2016年11月24日
映像制作の現場で何度も挿抜することを想定して
堅牢性を高めた業務用SDカードが登場
記録メディアがテープからメモリーに変わっても、映像制作にとってメディアの重要性は変わらない。特に再現不可能な一度きりの記録イベントなど、業務用分野では撮り直しがきかないものは多い。カメラも記録メディアも何よりも信頼性が命である。
現在の映像記録メディアの主流はメモリーカードだ。最近は業務用ビデオカメラにおいても、大判センサーカメラのFS5、新製品のNX5Rなど、SDカード仕様の製品が増えてきた。そこでソニーは業務用のSDカードをラインナップした。
64GBの2枚セット
64GBのSDXCカードでUHSスピードクラス3タイプ。書き込み速度は最大90MB/秒と4Kの100Mbpsなどにも余裕で対応できる。カード2枚をセットにしてハードケースに収める。業務用のカムコーダーは2スロットになっており、ユーザーは2枚で同時記録することも多い。その2枚のカードをセットで管理することを想定しているのだ。
64GBとは4K 100Mbpsでちょうど約1時間という容量なのも分かりやすい。もっともニュース取材などもっと短くていい現場や、逆に舞台などもっと大容量が欲しいというケースもある。今後は要望に応じて容量のラインナップを増やしていくという。
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ハードケースはやはり便利
業務用メディアはこれまでの歴史を振り返ってもケースは必須。特にSDカードは小さいためにカードに書き込むスペースもないので困っているユーザーは多かった。
ケースのサイズはHi8やDVCAM(HDV)のミニカセット用と同じ。手に馴染んでいる人も多いだろう。ケースにタイトルや収録内容を記載できるのでコンテンツの管理はしやすくなる。
ケース内にはカードが2枚、このように収まっている
振り返ってみれば、業務用のメディアには必ずハードケースがあった。大切なメディアを守るだけでなく、コンテンツを管理するという目的もあるからだ。
ソニーのメディアラインナップ。ベータカム系やXDCAMのディスクはサイズが同じなので、ケースで色分けされていた
ただ注意したいのはフラッシュメモリーは特性上、長期保存には向かない。ケースがあるからといってアーカイブ用ではない。あくまで一時保管やデータ渡しなど運用のためのケースである。
カード自体の堅牢性が異なる
肝心の中身も違う。まず民生モデルでは使用するフラッシュメモリーの調達先がロットによって違うというブランドもあるが、この業務用SDカードはそういったことはない。
メモリーカードの製造方法自体も異なる。通常のSDカードは真ん中にフラッシュメモリーを挟み、表と裏のカバーを圧着して製造する。ところがこの業務用SDカードはメモリーカード内部に樹脂を充填して製造する。そうすることで、ソニーの試験結果によると自社の民生モデルと比べて約10倍の曲げ強度、約7倍のひねり強度を実現したという。
曲げ強度テストひねり強度テスト
なぜそこまでして堅牢性を高めるのか?
それは映像制作の現場での使われ方を想定したからだ。メモリーカードはカメラに入れっぱなしということはなく、撮影のために抜き差しされ、さらにPCのスロットにも装填される。急いだり慌てたりすることもあるだろう。怖いのはその装填時に入り口に当てたり、抜く時にひねったりすることが何度も続くことによる破損だ。貼り合わせのところから割れてくるという事象もある。
実際に手にとってカードを摘み真ん中を押してみると、しっかりした感じがわかる。中に空洞がなく、樹脂の塊になっているのだ。
実は通常のSDカードは中にフラッシュメモリーを入れて、表と裏の貼り合わせになっている。パーツとしては上のように3分割される。
ところが業務用SDカードは表と裏の板の間に樹脂を充填している(分かりやすいように緑と白に色分けしている)。どれだけ力をかけても貼り合わせが剥がれてくるということはない。
そこまで製造にこだわった業務用SDカード。価格は高そうに思えるが、実は同じグレードのカード2枚とほぼ同程度の価格なのである。だから割高感はまったくない。それどころか高い堅牢性によって信頼度も高く、ハードケースもついてくる。これは使わない手はないだろう。
ファイル復旧アプリが使える
もうひとつ、これは業務用SDカードに限ったことではないが、ソニー製品のメモリーカードを購入すると、メモリーカード用のファイル復旧アプリ「Memory Card File Rescue」を無料でダウンロードして使うことができる。
ソニープロメディアのサイトのソフトウェアダウンロードの項目からソニー製メモリーカードのファイル復旧アプリ「Memory Card File Rescue」を選択してダウンロード。
Windowsのみ。無償だが、入手するには型番とシリアル番号の入力が必要になる。
使い方は簡単で以下の通り。Windows PC上での操作になる。
①メモリーメディアを入れているスロットを選択し、
②復元処理を実行。
③保存したいデータを選択し、保存を実行する。
メモリーカード上に復旧するのではなく、PC内などの別ドライブにフォルダを作ってそこに書き出す。メモリーカードの状態を変えないことと、復旧データを安全な場所に保存することを両立させるため。編集部で実際に試してみたが、他社のカメラで記録したファイルでも復旧することができた。お世話になるようなシチュエーションには出会いたくないが、このアプリでさらに安心が得られることは間違いないだろう。
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※この記事はビデオサロン.Webから転載しています。