Blackmagic ケース・スタディ

「予告犯」、Pocket Cinema CameraおよびDaVinci Resolveを使用

これまで撮れなかったアングルの画が撮れた

筒井哲也原作の人気漫画「予告犯」を映像化したドラマおよび映画が、現在公開されている。その制作には、Blackmagic Design製のPocket Cinema Camera、DaVinci Resolve、ATEM 1M/E Production Studioが使用された。

img_special_bmcase01_01.jpg©WOWOW ©筒井哲也/集英社

Tシャツ姿に新聞紙の頭巾を被った「シンブンシ」と名乗る謎の人物が、法では裁かれずに見過ごされている罪に対して、ネット上で制裁予告をし、それを実行していくというストーリー。生田斗真が主演する映画版では、この謎の予告犯とその正体を追う警察、そして一連の犯行の動機が明かされる。そして、WOWOWで放送中のドラマ版「予告犯 -THE PAIN-」では、映画版の1年後の世界が描かれる。東山紀之演ずる新たな「シンブンシ」が現れ、以前の予告犯と同じように動画サイトで予告をし、制裁を行なっていく。

主人公である「シンブンシ」が予告動画を撮影、配信するために劇中で使用するのが、Blackmagic Pocket Cinema Cameraだ。様々なアングルから撮影するため、7台のPocket Cinema Cameraが導入された。撮影時には、それらのカメラで実際に撮影も行なっており、劇中で撮影された映像としてドラマ本編でも使用されている。

img_special_bmcase01_02.jpg©WOWOW ©筒井哲也/集英社

「映画やドラマの劇中で使われるカメラは、予算の関係もあり古いものが多いのですが、物語の設定は現代なので、今っぽさを演出できるカメラを探していました」と語るのは撮影監督の相馬大輔氏。「Pocket Cinema Cameraはコンパクトながらカメラのスクリーンが大きいため、劇中で何を撮っているかが見やすくてよかったです」

映画版では、Pocket Cinema CameraをMOVIに搭載して、アクションシーンの撮影に使用したという。「大型のカメラでは入れないような場所にPocket Cinema Cameraを持ち込んで、これまで撮れなかったようなアングルの画が撮れました。例えば、渋谷の細い路地で登場人物が走るシーンでは、スタッフの1人がカメラを背負子に載せて、走りながら撮影しました」

img_special_bmcase01_03.jpg©WOWOW ©筒井哲也/集英社

また、Pocket Cinema Cameraのコンパクトさを生かして、バイクなどに取り付けての撮影も行ばわれた。ドラマ版のラインプロデュサー、佐藤幹也氏は説明する。「車が絡むような撮影が、このカメラによってすごく楽になりました。カメラが小さいことで設置場所に融通が利くようになったので、今までだったら妥協して広角な画でしか撮影できなかったようなシーンも、Pocket Cinema Cameraを使うことでより臨場感のある画が撮れるようになったのです」

「コンパクトなカメラを使うことで、今まで大きなカメラを使っていた時は、背後にスタッフを感じてしまいがちだった映像が、よりリアルな映像が得られました」と相馬氏。

img_special_bmcase01_04.jpg©WOWOW ©筒井哲也/集英社

主人公がインターネット配信で裁判をするという設定だったため、劇中の2台のモニターに映像を送るのにATEM 1M/E Production Studioが使用された。スタジオに設置されたATEMから、Pocket Cinema Cameraの出力に字幕をのせた映像と、主人公が配信をする際に使用する資料画像が、それぞれ劇中のモニターに送られた。

映画版、ドラマ版の両方とも、グレーディングにはDaVinci Resolveを使ってIMAGICAで行なわれた。

「ドラマの劇中で使ったPocket Cinema Cameraの映像は、主人公が撮った映像とわかるように、あえて本編用のAカメラとルックを変えました。

ドラマ版では主人公の過去のトラウマのシーンがいくつかでてきます。色を落としたり、時にはビビッドな色にしたりと、過去のシーンでもルックを変えています。Resolveのおかげで、副題のPAIN(痛み)を色でうまく表現できました」(相馬氏)

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