2011年11月11日
玉:玉内 編:編集部
玉 ライトパネルって知っていますか?
編 このコーナーでも、作例の状況写真によく登場するあのパネルですね。
玉 私が使っているのはフォトフレックス社の「ライトパネルシステム」(取り扱い:KPI www.kenko-pi.co.jp/)ですが、各社それぞれの名称、商品名がありますね。
折り畳み式の骨組みに、ディフューザーなどの布(ファブリック)をつけて使うアクセサリーです。フォトフレックスのライトパネルの場合、光を透過するディフューザー布や、レフや遮光に使う片面白、片面黒の布、銀やゴールドもあって、それを用途に応じて付け替えるようになってます。
トレペやレフ板でも同じことはできるのですが、これだとセットを組むのも簡単。
編 ロケ撮影にもいいですね。
玉 今回は、そのライトパネルとアンブレラを使ったライティングを紹介しましょう。アンブレラは誰もが持っている基本的なライティングアクセサリーだけど、ライトパネルを組み合わせることで、ライティングのバリエーションも広がります。
作例1:アンブレラの左右に黒パネルを置く
左斜めからアンプレラ1灯のライティング。黒面にしたパネルをアンブレラの両サイドに立てることで、左右、背後に広がる光をカットしている。
玉 上の作例1は、パネルに黒布をつけてライトカッター的に使った作例。スタジオではカポックと呼ばれる黒面のスチロール板を立てたりしますが、アレと同じです。
編 渋い仕上がりですね。
玉 小さなスタジオやマンションルームでの撮影の場合、アンブレラでは周囲に広がった光が壁にバウンスして、光が回りすぎるんですよね。かといってリフレクター光だと、照射範囲が狭いし、光も硬い。アンブレラも光を上手くカットすることで、必要な部分にのみ拡散光をあてることができます。
作例2:アンブレラの光をディフューザーでさらに拡散させる
被写体左からアンブレラ1灯のライティング。半透過布をつけたディフューザーパネル2枚をアンブレラ前に置き、光を拡散。またアンブレラの後ろには、不透過の白面をつけたレフパネルを壁のように並べ、周囲に行く光をバウンスさせている。
玉 作例2は、ディフューザーパネルでアンブレラの光を拡散させた作例。アンブレラの光自体、拡散光ですが、それをさらにディフューズすることで、より柔らかな光となる。アンブレラ直光では「まだ光が硬い」という場合、この方法がお勧めです。
さらにこのセットでは、アンブレラの後ろにもレフ状態にしたパネルを置き、周囲に行く光をバウンスしている。
編 壁バウンスのような感じですね。
玉 1灯でも光が充分に回ることをお見せしたかったのですが、写真としては光が回りすぎかな?
編 もう少しメリハリが欲しいですね。
作例3:パネルでアンブレラを囲みボックスライトを作る
メインライトは被写体左側からの面光源。アンブレラ正面にディフューザーパネルを置き、左右はレフパネルの白面を内側に向けて囲み、大きなボックスライトのような状態にしている。右側にもレフパネルを置いて、シャドーを起こしている。
玉 そこで、作例3ではパネルでアンブレラを囲み、簡易ボックスライトを作ってみました。アンブレラ正面は透過ディフューザー、左右は内面白、外面黒の幕を使い、横から光が漏れないようにしています。
編 その効果は?
玉 アンブレラ直光だと、傘の形のハイライトが出てしまうのですが、これだとバンクライトのような面光源になる。しかも光源がアンブレラだから、普通のバンクより大きくムラのない面光源が作れる。さらに周囲に洩れる光を抑えているので、余分な光が被写体に回り込むこともない。
作例4:透過アンブレラでレフパネルにバウンス
上のセット写真は、モデル側から見たところ。アンブレラ2灯のライティング。メインライトの透過アンブレラは、レフパネルに向けてバウンス。フィルインライトとして、逆サイドからディフューザー越しに弱い光をあてている。アンブレラ直の光が、モデルのおでこや目にハイライトを入れる。
編 作例4は大がかりなセットですが。
玉 これはアンブレラを2灯使っています。メインライトは透過アンブレラで、レフ状態にしたパネルにバウンスさせた光。フィルインライトとして、逆方向からディフューザー状態にしたパネル越しに、アンブレラの光をあてています。
編 メイン、フィルともディフューズじゃだめなんですか?
玉 仕上がりの光の回り方はそんなに変わらないと思うのですが、ここで透過アンブレラをバウンスで使ったのは、アンブレラからの直光が欲しかったからです。透過アンブレラは、100パーセント光を透過するのではなく、一部の光は通常のアンブレラと同様に、前方に反射します。
編 つまりその光が被写体に直にあたる。
玉 それが女の子の目のキャッチライトや、おでこのハイライトに効いてくるわけです。
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