2021年04月22日
今年2月、Profotoから新たなストロボジェネレーターが発売となった。その名も「Pro-11」。超高速の閃光時間&リサイクルタイムで人気の高い「Pro-10」のスペックを継承しつつ、耐久性と安定性がより高まり、スマホアプリを使用して、ストロボをコントロールできるシステム「Profoto AirX」への接続に対応したモデルだ。今回は、この「Pro-11」の性能を検証すべく、ダンサーを被写体とし、激しい動きの流れを高速連写で撮影。驚異的な閃光速度ならではの一瞬を切り撮った。
Dancer:鈴木陽平 ST:Yoshi Miyamasu(SIGNO) HM:ITSUKI(SIGNO) 衣装協力:kiryuyrik /Noir Fr /YOHJI YAMAMOTO
トップ左手前から1灯のライティング。Proヘッド プラスにソフトライトリフレクター ホワイトとグリッドを装着して、光をディフューズしている。シンプルながらも、メリハリの効いたカットを目指した。
メイキング撮影:坂上俊彦
Interview YUMIKO INOUE
高速連写の中に偶然写り込む新たな発見
普段からダンサーを撮影することが多いのですが、リサイクルタイムが遅いと欲しいときにシャッターを押せないので、チャージタイムに合わせて出力を決め、最後にカメラ側の絞りと感度を設定するといった撮影スタイルを基本としていました。スタジオによっては、性能の良いストロボが用意されていないことも多いので、連写撮影をする機会もあまりないのです。
高速閃光とリサイクルタイムが特徴の「Pro-11」であれば、上記のスタイルとは違った撮影が可能になると期待しながら撮影に臨んだのですが、閃光とチャージの速度に驚愕しました。ストロボの性能に合わせた撮影から解放されることで、自分の中での表現の幅が広がったような感覚です。
こちらのカットも使用機材、セットは同様。光をより被写体に当てることで衣装や肉体のディテールにこだわったカットだ。
撮影中、肉眼ではダンサーの表情や、衣装の動き方など細かい要素を確認できませんが、連写することでコマ撮りのように細かくチェックできるのもメリットです。今回はテザーで撮影したのですが、ダンサーやスタッフとモニターを確認しながら、転送されてくる画像データを見て、新たな発見に胸が踊りました。この楽しさは現場の盛り上がりに直結するので大きなメリットのひとつです。
最近はカメラ自体の性能も上がってきているので、相性もいいですよね。今回はソニーのα7R IVを使用したのですが、しっかり止まって、ピントもばっちり。安心して撮影に集中できるのは嬉しいです。
私の撮影に高速連写という新しい選択肢が生まれた素敵な撮影でした。たくさんのスタジオに導入されると良いですね。
こちらの2カットも同様のメインライトを使用し、さらに、手持ちでもう1灯Proヘッド プラスを追加した。ストロボのヘッドにカラーフィルターを付けたライティングで撮影することで、色味を加えている。
連写カットのシークエンス
ダンサーの激しい動きによって、布、ジャケット、髪の毛が大きく動いていくが、閃光時間の速さにより、しっかりと一瞬一瞬を止めてくれる。
Profoto Pro-11
最大出力:2400Ws
出力範囲:11 f-stops (2.4〜2,400 Ws)
出力調整単位:1/10または1 f-stop
リサイクルタイム:0.02〜0.7秒(クイックバースト最高秒間50連射)
外寸:21×29×30cm
質量:13.2kg
価格:税別1,818,000円
スペックの詳細:profoto.com/jp
ユミコ・イノウエ
VOGUE JAPANを中心に積極的にダンサーを撮影。世界のトップダンサーとコラボレーションするバイリンガルのWebマガジン「Alexandre」の編集長も務める。
※この記事はコマーシャル・フォト2021年5月号から転載しています。