2019年06月28日
ストーリーの推移に合わせて微妙に変化していくカラー
エルトン・ジョンの半生を描く伝記ミュージカル映画「ロケットマン」(パラマウント映画制作)。カラーワークフローには、全体を通してDaVinci Resolve Studioが使用されている。
同作は、ジョージ・リッチモンド撮影監督(BSC)により撮影され、オンセットDITのワークフローは、Onset Techのジョシュア・キャリス=スミス氏の手で開発・管理。また、最終デジタルインターミディエイトとオンラインはGoldcrest Postが手がけた。シニアカラリストのロブ・ピッツィ氏が最終グレーディングを行ない、Dolby Vision Domestic and Theatrical HDRとSDR Rec.709で書き出し、ラス・ホワイト氏とダニエル・トムリンソン氏がオンラインを担当した。
ピッツィ氏とリッチモンド氏は、映画の美術を使用してレンズ、露出、照明のセットアップなどを行なう初期のテスト段階において、メインのLUTを決めることからプリプロダクションを開始した。
「オンセットDITを通して、映画のベースとなるルックとして、複数の露出で3種類のLUTを作成しました。私は、ストーリーの推移を知らせるデイリー用の微妙なカラーの変化の作成を手伝いました」(キャリス=スミス氏)
「デイリーを担当したラボは、今回初めてBlackmagic eGPUを使用したのですが、5KのiMacでThunderbolt 3を介して今まで以上に速い処理速度を得られました。H.264エンコーディングでも同様の結果が得られたことには大変驚いています」(同じくキャリス=スミス氏)
制作完了後、リッチモンド氏とピッツィ氏は、撮影した映画から350フレームのスチルを選び、最終的なグレーディングに使用する、カラーの見本を作成。その後、2日間かけて各シーンのルックを選び、それに基づきピッツィ氏が2週間におよぶグレーディングを行なった。カラーの見本を基に、美的な一貫性を保つために異なるルックをマッチさせたり、再編集に対応したり、必要に応じてVFXを追加するなどの作業を行なったという。
「幼いレジーの世界には、若干抑えた、彩度の低いルックを採用しました。映画が進行するに従い、エルトンとしての世界が制御不能に陥ると、色が鮮やかになります。また、ビンテージのレンズを使用して、フレアを強調し、明るく刺激的な感覚を生み出すようにしました」(ピッツィ氏)
「ビンテージのレンズのソフトなルックを保つように心がけ、カーブの底部を調整しすぎないようにしました。あるシーンで、エルトンとレジー以外はすべて抑えたルックにしたかったんですが、シーンのラッシュには、多数の色が含まれていました。家のレンガは赤で、庭は緑にあふれ、ダンサーはカラフルなコスチュームを身につけていました。そこで、意図したルックを得るために、VFXチームにマットを作成してもらい、カラーグレーディングがダンスに参加する他の登場人物に及ばないようにしました」(同じくピッツィ氏)
「ロケットマン」は、制作:マーヴ・フィルムズ、ロケット・ピクチャーズ。監督:デクスター・フレッチャー。TOHOシネマズなど全国劇場にて8月23日公開。
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