玉ちゃんのライティング話

第4回 円柱、円錐、球のライティングパターン

解説 : 玉内公一

玉:玉内 編:編集部

 前回、四角い箱のライティングの基礎を教えてもらいましたけど、円柱や球みたいなものは、どうするんですか?

 そう来ると思いました。

 四角い箱は「面ごとに明るさを考えよう」という話でしたよね。では湾曲した面を持つ円柱は?

 まぁ、明るい所と暗い所、また中間の明るさを作り、立体的に見せていくという基本的な考えは変わりないんですね。だから、よほど極端な形でない限り、四角い箱と同じセッティングで撮れば、それなりに自然に見えるのです。

 つまり、メインはやや斜め上にセットして、全体的にバランス良く光をあてるというパターンですね。

 それが基本になると思います。

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左の写真は、手前やや斜め上からライトをあてた作例。花瓶半分を暗く落とし、フォルムを強調した。右の写真は後方やや斜め上からのライティング。半逆光になり、花瓶全体のフォルム、立体感は表現できないが、透過する光がチューリップを瑞々しく見せている。

img_tech_lightingstory04_03.jpg
3つの作例のセット。
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上の写真は真正面やや上方からライトをあてた作例。曲面のため正面からの光でも、周囲が落ちて丸みが出る。花瓶全体を見せるライティング。


 では、今回は円柱、円錐、球を使ってライティングのパターンを見ていきましょう。素材が発砲スチロールなので、表面はあまりきれいじゃないのですが、明暗を見るのにはいいでしょう。

まず、わかりやすい円柱から。これは四角い箱と同様に、立てた状態だと天面(トップ)がある。基本はここを一番明るくして、どちらかのサイドをやや暗く、もう一方のサイドをシャドーにする。ただし、作例のように細長い円柱だと、サイドの面積が広く、そこがポイントとなる場合もある。その時は、サイドに一番明るい面を持ってきます。

 缶ビールとかは、サイドのラベルをメインに見せたいですからね。サイドのシャドー面積は、ライト位置によって変わりますけど、どのくらいがいいんですか?

 確かに平面で構成される立方体と違い、連続する曲面はメインライトの位置でシャドーの面積が変わる。そこがポイントです。明るい部分の面積を広くするか、シャドーを広くするか、それは撮影意図や被写体によって変わります。それと同時に、明るい部分と暗い部分が連続した面になるので、どのように明暗のグラデーションを作っていくかも大切なんですね。

その辺は次回、詳しくお話しします。

円柱のライティングパターン

メイン+非常に弱いフィルインで撮影。
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左斜め手前、45度の高さから
左斜め上45度にライトをセット。トップを明るくした基本的なライティング。
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左斜め手前、20度の高さから
左斜め方向、ライトをやや低め(20度)にセット。トップよりサイドを明るくした。

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真横、20度の高さから
真横、20度ほどの高さからのライティング。右側のシャドー面積を広くした。
img_tech_lightingstory04_08.jpg
正面、20度の高さから
レンズ光軸方向、やや高い位置からのライト。正面が明るくなる。


 では続いて円錐型。これは天面がないですよね。

 だからサイド面の横方向だけでなく、縦方向でも明暗のグラデーションを作る。やはり上からの光を意識させた方が自然なので、上の方を明るくするのがノーマルですね。四角い箱と違い、曲面は光が回るので2灯使わずとも、1灯をやや上方からあてれば自然に仕上がる。今回の作例でも、フィルインは入れていますが、かなり弱めで、メイン1灯で明るいところから暗い部分までのグラデを作ってます。

円錐のライティングパターン

メイン+非常に弱いフィルインで撮影。
img_tech_lightingstory04_09.jpg
左斜め上、45度の高さから
斜め上からライティング。天面がない円錐だが、上からの光を感じさせる。
img_tech_lightingstory04_10.jpg
左斜め手前、水平位置から
ライトは被写体に対してほぼ水平位置、斜め手前からのライティング。

img_tech_lightingstory04_11.jpg
真横、水平位置から
ほぼ真横からのライティング。右側のシャドー面積を大きくした。
img_tech_lightingstory04_12.jpg
正面、20度の高さから
カメラ位置よりやや高めからのライト。正面が明るくなる。


 球もそうですか?

 そうですね。1灯でも斜めから光をあてれば、直に当たるハイライト部分、光が回って徐々に落ちていく部分、そしてシャドー部ができる。

 簡単ですね。

 否! 球&曲面を侮るなかれ。簡単にそれなりのグラデーションができるから立体感、曲面の感じは出ますが、先ほど話したように、どれだけシャドーの面積を作るか、どんなグラデーションを作るかで、モノの表情は変わっていく。シンプルだけに奥が深い、センスが問われる部分です。

 その辺は次回に続くってことで。

球のライティングパターン

メイン+非常に弱いフィルインで撮影。特に球などはメイン1灯でも近い仕上がりになる。
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左斜め手前、水平位置から
右側にシャドーができる、球の基本的なライティング。
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真横からの光
右側半分がシャドーになる。ちょうど半月状態。

img_tech_lightingstory04_15.jpg
正面からの光
曲面のため全体に光が回るが、周囲はやや落ちるので立体感は出る。
 

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ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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