2015年10月28日
逆光のきらめきを見たまま美しく写真に収めるのは、なかなか難しい。今回はそんな逆光の風景を表現するためのレタッチを行なう。しかもマスクを使うことなく、紅葉と青空それぞれの鮮やかさまで再現。これを読めば、もう逆光も怖くない。
今回の写真は、逆光で狙った大カエデ。肉眼では紅葉した葉を透かした光がキラキラと美しく輝いて見えるのだが、撮影すると暗く沈んでしまうシーンだ。
そこで、レタッチで仕上げることを前提に撮影し、空の青さと紅葉したカエデの両方を美しく仕上げてみた。
撮影でどうにもならないときは、レタッチしやすい色や露出で写しておくと、肉眼で見た光景やイメージする色彩が得やすくなる。
テーマ:暗く沈んだ秋の彩りを取り戻す
キヤノン EOS 6D EF24-70mm F4L IS USM 絞り優先AE(F8 1/640秒) +1EV補正 ISO500 WB:オート
撮影のテクニックではきれいに写せない逆光のシーン。被写体を明るく写すと空が白くなり、青空がなくなってしまう。そこで、紅葉したカエデが黒くつぶれないように注意しながら、空の青さが保てる(補正で挽回できる)露出で撮影。被写体が暗過ぎると補正でノイズが目立つことがあるので、この辺りのバランスに注意が必要だ。
レタッチの設計
「補正後」と「レタッチの設計」拡大図はこちらをクリック ※別ウィンドウで表示
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※作例写真を使ってPhotoshopの操作が学べます。画像の利用目的は個人利用に限ります。
マスクを使わず暗い部分を明るく補正する
作例は、空の青の濃さを残して撮影した代わりに、被写体のカエデが逆光で暗くなった状態。まずは、これを肉眼で見たような明るさに補正していく。
逆光で暗い被写体は、「レイヤーマスク」を使った部分補正で明るくする方法もあるが、この場合は補正の境界を自然に仕上げるためのテクニックが必要になる。
そこで今回は、シャドウを重点的に補正できる機能で暗い被写体を明るく補正してみた。逆光補正のテクニックのひとつとして覚えておくと役立つだろう。
はじめに
主に使用する機能は、お馴染みになった「Camera Rawフィルター」。写真的なアプローチで補正するなら必須の機能だ。
①は「背景」レイヤーをスマートオブジェクト化したもので、これにより②の「Camera Rawフィルター」が「調整レイヤー」のように再調整できるようになる。
ほとんどの色調は「Camera Rawフィルター」で仕上げているが、爽やかな空の微妙な色みは③の「特定色域の選択」で仕上げている。
④の「レベル補正」は、最終的な露出の微調整用として使用。
①「Camera Rawフィルター」の準備をする
■STEP1 「背景」をスマートオブジェクト化する
Photoshopに「Camera Rawフィルター」が搭載されてからというもの、写真の補正では必須の機能となった感がある。今回も例に漏れず、「Camera Rawフィルター」を駆使して仕上げていこう。まずは、「レイヤー」パネルで「背景」レイヤーを選択し、 ボタンをクリックして「スマートオブジェクトに変換」を選択。「Camera Rawフィルター」を調整レイヤーのように使うための作法だ。
≪ワンポイント≫
■「スマートオブジェクト」とは
元の画質を維持したまま編集が行なえる形式の画像レイヤーのこと。拡大や縮小、フィルター加工、変形などを行なった後でも、編集内容を変更したり取り消して元の状態にすることができる。「調整レイヤー」の編集機能版と考えると分かりやすい。
■STEP2 「Camera Rawフィルター」を表示する
①STEP1で作成したレイヤー(レイヤー0)を選択したら、②「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。
レイヤーを選択して「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択 「Camera Rawフィルター」画面が表示される
≪ワンポイント≫
■「Camera Raw」とは
Photoshopに搭載されたRAW現像機能のこと。色温度の変更や露出の補正など、「写真的」な編集が行なえるのが特徴。Photoshop CCでは、Camera RAW機能をフィルターとして使用することができる。