製品レビュー

【解析特集】出力が2倍にアップしたバッテリー搭載型ストロボ「Profoto B10 Plus」

解説・撮影:上田晃司 / モデル:高取祐司

Profotoから発売された小型のバッテリー搭載型ストロボ「B10 Plus」。2018年9月に発売された「B10」からいくつかの性能が進化しているが、最も大きな特徴は出力が2倍の500Wsになったこと。今回はB10 Plusを性能を解析すべく、フォトグラファー上田晃司氏にテストしてもらった。

機動力抜群のモノライト

次々と革命的なストロボを開発し発表しているProfotoから2018年9月に発表されたB10の登場は移動の多いフォトグラファーにとって革命的なストロボだった。B2と同等の性能に加え、圧倒的なコンパクトさはロケーションでの撮影で大活躍だ。そのB10の登場から約半年で、今回紹介するB10 Plusが発売された。

Profoto B10 Plus

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B10 Plusの主なスペック

最大出力 500Ws / リサイクルタイム 0.05~2.5秒 / 発光回数 フル出力で最大200回 / 直径 10cm / 長さ 23.5cm / 質量 1.9kg

大きく進化した点は「パワー」だ。B10が250Wsだったのに対して、B10 Plusになり倍の出力500Wsに強化された。この出力はB1Xと同じパワーを誇る。ただし、B1Xと大きく違う点はサイズと質量だ。B1Xは全長31cmで質量は3kg。一方のB10 Plusは全長23.5cmで質量は1.9kgと圧倒的にコンパクトで軽い。B10と比べると全長で6cm長く、質量は400gほど重くなっている。

また、バッテリーはB10と同じ物が使用できるのもポイントだ。ただし、フル発光の場合B10では最大400回だったがB10 Plusは出力が倍になっているので最大200回になる。演色性能の高いLEDはB10と同等の物を採用しており、使い勝手抜群だ。

img_products_profoto_b10plus_rev_02.jpgB10 Plusの外観は、B10と同様スリムでシンプルな印象。全長が約6cm長くなったことによりズームのスケールのメモリが7まである。背面の操作系はB10と全く同じでシンプルな操作系は変わっていない。


最大出力500Wsはロケの強い味方

冒頭にも述べたがB10 Plus最大の魅力は最大出力500Wsのパワーだ。B10を使用しているときに、もう少しパワーがあればなと感じることが何度かあった。特に日中シンクロ撮影ではストロボの出力が重要だ。出力に余裕があれば被写体からライトを離すこともできるし、様々なサイズのライトシェーピングツールも使うことができるからだ。B10 Plusの500Wsという出力は日中でもほとんど不足しない。

img_products_profoto_b10plus_rev_03.jpg 500Wsのフルパワー発光
OCF ソフトボックス 60×90cmを使い、モデルから約3m離れた場所からフル発光で撮影。ひとつのボックスでモデルの全身をしっかりとライティングすることができた。

B10の場合、特にハイスピードシンクロ撮影で辛いことが多かった。ハイスピードシンクロではストロボ光を連続して発光させるため、通常の発光よりも2~3段ほど出力が落ちてしまう。今回の撮影ではハイスピードシンクロ撮影でも光量不足と感じることはほとんどなかった。

img_products_profoto_b10plus_rev_04.jpgハイスピードシンクロ時の安心感
強い日差しの中、背景の明るさを暗めに落とし、大きくぼかしたかったのでシャッター速度を1/8000秒に設定。その結果、イメージ通りに背景を暗く落として、ボケを活かしたイメージが撮影できた。

また、ストロボ光を最大限活かせるレンズシャッター式の中判デジタルを使う際も500Wsになり、ほぼ不足を感じなかった。Hasselblad XD IIを使えば1/2000秒でも500Wsの光量を効率よく使えるので、ライティングや背景の明るさのコントロールも自由自在になるので安心だ。これからの時期、光の強いロケーションでは、大光量になったB10 Plusは心強い。

img_products_profoto_b10plus_rev_05.jpg多灯ライティングでも活躍
天気の悪い中、多灯ライティングを行なった。光のない状況だったがライティングで思い通りのイメージが撮影できた。撮影ではモデルの背後から強い光を意識してマグナムリフレクターを使いハイライトを入れている。

メインライトはOCF ソフトボックス Octa 60cmを使い顔中心にライティング。Profotoのアプリを使いながら、光を微調整してイメージに追い込んだ。

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ライトシェーピングツールとの相性は抜群

Profotoのストロボにはライトシェーピングツールを装着する際に参考にするスケールがあり、ハードリフレクター系のズームリフレクターやマグナムリフレクターなどではスケールを活用して光の照射角度を変更する。実はこのスケールは使用するストロボによって違い、B10ではスケールが4、B10 Plusでは7まで増えているため、ライティングの調整もよりアドバンテージがある。

作例以外にマグナムリフレクターも使用してみたが、スケールを使って照射角度を変更できたのでライティングがしやすかった。また、パワーが500WsになったことでロケーションでもOCFのハードリフレクター以外にも光量が落ちやすいボックスなども活用できた点は非常に助かった。B10 Plusでは120種類のライトシェーピングツールを活用できるのでライティングの可能性も無限大だ。

ライトシェーピングツールとの組み合わせ:OCF ビューティーディッシュ
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上半身をしっかりとライティングしたかったのでOCF ビューティーディッシュシルバーを使用した。シルバーを選択した理由は色をしっかり表現するためだ。男性モデルなので光のメリハリも表現したかったが思い通りにライティングできた。


ライトシェーピングツールとの組み合わせ:OCF ソフトボックス 30×90cm
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1×3のボックスは幅が30cmと細いのでライティングがしやすい。今回はトップにストロボを配置して陰影を強調してみた。光の拡散も制御されているのでシングルライトだけでなく、多灯にも使いやすい。


ライトシェーピングツールとの組み合わせ:OCF ソフトボックス Octa 60cm
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筆者が最も使っているOCFアクセサリーがOCF ソフトボックスOcta 60cmだ。適度な芯があり、光の広がりは制御しやすいのが魅力。今回は少しサイドからライティングしてメリハリを強調してみた。キャッチライトも円形にちかく綺麗な上、サイズも60cmと使いやすい。

また、B10とB10 PlusにはBluetoothが搭載されているため、スマートフォンのProfotoアプリを活用することで遠隔で光量を微調整できるようになっている。Air Remote TTLを使用しているときは、ストロボの出力をリアルタイムで把握することはできなかったが、アプリを活用することでより各ストロボの出力を把握でき緻密なライティングもできる。その結果、今回はシンプルに使えるProfoto Connectを使い撮影。筆者愛用のNIKON Z 7やHasselblad X1Dとの相性もよく、スマートに撮影できた。

B10 Plusは機動力とパワーのバランスを重視するフォトグラファーにはぜひ使ってもらいたい。出力が倍ある安心感は撮影の幅を広げてくれることになる。

img_products_profoto_b10plus_rev_14.jpg斜幕撮影での活用
B10 Plusはパワーがあるので斜幕撮影もしやすい。斜幕の裏にはアンブレラMサイズのトランスルーセントを入れてある。ほぼフル発光でスタジオ全体をライティングすることができるので斜幕撮影をするユーザーにも500Wsのパワーは使いやすいはずだ。

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上田晃司(うえだ・こうじ)
米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学ぶ。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファーとして活動開始。現在は雑誌、広告を中心に活動。ライフワークとして世界中のドラマチックなシーンを撮影。写真教室の講師や講演、書籍の執筆活動も行なっている。

※この記事はコマーシャル・フォト2019年9月号から転載しています。


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