2018年12月27日
フォトキナ2018に合わせて各社フルサイズミラーレスカメラを発表してきた。そこで現状揃えられる機種を用意した。最後はFUJI FILM X-T3 / GFX 50Rを検証する。
>前回 「【特集】最新ミラーレスを検証する② Nikon Z 6 / Z 7」
X-T3とGFX 50Rはフジのミラーレスの進化の申し子
富士フイルム X-T3
マウント:FUJIFILM Xマウント / 有効画素数:約2610万画素 / 記録メディア:SDメモリーカード(~2GB) / SDHCメモリーカード(~32GB) / SDXCメモリーカード(~512GB) UHS-I・UHS-II 対応 / 動画フォーマット:MOV / 液晶モニター:3.0型3方向チルト式タッチパネル付きTFT / 外寸:132.5×92.8×58.8mm/質量:約489g(本体のみ)
富士フイルム GFX 50R
マウント:FUJIFILM Gマウント / 有効画素数:約5140万画素 / 記録メディア:SD(~2GB)・SDHC(~32GB)・SDXCカード(~512 GB) UHS-I・UHS-II 対応 / 動画フォーマット:MOV / 液晶モニター:3.2型タッチパネル式TFTカラー2軸チルト式 / ファインダー:0.5型有機ELファインダー / 外寸:160.7×96.5×66.4mm / 質量:約710g(本体のみ)
急成長を遂げるフジ
近年富士フイルムが一眼レフ市場から撤退後に、短期間でここまで急成長を遂げるとは誰も想像しなかった事だろう。前作X-T2でSDカードデュアルスロットや4K動画を搭載し、プロユーザーから大きな注目を集めた。その後もユーザーフィードバックの数々をファームウェアの更新で盛り込むなど、意欲的に製品開発を進めてきた。今春発売されたX-H1ではボディ内手ブレ補正を同社として初搭載するなど、驚異的な開発ペースでユーザーを楽しませてくれている、筆者も注目しているメーカーである。
X-T3では製品の位置付け的にボディ内手ブレ補正は搭載しなかったものの、静止画、動画共にAF性能に加えて動画画質の大幅向上など、機能と画質面ではXマウントシリーズ最高性能となっている。特に顔検出・瞳AFの精度向上と共に、動画でも使える様になった事と、動画の圧縮方式にH265を採用した点が大きな注目点だ。
4K切り出し(X-T3)
動画でも顔・瞳認識が使用可能になった。ハイフレームレート撮影時にも動作するのは動画撮影に慣れないユーザーにとって心強い。
画質では他社からも一目置かれる程であるが、ダイヤルを多く配置したインターフェイスがユーザーの好みを大きく分ける要因となっている。慣れの問題もあるかもしれないが、現代的なボタン+ダイヤルでの操作に慣れた者からは、やや使いづらい印象をうけるかもしれない。
上面の直感的に触れるダイヤル類はXシリーズならでのインターフェースだ。
多くのXマウントレンズには絞りリングが配されて、F値のコントロールはこの操作に依存する。これが他メーカーの一眼ユーザーからは戸惑いを感じる部分かもしれないが、右手を別の操作に集中させる事が出来る為デメリットになる部分では無い。逆に動画撮影時には瞬時に絞り調整が出来る点で利便性が高い。
さて、画質的特徴はどうだろうか。本機で4世代目となるX-Transセンサーは独自のフィルター配列でローパスフィルターレスでモアレのないクリア描写を実現している、動画撮影時もこの特徴は顕著で、4K動画の画質にも特徴が良く現れている。前モデルから画素数をアップして、APS-Cセンサーで2610万画素を実現。これは他社比でもクラス最高レベルとなる。画面全体をカバーする位相差216万画素のセンサーで、画面端に被写体を置いたダイナミックな構図でも、AFを活用できる事は大変有用な機能だ。
これらの基本的な機能に加えて、H265で実現した4K(QFHD)・Cinema 4K(DCI4K)で内部4:2:0 10bit記録を実現した事で、同社が誇るMK-Xシネマズームレンズの活用の幅が大きく広がる事だろう。
4K切り出し(X-T3)
4K 60P 4:2:0 10bit 撮影まで対応し、全画素読み出しで画面の隅々まで鮮鋭な描写を見せる。レンズ性能がハッキリ見えてしまうので、動画撮影時は高性能なレンズを組み合わせて撮影する様にしたい。
フォトキナの開催に合わせてプロユーザーとして注目すべき発表が2点あった。1つは「GFX 50R」レンジファインダースタイルの中盤デジタルカメラの発表と、Phase One社との協業によるCapture Oneでの富士フイルム製品のRAW現像及びテザー撮影のサポートだ。カメラメーカー各社が凌ぎを削る様にフルサイズミラーレス機を投入するなかで、同社がGFXシリーズのエントリー機とも言える中判ミラーレスで回答してきた事にプロとして注目しない者はいないだろう。5140万画素の43.8x32.9mmのセンサー+定評あるGFレンズが生み出す高精細な画質は、コマーシャルフォトグラファー達の強力なツールとなるだろう。そして、それを支えるのが、テザー撮影までサポートしたCapture One Pro Fujifilmである。プロのフォトグラファー達の間では、もはや標準の撮影&現像ソフトとなっているCapture Oneだが、今回の協業で富士フイルム専用版ライセンスが登場したのである。
同社の持つレンズ技術の粋を集めた高コストパフォーマスンのMK-Xズームレンズを用いれば、本格的な動画撮影にも対応する事が可能だ。
35種以上の機種でRAW現像をサポートし、その中の多くの機種でテザー撮影も可能。フィルムシミュレーションもサポートして、富士フイルムならではの色のこだわりが活かせるのも特徴だ。こうなると、取材やスナップフォトと動画撮影はXマウント、コマーシャルフォトはGFXと住み分け・使い分けも充分あり得る選択肢となるだろう。同社のプロユーザーを意識した商品戦略に今後も目が離せない。
APSセンサーに特化した口径を採用しているXマウントとはいえ、ボディの小型さが際立つ。
>第1回 「【特集】最新ミラーレスを検証する① Canon EOS R」
>第2回 「【特集】最新ミラーレスを検証する② Nikon Z 6 / Z 7」
※この記事はコマーシャル・フォト2018年11月号から転載しています。
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