2012年04月03日
G: 117
B: 122
G: 139
B: 170
G: 150
B: 131
G: 142
B: 112
玉:玉内 編:編集部
玉 前回まで、グレースケールと光量/明るさの関係を見てきたわけですが。
編 中間グレーの数値が119なら適正露光ということでしたよね。
玉 そうです。でも、グレースケールには適正光量を知るだけでなく、もう1つ、重要な役割がある。特にデジタル撮影では、適正露光を計るよりも、重要かもしれない。
ニュートラルグレーのRGB値が均等に再現されていれば、その写真の色味は正確と言える。このグレーのバランスは、デジタル撮影では撮影段階や後処理で調整が可能だ。また、あえてカラーバランスを変えることも簡単にできる。上の作例はRAW現像段階でカラーバランスを変えている。上段左のカットがRGB値115〜122で、ほぼ適正露光、グレーバランスも取れている状態。上の写真の数値が各写真のグレーチャートのバランス。
編 グレーバランスですね。
玉 今更ながらですが、一応、説明しておくと、デジタルカメラはフィルムと違って、決まった「対応色温度」がない。言い換えれば、対応する色温度というのはカメラの設定で自由に変えられる。色温度が低いタングステン光下でも、色温度の高い晴天下でも、カメラの設定を合わせれば、正確な色で写る。
編 正確な色とは?
玉 この場合の「正確な色」とは「見たままの色」ではなく、「ニュートラルなグレーが、色のかぶり、色の転びがなく正しく写っている」ということですね。そのための基準として、グレースケールやグレーカードが用いられる訳です。
さてデジタルのRGBデータで、ニュートラルなグレーとは、RGB数値が均等になっていることです。コダックのグレースケールのM点(中間グレー)の数値がR=119、G=119、B=119であるなら、適正露光であり、かつグレーバランスが取れているということですね。
厳密に言えば、中間グレーだけでなく、シャドー側、ハイライト側のグレー、コダックのスケールならB点、A点でもRGBが均等でなくてはならないのですが、ベースとなる基準として、中間のグレーが合っていれば、絵柄全体もほぼ合っていると考えて、まず中間グレーのRGB値をチェックするわけです。
編 中間グレーのRGB平均数値が119で適正の明るさだとしても、各数値が違っていたら 。
玉 グレーバランスがズレているということです。でも、フィルム撮影のように、フィルムと光源の色温度を合わせるため、ライトにカラーフィルターをかけたりする必要はなく、カメラの色温度設定を調整したり、RAW現像やPhotoshopの後処理で簡単に補正できるんですけどね。逆にカラーバランスを変えた表現も、上の作例のように、デジタル処理で簡単にできてしまうわけです。
ただ問題なのは、簡単に補正できると言っても、あくまで単一光源の場合で、たとえば2灯ライティングでそれぞれのライトの色温度が違っていたら、補正は面倒ですよ。従来通り、フィルターで2つライトの色温度を揃えておくのが理想です。
編 同じ種類のストロボでは、そんなに色温度の違いはないでしょう?
玉 それが意外とあるんです。新品のストロボヘッドは大体色温度が5000〜5500K(ケルビン)、いわゆる「デイライト」ですが、発光の度に細かいホコリがチューブに蒸着して、1年ぐらい使っていると黄ばんでくる。大体500Kぐらいはすぐに下がってしまう。昔は新品のストロボヘッドを買ったら、古いストロボと色温度を合わせるために、たばこの煙を吹きかけたりしたんですよ。ある程度、黄ばんだら後はあまり変化しないから。
編 また、健康に悪そうな 。
玉 黄ばむと言えば、バンクやディフューザーなども、黄ばんでくると、色温度が低くなる。古いバンクに古いストロボヘッドなんて組み合わせだと、1000K以上、違ってくるんじゃないかな。
すべてのストロボが平均的に下がっているなら問題ないんです。後で補正できる。でも、たとえば新品ストロボの直光と、古いバンクのミックス光だと、かなりの差があるわけで、これが、撮影時点では気にならなくても、後の色補正などで、色むらが強調されたりするんですね。
手持ちのストロボやバンクの色の傾向は、グレースケールを撮ればすぐにチェックできるので、一度、確認しておくといいですよ。
手持ちのライトの色味をチェックしてみよう
色温度を数値で計る場合は、カラーメーターがあると便利だが、色の傾向を把握するだけなら、グレースケールを撮り、RGB値をチェックすれば良い。撮影の際、周辺光、壁のバウンスなどの影響を受けないように注意する。
セコニック
カラーメーター
「C-500」
新品ライトヘッド、リフレクター直光
グレースケールのM点のRGB値は、Photoshopの情報パレットで確認できるが、こちらも各数値がほぼ均等に揃っている。
新品のバンクライト
古いバンクライト
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玉内公一 Kohichi Tamauchi
ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。
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- 第33回 段階露光したカットをデジタル合成
- 第32回 ライティングと色味の調整で朝〜夕の光を演出
- 第31回 Photoshopでライティングの仕上げ
- 第30回 グレーバランスとRGB数値
- 「玉ちゃんのライティング話」が本になりました
- 第29回 3段アンダーの画像を救う3つの方法
- 第28回 グレースケールをヒストグラムで見る
- 第27回 ヒストグラムとライティングの関係
- 第26回 最初に揃える照明機材は?
- 第25回 ライトパネル+アンブレラで撮影
- 第24回 スローシャッターを使った表現
- 第23回 アクリルボードを使った背景の演出
- 第22回 カラーフィルターで背景を作る
- 第21回 ライトで背景のグラデーションを作る
- 第20回 ボトルのエッジを光らせろ
- 第19回 天からのスポットで被写体を強調
- 第18回 透明感を演出するライトテーブル撮影
- 第17回 バンクライト2灯でクラムシェル
- 第16回 商品撮影に便利な「天トレ」セット
- 第15回 モーテンセンの5つのパターン
- 第14回 ポートレイトライティングの組み立て
- 第13回 ループ、スプリットそしてバタフライ
- 第12回 レンブラントライティングで撮るポートレイト
- 第11回 半逆光でモノがよく見える
- 第10回 透明物の透過光撮影と黒締め
- 第9回 入射光式露出測定と反射光式露出測定
- 第8回 黒でシャドーを締める
- 第7回 鏡面の被写体を撮る
- 第6回 柔らかい光 硬い光
- 第5回 明暗のグラデーションを作る
- 第4回 円柱、円錐、球のライティングパターン
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- 第1回 フィルインライトは 天空の輝き?