2019年07月16日
これまで様々な映像作品の制作現場をブラックマジック・ケース・スタディとして紹介してきたが、今回採り上げるのは、ブロードウェイの舞台でブラックマジック製のカメラやスイッチャーが使用されたという事例だ。
ニュース中継の現場にいるような没入型の体験ができる舞台
トニー賞を受賞したブロードウェイの人気舞台「Network」。「ブレイキング・バッド」や「トランボ」の主演俳優ブライアン・クランストンがニュースキャスターを演じている。舞台セットはテレビ局のニューススタジオを見立てて作られており、ブラックマジックの製品群がセットの一部としても、実際の機材としても使用されている。観客は、ニュース中継の現場にいるような没入型の体験ができるという。
使われた機材は、Micro Studio Camera 4K、Studio Camera 4K、Video Assist 4K モニター/レコーダー、ATEM 2 M/E Production Studio 4K、ATEM 1 M/E Advanced Panel。ステージ上や舞台裏で使用して、パフォーマンスの撮影やライブスイッチングを行ない、マルチメディアを駆使したユニークな舞台を観客に届けた。
舞台のセットは、テレビ局内部に見立てられている。出演者やスタッフは、ステージ上や舞台裏の映像機材を駆使してスタジオに電力を供給し、ステージ上のスクリーンにコンテンツを送信した。これらの機材には、Video Assist4K やワイヤレス・トランスミッターとともに、ハンドヘルドのリグに組み込まれたMicro Studio Camera 4K、三脚にマウントしてテレプロンプターを備えたStudio Camera 4K が含まれる。Studio Camera 4K は、ニュース編集部のシーンでクランストン氏を撮影するのに使用された。
Tech crew on the London production of “Network.”
これらの機材選定に関わったビデオデザイナー/シネマトグラファーのタル・ヤーデン氏は、次のように語った。
「Micro Studio Camera 4Kは常に稼働しており、このショーのメインカメラとして活躍しました。セットの周囲を動き周り、ステージ上の複雑な流れのアクションを捉える、スムーズな長尺ステディカムショットをいくつも撮影しました。そして最も重要なのは、舞台の山場であるブライアンの狂気に満ちた独白シーンで、彼はステージ上を歩き回り、他の登場人物たちと接触するのですが、その様子も撮影したことです」
劇場の外で撮影したシーンもあった。タチアナ・マスラニーとトニー・ゴールドウィンが街中で出会い、路地を通って楽屋口から劇場へと入り、舞台に姿を表すまでのシーンもMicro Studio Camera 4Kで撮影された。それぞれのパフォーマンスの最中、すべてのシーンはライブ撮影され、劇場内の観客に向けて放送された。
「Micro Studio Camera 4K を使うことに決めた理由は、ハンドヘルドで動き回り、ステージ上ではジンバルを使いたかったからです。Micro Studio Camera 4Kはサイズの面でも機能の面でも柔軟性に優れ、屋外から劇場に入るシーンの撮影が可能だっただけでなく、ステージ上での撮影にも威力を発揮しました。何より、ブラックマジックのカメラにはシネマライクな雰囲気があり、それが私を魅了したのです。私のバックグラウンドは映画制作ですからね」
エンジニアやカメラマンは機材操作のトレーニングを受けた俳優
カメラマンたちは全員、カメラを扱った経験を持つ俳優だった。彼らは俳優労働組合を通じてこの作品に参加している。
「彼らは、いわゆる映像エンジニアやカメラマンではありません。カメラ操作のトレーニングを受けた俳優です。彼らもこの舞台の中で台詞のある役を演じています。そのような事情もあり、シンプルなカメラを探していたんです。操作が簡単で、余分な機能が一切付いてないカメラです。ブラックマジックのカメラは、このニーズに一致しました。そして低価格なため、予算内に収まったんです」
Tech crew on the London production of “Network.”
俳優がカメラマンとしての役割を担う一方、「Network」のスタッフ数名も、ニュース編集室セットの一部として舞台に上がったという。
「ATEM 2 M/E Production Studio 4Kは、ステージの下のラックに設置されていましたが、ATEM 1 M/E Advanced Panelはステージ上に設置されており、そこで実際のオペレーターが操作していました。ステージ上のATEMオペレーターは、カメラのモニタリングだけでなく、ATEMの操作が書き込まれた台本を追って、マトリックスルーターでプリセットを呼び出し、ステージ上の複数のスクリーンにカメラフィードを送信しました。作品の一部として組まれたセット内の様々なモニターを使用するにあたり、ATEMのマルチビューは、非常に便利でしたね」
「Network」
トニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞の受賞歴を持つイヴォ・ヴァン・ホーヴェが演出。パディ・チャイエフスキーによるアカデミー賞受賞作品をリー・ホールが翻案。ブライアン・クランストン演じるニュースキャスター、ハワード・ビールの狂気に満ちたスクリーン上の人生を追う。
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