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スウェーデンの子供向け冒険番組「Trex」Pocket Cinema Camera 4Kで撮影

大人にもTrexを大きく恐ろしい存在として感じて欲しかった

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SVT(スウェーデン・テレビ)の子供向け冒険番組「Trex」のシーズン3は、Pocket Cinema Camera 4Kで撮影された。撮影を担当したのは、カメラマンのボー・パルレタン氏。このカメラを選んだ理由や撮影の様子について話を聞いた。

「Trex」は、少年の視点を通じてストーリーが語られる。そのためマグヌス・サミュエルソン監督は、大人を大きく恐ろしい存在として表現することを望んでいたとバルレタン氏は明かす。

「またマグヌスは、大人がティラノサウルスの赤ちゃんである"Trex"を同じように大きく恐ろしい存在として感じて欲しいと思っていました」(バルレタン氏)

パルレタン氏は、サミュエルソン監督にワイドアングルのレンズが被写体のサイズを不自然に歪める事例を見せて説明したという。

「この現象を正確なカメラアングルと組み合わせることで、登場人物のサイズ感を誇張できると思いました」

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制作チームが絵コンテを分解して鍵となるショットとアングルを決定したことで、小型でもシネマライクな画が得られるメインカメラが必要なことが明らかになった。

「私たちが選択したのは、Pocket Cinema Camera 4Kです。各シーズンでもっぱらPocket Cinema Camera 4Kを使用しています」

レンズは、Speed Booster Ultra 0.71xアダプターを付けたArri LWZ-1 15.5-45mm T2.6とBlack Pro Mistの1/4および1/2フィルターを使用。

「フィルターにより、ビンテージ感のあるソフトなスタイルを演出できました。スムーズで光沢のあるルックや豊富なカラーで、アニメのように仕上げたいと考えていました。猫の目の形に切り抜いた黒い紙をレンズの奥に入れることで、私が求めていたレトロな効果を出すことができました」

Trexの撮影における最初の課題は、主人公のサイラス・ストランドがまだ7才だったため、丸1日撮影することが許されていないことであった。

「時間内に、必要な全てのショットを撮影することは不可能だと思っていました。しかし、サイラスはとても賢い子だったので、画面内で共演するはずのキャラクターがそこにいなくても撮影可能なことが分かりました」

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そこで、多くのシーンはサイラスだけで撮影することになり、サイラスのピント位置が分かるようにレンズの近くに小さなテープを貼って使用した。

「このテクニックがストーリーラインに与える効果が面白かったので、多くのショット・リバースショットに使用して登場人物間の目線を繋ぐようにしました」

獣医がティラノサウルスの歯を診察するシーンで、恐竜の口の中から撮影したショットはパルレタン氏のお気に入りである。

「このシーンでは、ワイドアングルの焦点距離が上手く機能しました。ティラノサウルスの歯が極端に大きく見えて、この診察は失敗するだろうということが明らかです。これはとても効果的なショットでした。小型のカメラでないければ撮影できなかったでしょうね」

「Trex」のシーズン3は、現在スウェーデン・テレビで放映されており、SVT Playからでもオンライン視聴が可能。

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