピードを重視するものはSSD、大容量を重視するものはHDDとして、さらに安全性を確保するためにデータセンター用のSSDを使ったり、二アラインのHDDでRAIDを組んでいるというわけだ。
これ以外にも、本体前面からHDDを着脱できるリムーバブルHDDケースを取り付けて、アーカイブデータを読み書きできるようにしたり、赤箱のSSD 2枚で高速なRAIDを組んで、4Kデータをリアルタイムに再生するためのスペースとして使うなど、このマシンには4Kデータを扱うための様々な工夫がこらしてある。
内部拡張ベイ
外部拡張ベイ
一番下のベイを内側から見たところ※この記事はコマーシャル・フォト2014年5月号から転載しています。
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