2013年11月10日
4Kムービーを牽引しているREDは、
これから、どのような展開を考えているのか?
2007年に世に出たRED ONEは、それまでのHD解像度を遥かに上回る解像度を持って、映像制作者たちのクリエイティブを刺激した。早くから4K解像度の映像を撮影できるスペックだったため、ワークフロー面では各社のアプリケーションとの連携も増え続けている。Apple、Adobeをはじめ、MacやWindows、Linuxへの対応も充実し、REDCODE RAWに未対応なアプリケーションソフトを探すことが難しいくらいになってきた。さらにREDCODE RAWデータの読み込みだけにとどまらず、アクセラレーターのREDROCKETへの対応も広く行き渡っている。先行者のアドバンテージにより、REDのワークフローが充実しているのは、そんな背景があるためである。
REDファイルベースワークフロー
編集用途のQuickTimeやDN×HDへの書き出し、DPX、OpenEXRなどのオンラインメディアとの親和性も高く、ワークフロー全般での柔軟性がREDの最大のアドバンテージとなっている。
REDは単に大きな解像度でムービー撮影ができるカメラではなく、その利点を活かして写真の世界にも拡充し始めている。
EPIC DRAGON
6Kセンサー(6144×3160)を搭載、HDの9倍を超える解像度が得られる最新機種。フル解像度でも最大100 フレーム/秒(6K/100fps) の動画撮影ができる。6Kの解像度があれば、1フレームを切り出しても19メガピクセル以上のデータに変換される。
製品コンセプトとしてDSMC(Digital Still Motion Camera)を謳い、アメリカではすでに有名なファッション誌のグラビアを飾るスチル撮影の実績もあり、デジタルサイネージへも活躍の場が拡がっている。RED EPICのサイドハンドルにはMotionとStillの切り替えスイッチや、ストロボのシンクロ接点も搭載され、動画撮影専用カメラではない仕様が見え隠れしている。
スチルカメラとしてのクオリティは賛否両論あるものの、フォトグラファーが動画も撮影する時代は確実に近づいていると感じる。それはデジタルサイネージやWebムービーのコンテンツであったり、動画を撮影する技術があれば写真のような1フレームか、動画のような複数枚からの構成なのかの違いだけなのである。動画と静止画の垣根があったのは過去のことで、イメージを取り出すことに貪欲になりさえすれば、先入観は足かせでしかない。
REDは登場した当初から、ユーザーに近い立場を維持してきた。その中から次期製品へのコンセプトを吸収したり、バグフィックス、ワークフロー面での試行錯誤などで情報を広く共有してきた。
REDRAY
RED社のカメラで撮影した素材以外の、既存のコンテンツパッケージをも取り込むことができる。出力はHDMIバージョン1.4に加えて4本のHD出力により、デジタルサイネージやマルチディスプレイにも展開可能。
2013年4月のNABで発表になったRED RAYにより、コンテンツの発信へとステップを進めることになる。従来の映画公開には非常に高いコストが伴い、小規模な公開においても高い参入障壁になっていた。REDRAYは、単なる4Kプレーヤーといったハードウエアではなく、インターネットからの4Kコンテンツ配信をも視野に入れている。REDRAYのコンテンツ配信の仕組みを使うことで、小規模でも高解像度・高品位なコンテンツを安価に発信できるような環境が入手可能になる。REDは単なるカメラメーカーを超えて、コンテンツプロバイダーへと進化しようとしている。
※この記事はコマーシャル・フォト2013年9月号 特集「4K入門」を転載しています。
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