2020年03月26日
現場で特定のルックを適用しながらスピーディに撮影
1987年に公開された映画「エルム街の悪夢3 惨劇の館」。同作品を象徴するシーンの一部を、当時の技術スタッフを集めて新しい技術で再現させるという試みがハリウッドで行なわれた。その新しい技術の1つとして使用されたのが、DaVinci ResolveおよびDavinci Resolve Micro Panelだった。
オリジナル版の撮影監督、ASCのロイ・ワグナー氏が自身の作品の再撮影に踏み切った理由は、フィルムメイキング技術がどこまで進んでいるかを示すことだった。彼はDaVinci Resolveを使用して、撮影現場でのグレーディングと編集、さらにカラーコレクションとフィニッシングを行ない、1987年に35mmフィルムで撮影されたオリジナル版と一致するルックを作り上げた。
現代のフィルムメイキング技術の実践として考案されたこのプロジェクトでは、オリジナル版と一致する建物セットが必要だったが、照明やカメラ、ポストプロダクションなど現代のツールを駆使して当時のルックが再現された。
「Blackmagic製品は、カメラからResolveまで、様々なプロの仕事で使用しています。しかし、通常とは異なり、民生用カメラで撮影したフッテージでDaVinci Resolveを使用したのは今回が初めてでした。携帯電話などで撮影すると、煙や高コントラストの照明、黒に近いシャドウ、強めのハイライトを処理するのが難しくなります。しかし、DaVinci Resolveであればこの問題に対処できることは分かっていました」(ワグナー氏)
DaVinci Resolve Studioは、このプロジェクト全体を通して使用された。制作チームは、ResolveをインストールしたワークステーションとDavinci Resolve Micro Panelを撮影現場に導入し、特定のルックを適用しながら撮影することで、目的とするスタイルが達成できることを確信しながら作業を行なった。Resolveでオリジナル版と新しいフッテージを並べて比較し、リアルタイムで色の変更も行なった。
DaVinci Resolveは、撮影現場のほか、ポストプロダクションで編集とカラーコレクションにも使用されたので、他のソフトウェアに切り替える必要が一切なく、厳しいスケジュールの中でもスピーディな処理が可能となった。
「撮影現場でカラーも編集もできたので、非常に良いスタートを切れました。1つのソフトウェアですべての作業ができたので、このプロジェクトをわずか2日で完成させることができました」(監督のルーカス・コロンボ氏)
その過程では、コロンボ監督はResolveの高度なツール群を使用してフッテージの質を向上させ、視覚的な問題を解決することができた。
「カメラの能力を駆使して撮影した映像には感心しましたが、不要な圧縮アーチファクトやノイズがあることは予想していました。しかし、それらの問題をResolve Studioでいとも簡単に解決できたのは大きな喜びでしたね。カラーページの時間的ノイズ除去ツールを使用して、ミッドトーンディテールをいくらか下げました。これにより、驚くほど滑らかでフィルム的なルックになったのです。その結果は、何もレンダリングせずにリアルタイムで確認できました!」(コロンボ氏)
ワグナー氏は、オリジナルシーンの撮影には1週間を要したが、リメイク版は1日で完了したことが、新しいテクノロジーを証明していると振り返る。作品が完成した後、コロンボ監督は、このプロジェクトはDaVinci Resolveなしでは不可能だったと感じたと言う。
「撮影現場で編集とカラーグレーディングを行ない、さらにそのまま同じソフトウェアでポストプロダクションに入れることは、非常に素晴らしいですね。プロジェクトを大変スピーディに仕上げることができました」(コロンボ氏)
※下のメイキング動画の後半で、当時の映像と今回撮影されたものの比較映像が見られます。
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