2019年04月26日
ルックに関するイメージをVFXに提供し、CGの照明や明るさを決定
現在公開中の、ティム・バートン監督による映画「ダンボ」。ディズニーの名作アニメーション『ダンボ』を、全く新しい物語として実写映画化した作品だ。制作においては、フルカラーパイプライン全体を通して、DaVinci Resolve Studioが使用されたという。デジタル・インターミディエイトに携わったGoldcrest Postのアダム・グラスマン氏が語った。
デジタル・インターミディエイトは、Goldcrest Postのアダム・グラスマン氏が、BSCの撮影監督ベン・デイヴィス氏と協力して完成させた。グラスマン氏とデイヴィス氏は、DaVinci ResolveのACESワークフローを使用してプリプロダクションを開始。その内容は、オリジナルアニメの特徴である、最小限のプロダクションデザインで用いられたレイヤーカラーから発想を得て、ゴールデンアワーの温かいルックを構築することだった。
柔らかい映画品質を引き立てるために、制作チームはラッシュを2Kで完成させた。その後は、Dolby Vision 2D/3D、SDR 2D/3D、HDRおよびSDRのRec.709など、様々なフォーマットでの納品に対応する必要があった。
「『ダンボ』の大部分は、素晴らしいセットと多くのエキストラで構成・撮影されました。一方で、動物と空はすべてCGで作成すると事前に決定されていました」と、グラスマン氏。同氏は、ブルーバック専用に構築されたセットが撮影に使用されたと説明する。完全CGの空は、オリジナルアニメの表現を活かしたドラマチックな背景を反映させる上で不可欠だった。
ATEM Television Studio HDスイッチャーをDITワークフローの一環として使用することで、制作チームはプリプロダクション中にデイヴィス氏が撮影した様々な空の参照イメージと、カメラからのライブフィードをキーイングできた。さらに監督からフィードバックを得て、それらのイメージはセット全体の照明や雰囲気を特徴付けるために使用された。
「ティムは、すべてのコントラストを良いレベルに保ち、CG素材を背景になじませたいと考えていました」と、グラスマン氏は続ける。「VFX業者(MPC)にはシーンのルックに関するリファレンスイメージが提供され、彼らはそれに基づいてCGの照明や明るさを決定しました。私はその流れを台無しにしないように、極めて慎重に作業する必要がありました」
同氏は、これがDolby Visionの納品において特に重要だったと話す。「例えば、CGの空は素晴らしいルックです。48NitのDLPプロジェクションと、1000NitのDolby Visionバージョンを比較すれば、Dolby Visionの色域がはるかに広く、より奥行きがあることに瞬時に気付きます。空が現実世界と同じように明るいので、繊細に扱う必要があります」
しかし、このデジタル・インターミディエイトは、映像の完全性を維持しているだけではなかった。ティム・バートン監督と仕事をすることは、カラーの実験を行なう機会が実に多いことも意味する。
「ティムの天才的な才能は、ダンボの母親が檻に入り、強い赤い光が当てられるシーンで顕著に見られます」と、グラスマン氏。「モンスターの扮装をした檻の中の動物たちがダンボの母親を囲んでいるシーンで、ティムは他の檻にも強い光を当てることに決めました。明るい緑や紫など、モンスターごとに異なる色相を作成するのは楽しかったです。シーンが引き立ちました。プロダクションデザイン、映画撮影技術、ティムのビジョンの間で、見事なビジュアルの作品が完成しました」
「ダンボ」は、TOHOシネマズなど全国劇場にて上映中。
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