Photoshop オート機能完全攻略

超高解像度の写真を作る②

写真・解説:竹澤宏

img_item_photoshop_automatic.jpgShuffleの人気連載「Photoshop オート機能完全攻略」を1冊にまとめた本「Adobe Photoshop オート機能完全攻略 CS6/CS5/CS4対応版」が刊行された。内容は最新版のPhotoshop CS6に合わせて全面的に加筆訂正を行なっているが、Shuffle読者のために本書の一部を特別公開する。

失敗できない状況で複雑な絵柄の写真をつなぐ

これまで紹介した写真はいずれも風景写真、いわば多少のラフさがあってもごまかしの効くような絵柄である。しかし、広告写真、特に商品撮影ともなると、シビアな正確さを求められ、商品の歪みなど一切許されない状況だ。

次に紹介するのは、スタジオでのインテリア撮影。見開きページでの使用ということで、1,200万画素相当の解像度では足りないため、3枚スティッチによる高解像度写真を作ることにした。

とはいえ、後になって「うまく合成できませんでした」では済まされない仕事なので、Photomergeを使う場合は充分注意して判断すべきだろう。

こうしたスタジオ撮影では、現場にパソコンを持ち込み、その場で合成し確認することは必須だろう。本番の処理は後でするとしても、軽いJPEGデータで合成して本番への目処はつけておくべきだ。

まず最初にすることは、仕上がり状態を想定できるように、また、正しいパースを知るための指標にするためにも、1枚ものの写真を撮影しておくことだ。

img_soft_auto_mook19_01.jpg レンズ画角は24mm(35mm換算で36mm)で撮影。

この写真を使って、紙面上でのレイアウトをデザイナーに確認してもらう。OKならば、どのくらいのレンズ焦点距離で何分割して、どのくらいの重なり部分で、などの予想をたてていく。

注意するべきことは、合成後に余白部分を切り取ると、実際に写っている範囲よりひと回り小さくなってしまうので、上下左右は充分に余裕をみておくことだ。また今回の場合、レンズが下向きになるのでパノラマ雲台は使わずに、下向きのまま雲台を回転することにした。

何度か焦点距離を変えながらシミュレーションし、34mm(35mm換算で約51mm)のレンズ焦点距離で3分割することにした。

こうして3枚の写真が撮られた。

img_soft_auto_mook19_02.jpg
元画像・3枚
img_soft_auto_mook19_03.jpg
img_soft_auto_mook19_04.jpg

はたしてPhotomergeはうまくつないでくれるのか? 絨毯の柄はうまくつながるのか? 今回は「自動設定」ではなく最初から「遠近法」を選択した。

その結果、全く違和感のないパースで見事につなぎ合わせてくれた。

img_soft_auto_mook19_05.jpg 「Photomerge」の結果

絨毯の柄も、アップで見ても全く違和感なくつなぎ合わせてくれている。

img_soft_auto_mook19_06.jpg
img_soft_auto_mook01_ya.gif
img_soft_auto_mook19_07.jpg

風景写真のような曖昧な絵柄よりも、こうした複雑な紋様の絵柄の方がはっきりしているので、つなぎやすいのかもしれない。

余白をトリミングし、仕上がった写真である。

img_soft_auto_mook19_08.jpg 完成画像

解像度は6,310×4,176ピクセル、8bit換算で75.4MBのデータである。いかがだろうか? これなら自信を持って仕事でも使えるツールと言えるだろう。

実は、もし上手くいかなかったら1枚ものの写真を拡大リサイズして…などと考えていた。確かにPhotomergeを過信しすぎるのも危険だ。やはり絵柄によってはうまくいかない時もある。しかし、この時ばかりは立ち会ったデザイナーも「すごい!」と驚いていた。もちろん筆者も「これは、使える!」と思ってしまったのは言うまでもない。

※この記事は「Adobe Photoshop オート機能完全攻略 CS6/CS5/CS4対応版」から抜粋しています。

竹澤宏 Hiroshi Takezawa

1983年、フリーのフォトグラファーとして独立。以来30数年、いまだに業界の片隅に生息中。インテリアや物撮りを中心とした広告写真が主だが、雑誌の取材や執筆もこなせるオールラウンダータイプのフォトグラファー。
http://takezawa-lab.com/
https://www.facebook.com/TakezawaHiroshi

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