製品レビュー

Panasonic LUMIX GH5Sの動画性能を検証する②

撮影・解説:VideographersOnline 小島真也・安友康博(www.thevideographersonline.com
モデル:結崎有理(ワイスプロダクション www.wise.ne.jp

前回に続いて、パナソニック LUMIX GH5Sを使用して鎌倉・湘南を撮影したファーストインプレッションをお届けする。また、鹿野宏氏によるGH5とGH5Sの高感度比較も掲載した。

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>前回 「Panasonic LUMIX GH5Sの動画性能を検証する①」

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顔・瞳認識AFの進化とあえてボディ内手ブレ補正を外したGH5S

動画にオートフォーカスは向かないと常々思ってきた筆者だが、ディープラーニング技術による人体認識機能を使った「顔・瞳認識AF」の進化には、文字どおり目を見張るものがあった。全身ならば人体として認識することを理解できるのだが、半身の横顔や後ろ姿でも人体と認識してフォーカスを合わせにいくのだ。おまけにGH5よりも1段暗い-5EVからAFが機能する。

鶴岡八幡宮参道を歩く彼女をカメラ固定で追う

横顔、後ろ姿もしっかり合焦

img_products_panasonic_gh5s_rev_04.jpg img_products_panasonic_gh5s_rev_05.jpg C4K 30p 10bit V-Log L 収録 1/60S 絞りオート ISO320 AF

カメラに向かって歩くFF(フルフィギュア)、そのままカメラ横をすり抜けるBS(バストショット)、少し歩いて振り向く時はKS(ニーショット)、また背を向けて歩き始めるという一連のシーンをAFで撮影。カメラと正対している時にAFが外れないのは今や当たり前として、カメラ横をすり抜ける時もフォーカス位置はそのまま。その先の後ろ姿にもしっかりとフォーカスし、少し歩いて振り向いた時の顔にもぴったり合っている。その後も歩き続けるのだが、モデルの先には何人もの人が歩いている。どの人の後ろ姿にフォーカスしようかとAFが迷うことは一切なかった。空間認識技術とディープラーニング技術による人体検出機能「顔・瞳認識AF」の進化、恐るべしだ。



新開発センサー採用以外のGH5との大きな機能差がもうひとつ。GH5Sはボディ内手ブレ補正(以下、B.I.S.)が非搭載なのだ。動画を主に撮影するユーザーなら経験があるかもしれないが、車載固定撮影や大音量のライブコンサートの撮影時、B.I.S.では不具合が出ることがある。B.I.S.をオフにしているのだが、車両の急激な加速度やコンサートの過度な重低音により、センサーが片寄ったり共振したりして、映像に予想外の揺れが発生してしまうのだ。撮り直しのきかないシーンでは致命的なミスになりかねない。そのようなリスクを抱えて使うくらいなら、「いっそ外してしまったほうが良いのでは」という開発者の割り切りをGH5Sには感じる。B.I.S.を搭載しないことで、わずかだが(約-65g)軽量化もされた。また、B.I.S.省略の副産物として内部設計に余裕ができたため、センサーの放熱効率が上がった。収録中の熱暴走により強制シャットダウンされることなく時間無制限(ACアダプターとダブルSDカードスロットをリレー記録に設定)に収録できることもうれしい進化だ。

GH5Sは、GH5の単なるマイナーバージョンアップ機ではない。同じ生まれでも違う進化を遂げたカメラだ。これだけ性格が違うと得意なシーンがそれぞれにあり、どちらかひとつを選ぶことは難しい。既にGH5を所有しているなら、レンズ資産の共有も視野に入れて、GH5Sを買い増しし、どんなシーンにも対応できる撮影スタイルを作ることも可能かもしれない。

七里ヶ浜 浜辺を歩く彼女を手持ち撮影で追う

移動撮影にはスタビライザーを使用

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GH5Sにはボディ内手ブレ補正機能が非搭載である。したがって手持ち移動撮影などでは、動画収録でお馴染みのジンバルやスタビライザーの使用が望ましい。と言っても小型軽量のGH5Sなので、大げさなものは必要ない。今回はWenPod MD2という3軸式のスタビライザーを用意(3kgまでのカメラに対応)。ボディ+レンズ+可変NDフィルター(GENUSTECH製 約64g)+スタビライザーの総重量は2.5kgほどだが、両手を使ってしっかりとホールドできるため、重量感はさほど感じない。レンズ内手ブレ補正もオフにして撮影している。GH5のボディ内手ブレ補正+レンズ内手ブレ補正の微動だにしないヌル~ッとした画も捨てがたいが、歩いている感じが伝わってくる今回の組合せも動画的で好印象だ。




GH5Sの高感度性能はどれだけ進化したのか?

撮影・解説:鹿野 宏 モデル:米田和子

GH5Sの英断は画素数をCinema4K動画にギリギリ必要な約1000万画素に落とし、撮像素子ひとつのセルサイズを約1.96倍まで拡大させたことだ。その結果、1画素あたりの受光能力は拡張し、S/N比約1.5段アップ、感度特性を約2.4倍に向上させている。写真としての総画素数は減ったものの、トレードオフで手に入れた高感度時における広いダイナミックレンジの価値は非常に大きい。マイクロフォーサーズ機でありながら「悪条件でも綺麗な動画を撮影できる」カメラとなっている。


しかし、ピクセルサイズを拡張しただけではこれほどの高感度性能は難しい。実際のところ4/3インチ約1000万画素のセルサイズは、4000万画素フルサイズセンサーとほとんど同じ。それ以上の高感度性能を実現するためにGH5Sでは「デュアルネイティブISO」を採用した。AD変換コンバーター以前のアナログ状態で、ISO800までは低感度用にチューニングした無理のないカーブを使用し、ISO1600以上はノイズ処理を前提とした高感度専用処理回路に切り替わる。アクロバティックではあるが理にかなった技術で、高感度側に振ってしまえば低感度の性能が落ち、低感度側にチューニングすれば高感度の品質が落ちるというジレンマを解決している。

GH5 ISO12800 実写
GH5S ISO12800 実写
通常、このような低照度、つまり高感度で人物をスタジオ撮影することはないのだが、高感度性能とともに肌のグラデーションと色再現を検証するため、あえて超高感度で動画撮影をしてみた。ご覧の通りGH5Sはノイズが少ないだけでなく、自然な色味、グラデーション、解像感を維持しながら高感度を実現していることがわかる。

さらに「ノイズのみを選択的に処理してディテールを残す」高精度マルチプロセスNR、「RAWデータから色成分を演算する際に参照するエリアを従来の9倍に拡大」したマルチピクセル輝度生成、「シャープネスをかけるべき部分とシャープネスをかけないグラデーション部分の高精度な判定」、「強い縁取りをかけないシャープネス」などを実現するインテリジェントディテール処理など、これまでよりもはるかに大量の情報を処理することで、高感度領域でのノイズの少ない自然な色味、階調を実現している(高感度だけなく、通常撮影時においても特に肌色再現が向上している)。


そしてまた、これらのメリットは動画だけではなく、静止画でも劣悪な条件の取材撮影、モデル撮影でも大きなメリットだろう。風景を除いて取材撮影や通常の商品撮影で要求される画素数は800万画素あれば充分なことが多いのだから。

GH5とGH5S のステップチャート撮影比較

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GH5 GH5S ISO12800 カーブ比較
30段のステップチャート(1/3EV刻み)をGH5とGH5Sで動画撮影。GH5Sの階段の傾斜はISO800時とほぼ変わらず(ラチチュードを維持)、7絞りまで階段の線のブレ(ノイズ量を表す)も出ていない。

Panasonic LUMIX GH5S

レンズマウント:マイクロフォーサーズマウント
撮像素子:4/3型Live MOSセンサー
カメラ有効画素数 / 総画素数:1028万画素 /1193万画素
ファインダー:0.5型 / 約368万ドット有機EL(OLED)LVF
モニター:3.2型 / 約162万ドットモニター / 静電容量方式タッチパネル
記録メディア:SD / SDHC / SDXC(ビデオスピードクラス対応)/ ダブルカードスロット
AFモード:顔・瞳認識 / 追尾 / 225点 / 1点 / ピンポイント / カスタムマルチ / ローライトAF / 星空AF
測光方式:1728分割測光
測光モード:マルチ測光 / 中央重点測光 / スポット測光
最高感度:51200(拡張時204800)
動画記録:FHD / 4K / C4K
ハイスピード撮影:FHD時最大240fps / 4K・C4K時 最大60fps
大きさ重さ:W約138.5mm×H約98.1mm×D約87.4mm / 約660g(本体、バッテリー、メモリーカード1枚含む)
価格:オープンプライス
panasonic.jp/dc/g_series/gh5s/

※この記事はコマーシャル・フォト2018年4月号から転載しています。

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