4K入門 高精細映像の世界

ソニーF55で見えてきた4K映像の可能性②

解説:尾道幸治(TYOテクニカルランチ CRANK)

写真:コマーシャル・フォト2013年9月号
コマーシャル・フォト2013年9月号の第1特集は「超高精細映像 4K入門」。4Kの特徴を活かしたテレビCMやミュージックビデオの制作事例、4Kの基礎知識、実写テストなどを26ページにわたって展開すると共に、表紙の写真もデジタルシネマカメラRED EPICで撮影するなどして、4Kが持っている様々な可能性を探っている。この特集の内容をShuffle読者のために特別公開する。

XAVCと4K RAWのワークフロー

XAVCでオフライン編集が可能

F55は本体にR-5ユニットという4K RAWの収録機を搭載することで、XAVC HDと4K RAWを同時に収録することが可能となった。そこでこのF55で撮影した4K RAWと新しいコーデックのXAVCでCM撮影時に行なったワークフローが下記の図になる。

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F55で撮影した4K RAWのまま編集をすると、データが重くて作業効率が悪くなる。そこで、4K RAW撮影時に本体収録でXAVC HDをタイムコードリンクさせた状態で撮影し、XAVCを使ってオフラインすることで、ストレスなくオフライン作業ができる。

現在、Premeire ProやFinalCut XはXAVCのコーデックにも対応済みで、ネイティブ編集が可能だが、現状では4K RAWはデータ容量がとても重く、作業効率を考えるとRAWのデータをそのまま扱うのは難しいのだが、XAVCの軽いファイルを使用することでオフラインはスムーズに作業できるのはありがたい。

ただし、グレーディングに関しては情報量の多い4K RAWで作業したいので、オフラインEDLをDavinciResolveに反映し、オンラインにはDPXで書き出せば4K RAWというとてつもなく重いデータでも扱うことができる。

ソニー F55制作事例① コンパスホーム CM

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企画制作=タクシス+パブリシティアドベンチャーズ+TYOエムワンプロダクション CD+C=藤田規 AD=高久昭彦・菊池俊輔 Pr=横山和弘・佐藤恵 Pl+Dir=實守信介 DP=尾道幸治 L=田川健三 VE=田中肇 ST=秋山芳江 HM=内田香織 MP=原田泰男 振付=吉田宗道 TC=平田藍 ED=菊池満 MA=野呂博 PM=亀山貴之・栗川愛子

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4K RAWとXAVC HDがこのコンパクトな筐体で撮影できる。今まで4Kの撮影では外部収録機が必要だったので、どうしてもカメラが大きくなっていたが、F55は4Kユニットもコンパクトな設計になっている。

今後4K撮影はどう進化するのか?

撮影部から見た4Kについて

SDからHDへの移行の際もそうだったが、撮影フォーマットが変わるとそれに併せて周辺の機材やアクセサリーも変更や進化がある。4Kのカメラが各社から登場し、4K撮影が行なわれ始めた状況で周辺機材やその他の環境も大きく変わってきたように思われる。

特にデジタル環境では撮影後のデータのコピーに大きく時間がとられるので、現場でのコピーについての作業は日々試行錯誤をしている。4K撮影に突入すると、よりデータ容量の大きなものへのバックアップ作業になる。撮影後のコピー作業などを少しでも時間短縮するためには、最新のバックアップ機材の導入を絶えず行なっていくことが4K時代に向けて必然となってきている。

今回記事を書くにあたり、CM制作の様々な立場のスタッフに4Kについて話を聞いてみた。どのセクションもいよいよ4Kというメディアは現実的な状況になってきたと感じているようだ。

特にF55のように4K RAWだけではなく、圧縮された扱いやすいデータ量のファイル形式の出現も大きな理由になっている。ただ撮影の現場ではまだまだ問題はある。4Kの撮影はHDに比べさらに高解像度なので、撮影後に大画面で素材を確認するとフォーカスがよりシビアになってくる。

また現在のCMの現場で4K環境でのモニタリングは一般的ではなく4Kのカメラを使用しても現場ではフルHDのモニタで確認することが多い。この理由は最終的な納品メディアがHDなので現場でのチェックモニタはHDで充分なことと、市販されている4Kモニタは大型のものしかなく、現場でのとりまわしなどから小型のHDでモニタリングということになる。もちろん納品が4Kでということになれば4Kモニタは必須だが…。

繰り返しになるが、現状の放送フォーマットがHDなので4Kでの通常撮影はオーバースペックなのだが、今CMでの4K撮影の利点としては、編集でデジタルズームが2倍まで可能、手持ち撮影のブレなどを編集で修正できる、グリーンバックでの撮影でマスク処理がしやすいなどが挙げられるが、撮影的な利点ではない。あるとすれば、4K映像をHDにダウンコンバートすることでS/N(ノイズ)などの粒子感が小さくなり目立たなくなるという効果と、暗部から明部などのグラデーションの表現力などで4Kの効果を充分に感じとることができるぐらいか。

今後、4Kブルーレイの発売や4K放送が実現化することで4K完パケが必然になれば、撮影からフィニッシュまで4Kの撮影が増えることになると思われる。

ソニー F55制作事例② カゴメ 野菜生活100沖縄シークヮーサーミックス CM

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企画制作=博報堂+博報堂プロダクツ Pr=金子裕・関口功二 Dir=賀内健太郎 P=尾道幸治 L=藤井貴浩 PM=小林永実・小澤陽介 Designer=鎮西晋吾 Cas+ST+HM=神谷かおり


動きの速い踊りをF55で撮影してもグローバルシャッターにより歪みのない画で撮影することができた。また14stopあるダイナミックレンジのおかげで一見白飛びしているような空もグレーディングで戻せる。


※この記事はコマーシャル・フォト2013年9月号 特集「4K入門」を転載しています。

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