2012年12月13日
Shuffleの人気連載「Photoshop オート機能完全攻略」を1冊にまとめた本「Adobe Photoshop オート機能完全攻略 CS6/CS5/CS4対応版」が9月26日に刊行された。内容は最新版のPhotoshop CS6に合わせて全面的に加筆訂正を行なっているが、Shuffle読者のために本書の一部を特別公開する。
さらに一歩進んだパノラマを作るためのTips
さて、前回で一応パノラマ写真ができ上がったわけだが、もう1歩先へ進んでみよう。
「ファイル」メニューの「書き出し」という項目に「Zoomify」という項目があることをご存知だっただろうか? これはPhotoshop CS3から追加された機能だが、写真をWeb上で閲覧する時にズームインしたりスクロールしながら、高解像度の写真を見られるようにするツールである。
実際に、前の作例で作った写真をZoomifyを使って書き出してみよう。
完成したパノラマ写真をZoomifyを使って書き出した例
完成したパノラマ写真をZoomifyを使って書き出した例。ズームインやスクロールができる。
さらに、ここまでくればもう1つ気になるところ、どうやったらQuickTime VR(QTVR)やWebブラウザーで表示するFlashムービーのように360°グリグリ回して見られるようにできるのかということも話しておこう。
残念ながらPhotoshop単体だけで直接QTVRに書き出すことはできない。ただし、Extended版のPhotoshopでは「3D」のメニューから「レイヤーから新規シェイプを作成」→「球パノラマ」を選択すると、球体の内側に写真をマッピングし、球体の内側から写真を見るように3D化してくれる。
これを検証するため簡単なスナップ写真を撮ってみた。
35mm換算で15mmのワイドレンズを使い、下方向に360°・7分割と、上方向に360°・7分割、計14枚の写真。三脚も使わず手持ちでかなりラフな撮影だったが、Photomergeは見事につなぎ合わせてくれた。
「Photomerge・球面法」の結果
このときのPhotomergeの設定は「球面法」を選択する。
独特の変なパースの写真になるが、ここでは真上と真下は写っていないので白余白になるが、左右は0°から360°の範囲でトリミングする。
この写真を3Dの球体の内側にマッピングすることになる。
下図のように、「3D」メニューで「レイヤーから新規メッシュを作成」>「メッシュプリセット」>「球パノラマ」を選択する。CS4では「レイヤーから新規シェイプを作成」>「球パノラマ」となる。
パノラマ3D化された画像は、そのままPhotoshop CS4以上のExtended版でリアルタイムでレンダリングしながら見ることができる。
もし修正箇所などがあれば、そのままPhotoshop のツールを使って修正することもでき、例えば真上と真下の写真は後から合成すればよい。
従来は、完全球面VRは180°の全周魚眼レンズと特殊なソフトがないと作れないというイメージがあったが、普通の超広角レンズでもPhotomergeはうまくつなぎ合わせて球面パノラマへの橋渡しをしてくれるということ。こうして作られたデータは、3Dレイヤーを書き出すことで他の3Dソフトとも連携できる、正にプロ向けの機能になっている。
ただし、グラフィックカードのGPU(=Graphics Processing Unit)が対応していないと快適には動かないし、誰もが手軽に閲覧できる状態ではない。一般の人でも手軽に閲覧できるようにするには、やはり他のソフトを使い、QTVRやFlashムービーとして書き出す必要がある。
最後にそうしたツールを紹介しておこう。Mac用では、以前はAppleのデベロッパー向けツールとして「MakeCubic」というソフトが配布されていたのだが、現在はサポートを終了し、現行のOSX 10.7あるいは10.8では使用できない状態だ。
現在はサードパーティー製だが、「Pano2VR」というオーサリングソフトがMac、Windows、Linuxともに32bit、64bit版が揃っている。
QTVRの他、Flash、HTML5などのフォーマットにも対応し、高品質な業務用途としてのレベルで使えるソフトだ。体験版もあるので、もし興味があるなら試してみてはいかがだろう。
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竹澤宏 Hiroshi Takezawa
1983年、フリーのフォトグラファーとして独立。以来30数年、いまだに業界の片隅に生息中。インテリアや物撮りを中心とした広告写真が主だが、雑誌の取材や執筆もこなせるオールラウンダータイプのフォトグラファー。
http://takezawa-lab.com/
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