製品レビュー

中判ミラーレスカメラ「GFX 50S」&「X1D-50c」の実力を徹底解析! ②

解説・撮影:BOCO塚本(フォトグラファー)

前回に引き続きハッセルブラッド「X1D-50c」と富士フイルム「GFX 50S」のハイエンドデジタルカメラ2機種を比較する。今回は実際に両機を使用し撮影してみた。

「GFX 50S」&「X1D-50c」の作例

HM=笨田ゆかり(Office Myuu) ST=岸本有生(Office Myuu)
T=HEATHER MEDENDORP(Visage model management)
GFX 50S
img_products_review_fujihassel_02.jpg
レンズ:GF63mm F2.8 R WR
ISO:100
露出モード:マニュアル
WB:マニュアル
画質:ロスレス圧縮RAW
シャッター:1/60
絞り:f4
img_products_review_fujihassel_16a.jpg 比較的近い距離からのモーラリフレクター1灯によるライティング。f4でも中判らしいボケはしっかり効いている。モーラ1灯だと200Wのモデリングは暗くて肉眼では足元などはっきり確認できないが、EVFは細部まで確認できる。LightroomでWBと露出のみ調整。
※画像をクリックすると別ウィンドウでオリジナルデータを表示
X1D-50c
img_products_review_fujihassel_03.jpg
レンズ:XCD 3,2/90MM
ISO:100
露出モード:マニュアル
WB:マニュアル
画質:RAW
シャッター:1/180
絞り:3.2
img_products_review_fujihassel_17.jpg f3.2は、XCD90mmの開放で撮影。中判用レンズは開放が暗めだがキレイなボケを提供する。色収差がしっかり抑えられシャープネスも良好。明るいレンズでよく見られる軸上色収差やカラーフリンジが全く確認できないのは素晴らしい。LightroomでWBと露出のみ調整。
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レリーズ時に感じた使用感の違い

実際に両機を使用して撮影。今回はテザー撮影ではなくSDカードをメインに使用。媒体はどちらもSDXCまで対応しており執筆時点では512GBが最大です。撮影ではSDHC 95MB/sのカードを使いましたが、書き込み待ちなどのストレスはなし。

「GFX 50S」のEVFは369万画素、「X1D-50c」が226万画素です。画素数は違いますが、覗いた感じはあまり差がありません。「X1D-50c」の方が発色とコントラストが自然で見やすいと感じましたが、「GFX 50S」はメニューで明るさ、彩度、コントラストの調整ができます。また、カメラを振った時に発生するファインダーのブレは確かに感じますが、「GFX 50S」は100フレーム/秒とレートが上がっているので人物の動きを追って撮影する程度のスピードでは気になりません。「X1D-50c」は記載がありませんが同様の印象です。ファインダーについてはディレイ(遅延)を気にする人もいますが、0.005秒とレリーズタイムラグの1/10程度だと今回のような撮影では、私の反射神経のほうが問題です。

少し気になったのは、レリーズ時のブラックアウトです。Rawのみの撮影の場合は「X1D-50c」の方がわずかに長くなります。16bitの3FRは105MBで14bitロスレス圧縮のRAFの2倍超の巨大なファイルサイズが原因です。ファームアップでロスレス圧縮に対応すればブラックアウトも短くなるはずです。早めの対応を期待しましょう。さらに、「X1D-50c」はRaw+Jpegで撮影すると約2秒のブラックアウトになります。画像処理エンジンが、「H6D」と共通で内部でJpegを生成することを考えて設計されていないからです。これはハッセルブラッドの「情報量で劣るJpegを記録する意味が無い、後で処理できるところは後で行なう」という考え方です。この考え方には同意できますが、Jpegが必要なスタイルの人には厳しいかもしれません。「X1D-50c」はRaw専用モデルと考えても良さそうです。

安心感と撮影テンポに影響するフォーカス性能の差

作例のようなモデル撮影の場合は、ほぼ全面をカバーするフォーカスポイントはとても助かります。どちらもコントラストAFのみですが、遅いとは感じません。中判の撮影リズムは35mmフル、APS-Cなどと比べて少しゆったりしたテンポになります。ミラーレスのせいではなく、中判一眼レフでも同じような感じになるはずです。私は速度よりコントラストAFの精度による安心感の方が重要です。位相差AFは精度の点でどうしても信用できません。絞り込んで被写界深度が深い場合は良いですが、開放近くの絞りで撮影する時はその2~3倍のコマ数を撮影しないと安心できません。

特に「GFX 50S」はフォーカスポイントを最大425ポイント使用することができ、エリアも1点から3×3、5×5と選べるので深度によって使い分けることできました。一見便利そうな顔瞳認識AFですが、レリーズするごとに顔認識に時間がかかり少しテンポがよくありません。

「X1D-50c」は、フォーカスポイントが35点と少なくサイズも大きめです。引き気味の撮影では厳密なフォーカスは難しいと思っていましたが意外にほしいところにフォーカスが来ていました。こちらのカメラはレンズシャッターを採用しているのでシャッタースピードは最速1/2000までですが、ストロボには全速同調します。



※この記事はコマーシャル・フォト2017年7月号から転載しています。


写真:BOCO塚本

BOCO塚本 BOCO Tsukamoto

1961年生まれ。1994年フリーランス、2004年ニューヨークSOHOにてART GALA出展、2007年個展「融和」、ほかグループ展、執筆多数。公益社団法人日本広告写真家協会(APA)理事、京都光華女子大学非常勤講師。

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