Blackmagic ケース・スタディ

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K 制作事例/藤代雄一朗

藤代雄一朗(映像ディレクター)

Interview 藤代雄一朗(映像ディレクター)

色が素直に表現されるカメラですね

SIGMAのブランドムービー「Made in Aizu」や欅坂46の平手友梨奈が踊るSEKAI NO OWARI「スターゲイザー」など、ドキュメンタリーや練り込んだ企画、ライブ収録など様々な現場で培った技術と粘り強さで数多くの美しい映像を作っている藤代雄一朗監督。

今回、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K(以下BMPCC4K)で取り組んだ内田珠鈴さんのMVでは、監督・撮影・編集までワンオペレーションで行なっている。BMPCC4Kとシグマのレンズ、Ronin-Sというシンプルな設定で森の中から新宿の雑踏、夜の公園など、全編ノーライトで様々なシチュエーションを収録した。

つばさプラス 内田珠鈴「君はもういない」
Dir+P+ED:藤代雄一朗 ST:清水文太

──彼女が歌っている場所が目まぐるしく変わります。今回どのような設定を考えたのでしょうか。

藤代 彼女が歌詞を書いているんですけど、17歳の女の子が書いたものにしてはドキッとする内容でした。内に秘めた爆発する何かがあるイメージだったので、幼くてかわいらしい女の子だけではない、毒のある不思議な世界観にしたいなと考えました。そこで、美しいロケーションの映像の中に森の奥深くで少女性のメタファーのようなものが詰まっているリュックを埋めに行く映像を挿入しよう。そこから全体の流れを考えていきました。

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彼女は笑った表情がとても可愛らしいのですが、今回の曲では大人っぽい表情を狙いたかったので、光の当たり具合や表情を狙う角度には工夫をしました。笑顔ではなく無表情でカメラを睨んでいるぐらいの気持ちで演じてもらっています。

──レンズは1本(シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM)だけで撮影しているそうですね。

藤代 夜景のシーン以外は全て18-35mmで撮影しました。今回は基本的に殆どのシーンをRonin-Sとの組み合わせで撮ったのですが、18-35mmのARTレンズはズームさせても鏡筒の長さが変わらないため、その都度バランスを取り直す必要がありません。ワイドからミドルまで1つのセッティングで解像度が高く撮れるこの組み合わせは最高でした。

──BMPCC4Kの色や絵作りはどう感じましたか。

藤代 編集時には、今回新たにオリジナルのLUTを作ってカラーグレーディングしたのですが、とにかく色が綺麗で驚きました。BMPCC4Kの素材はひとつひとつの色が素直に表現されていて、カラーグレーディングしやすかったですね。

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──BMPCC4Kを使ってみた印象を教えてください。

藤代 モニターが大きくて操作しやすいですね。今回真っ暗なロケ地で撮影したんですけど、液晶画面が明るくて助かりました。タッチパネルで設定できるのも便利です。動画に特化しているカメラなので、メニュー画面も動画に必要な操作にダイレクトにアクセスできるインターフェイスになっているのがありがたいですね。画面を見てアクセスしていくだけで設定がポンポン切り替えられて便利です。

今回、テストシュートのようにいろんなシチュエーションで撮らせてもらい、ポテンシャルの高いカメラだと感じました。これから短編映画を撮る予定があるのでぜひ使ってみたいですね。

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Ronin-Sに付けて撮影している。

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Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K




※この記事はコマーシャル・フォト2019年4月号から転載しています。


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