Blackmagic ケース・スタディ

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K 制作事例/ハワード・フルタ

ハワード・フルタ(映像ディレクター)

Interview ハワード・フルタ(映像ディレクター)

動画に特化した洗練されたカメラ

若干23歳で広告・映像の分野で活躍するハワード・フルタ監督。自ら撮影を行ない、空撮や水中撮影など様々なシチュエーションにも対応する新世代のクリエイター。そんなフルタ監督が仕事を離れてBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K(以下BMPCC4K)を使って、監督・撮影・編集までワンオペレーションで作品制作を行なったのが、この『RUN-TOKYO-』だ。

『RUN -TOKYO-』
Dir +P+ED=ハワード・フルタ T=葵 陽

──今回どのような構想で作品を作ろうと考えたのでしょうか。

フルタ BMPCC4Kは既に仕事でも使っているのですが、制約のない状態でカメラの実力を確認してみたいと考えていました。そこで今回は長回しを多めにして、ストーリーを作り込むというよりも遊び心を意識して作りました。

仕事で撮影する時にはハッキリした色設計をしていますが、今回のようにシネマライクな絵でも理想通りの絵作りができました。

──渋谷や銀座、秋葉原の雑踏で撮影しています。実際にどのように演出しているのですか。

フルタ もともと少人数で作るのが好きなので出演者とアシスタントと3人の身軽な撮影でした。街を歩きながら「ここで撮ろう」などその場の感覚で自由に演出しています。現場で「じゃあここで走ろうか」と全速力で走ってもらったり。だらだらと撮る方ではないので、ここで撮ればかっこいいなと思ったらやってもらうという感じです。仕事ではテンポのいい映像が多いんですけど、今回は映画っぽい撮り方を意識して、ワンカットを長く使ったり、人物が逆さになった状態からスタートさせたり、Ronin-Sを回転させたりなど、今までできなかった作風をかなり試すことができたと思っています。

img_special_bmpc4k_howard_04.jpg

──Blackmagic RAWでグレーディングしてみてどんな印象を持っていますか。

フルタ まずデータが軽いですね。今回はBlackmagic RAWのQ0(加工していないネイティブ品質)で収録しました。

丸1日撮りまくっても400GB。従来よりもファイルサイズが1/2近く小さくなったので、読み込み速度が上がって編集もサクサクできました。BlackmagicのLUTを当てるだけで色のベースが決まるので、カラーグレーディング初心者でも使いやすいのではないかと思います。

──作品に仕上げるにあたって色表現も自分なりのアイデアを盛り込んでいるそうですね。

フルタ 今回は色の作り方も工夫しました。自分でカラーグレーディングしているんですけど、出演してくれた葵 陽さんは、坊主頭が似合う昭和の人のような懐かしい見た目なので、街中を歩いている時には少し黄色くしています。一方、建物の中では反対色の青味がかったトーンにしました。黄色と青の連続で世界観を作っています。

img_special_bmpc4k_howard_02.jpg
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──今回改めてBMPCC4Kを使ってみた感想を教えてください。

フルタ 動画に特化した洗練されたカメラです。動いたり走ったり回したりできる機動力が欲しいので、この大きさでこの価格帯でこの色表現ができてしまうことに感動しました。

特に色に関しては撮った状態から綺麗。いろんなカメラを使っていますけど、スキントーン自体が元のフッテージ(素材)に残っているカメラはなかなかないと思います。目指したい色を作り出さなくてもそのままデータが残っています。インターフェイスもタッチ画面でわかりやすいし、初めて触った時から説明書を読まなくても使えました。動画初心者の方でも簡単に使えて、綺麗に撮れるカメラだと思います。

img_special_bmpc4k_howard_05.jpg
Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K




※この記事はコマーシャル・フォト2019年6月号から転載しています。


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