2021年04月23日
大自然の中、美しい表現を、リアルなものを撮りたい衝動を写し取る
写真家・撮影監督の瀧本幹也氏は、雑誌BRUTUSの特集記事に合わせて撮影したスペシャルムービーに、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kを使用した。グレーディングにはDaVinci Resolve Studioを使用している。
瀧本氏は広告写真やコマーシャル映像、映画作品など幅広い分野の撮影を手がける。映画作品では、カンヌ国際映画祭など国内外で高い評価を受ける是枝裕和監督の撮影監督も3作品務めており、同監督の作品で撮影賞も多数受賞している。
昨年8月、瀧本氏は雑誌BRUTUSの特集記事「恋の、答え。」の写真撮影を依頼され、伊豆大島で撮影を行った。もともとは雑誌用の写真のみの依頼だったが、瀧本氏自らの提案で、雑誌の特集記事と連動した映像作品も撮影することになった。
「咋夏はコロナ禍がはじまった頃で普段の撮影もスタジオ内で行い、ずっと閉じこもっていたのですが、大自然の中に身を置いて、美しい表現を、リアルなものを撮りたいという強い衝動に駆られ、伊豆大島の裏砂漠と呼ばれる場所で撮影しました。写真撮影のみのオファーでしたが、最近は雑誌などでも関連する映像作品を撮ることが増えており、URSA Mini Pro 12Kを使用して新しい表現を試してみたかったのです」(瀧本氏談・以下同)
撮影はBlackmagic RAW 5:1の設定でCookeのアナモフィック・レンズ(35-140mm)を装着して行われ、カメラアシスタントのフォーカス調整用にVideo Assist 4Kも使用された。
この作品には印象的なダンスシーンが含まれており、そのシーンはハイスピードで撮影された。
「ハイスピード撮影の部分は、60fpsをベースに一部120fpsで撮影もしました。高解像度でハイスピード撮影ができたので、別途ハイスピード撮影用のカメラをレンタルする必要がありませんでした。カメラが増えることで、セッティングや運搬の手間も増えるので、そういった心配がないのはよかったですね。
私はあまり解像度に拘らないのですが、せっかく自然の中で撮影できることもあり12Kで撮影しました。今回の仕事は写真撮影がメインで、それにはフィルムカメラを使ったのですが、実はBRUTUSの誌面で使用した写真の中にはURSA Mini Pro 12Kで撮影したBRAWの静止画像も含まれています。驚いたのは、12Kの切り出し画像が最新のデジタルカメラの解像度よりも高解像度だったことです」
URSA Mini Pro 12Kで撮影された同作品のグレーディングはDaVinci Resolve Studioを使って行われた。
「グレーディングの際に気を配ったのは、フィルムで撮影した写真と同じようなトーンにするという点です。デジタル撮影ではよく写りすぎる、ということもありますが、そこをフィルムのような質感にするようにしつつ、あまり色を作り込みすぎず、自然なトーンで仕上げてもらいました。
写真撮影と合わせてのロケで時間があまりない中、コンパクトな機材セットアップで効率的に撮影できました。今度はよりコンパクトなBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proなども使ってみたいですね」
石橋静河 恋の、答え。|BRUTUS 2020年11月1日号
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