2009年08月04日
玉:玉内 編:編集部
編 コマーシャル・フォトで好評連載中の「玉ちゃんのライティング話 基礎実践編」、装いも新たに、Web版のスタートです。しかし、せっかくのWeb版だというのにずいぶんとシンプルな作例写真ですね。
玉 基礎なので、光のあたり方がわかるようにという配慮です。追々、カラーの被写体も増えていきます。
編 それを聞いて安心。で、基礎実践編というのは?
玉 ストロボを使ったスタジオライティングを、基礎の基礎から色々と考えてみようと思ってます。
自然の光の中で見るモノがもっとも自然に見える。自然の光とは強いメイン光である太陽光線と、地球の大気で拡散したフィルイン光がミックスされた状態だ。
玉 さて、モノが自然で立体的に見える光とは、どんな光だと思いますか?
編 それはやっぱり自然の光でしょ。
玉 そう。明るい部分があって、適度に影がある。当たり前ですが、我々人間が一番見慣れた太陽の光、つまり自然の状態の光が、もっとも「自然」なわけです。
昔は5月〜10月、薄曇りの日のワシントンD.C. の10時から14時までの光が写真的昼光=Photogenic Daylight なんて言われてましたしね。
編 なんでワシントンD.C. ?
玉 アメリカのフィルムメーカーが決めたことだから
。
それはさておき、もう少し分析していきましょう。自然の光は、太陽が光源です。
とても離れた地点から、地球にあたっている。だから、平行光線と考えられます。そして地球には大気があり、太陽の光はその大気で散乱(拡散)され、ちょうどドームのように空全体が明るくなるわけです。
南の空に太陽がある場合、南からの光がモノを照らし、反対方向に影を作りますが、それと同時に空全体、周囲360度からも柔らかな光があたっているわけです。
編 つまりその状態が、モノが自然に見える状態だと?
玉 そうです。スタジオライティングとは、人工の光でその状態を作ることからスタートしているんですね。南からの日差しがメインライト、天空から周囲に回り込む光はフィルインライト。フィルイン(fill in)とは「満たす」ということです。
曇りの日はメインの太陽光が弱まり、影が薄くなる。つまりメインライトにトレペなどのディフューザーをかけた状態ですね。
たとえば月には大気がないので、月面の写真は明暗差が激しいでしょう?
スタジオで1灯を直に被写体にあてると、これに近い光になります。これではモノは自然に見えません。
編 スタジオ撮影でも空全体からの光が必要なんですね。
玉 そう。もちろん被写体のサイズによっては、1灯でも全体に光が回る場合もありますが、通常はメインに対して、被写体全体を柔らかく覆う光を入れる。簡単なのは反対側にレフを置くことですよね。2灯使うなら、1灯を強めのメインして、もう1灯はバンクなどを使い、広い範囲の拡散光を あてればいい。
編 なるほど。だからメイン1灯とバンク1 灯が基本になるわけですね。
玉 基本ついでに言うと、メインがあたる明るい側と、影の側の明るさの比は3:1。
ただし、あくまで基本ですよ。表現や目的によってまた違った解答はあるわけですから。
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玉内公一 Kohichi Tamauchi
ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。
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- 第34回 デジタルカメラの落とし穴
- 第33回 段階露光したカットをデジタル合成
- 第32回 ライティングと色味の調整で朝〜夕の光を演出
- 第31回 Photoshopでライティングの仕上げ
- 第30回 グレーバランスとRGB数値
- 「玉ちゃんのライティング話」が本になりました
- 第29回 3段アンダーの画像を救う3つの方法
- 第28回 グレースケールをヒストグラムで見る
- 第27回 ヒストグラムとライティングの関係
- 第26回 最初に揃える照明機材は?
- 第25回 ライトパネル+アンブレラで撮影
- 第24回 スローシャッターを使った表現
- 第23回 アクリルボードを使った背景の演出
- 第22回 カラーフィルターで背景を作る
- 第21回 ライトで背景のグラデーションを作る
- 第20回 ボトルのエッジを光らせろ
- 第19回 天からのスポットで被写体を強調
- 第18回 透明感を演出するライトテーブル撮影
- 第17回 バンクライト2灯でクラムシェル
- 第16回 商品撮影に便利な「天トレ」セット
- 第15回 モーテンセンの5つのパターン
- 第14回 ポートレイトライティングの組み立て
- 第13回 ループ、スプリットそしてバタフライ
- 第12回 レンブラントライティングで撮るポートレイト
- 第11回 半逆光でモノがよく見える
- 第10回 透明物の透過光撮影と黒締め
- 第9回 入射光式露出測定と反射光式露出測定
- 第8回 黒でシャドーを締める
- 第7回 鏡面の被写体を撮る
- 第6回 柔らかい光 硬い光
- 第5回 明暗のグラデーションを作る
- 第4回 円柱、円錐、球のライティングパターン
- 第3回 四角い箱のライティング
- 第2回 メインライトの位置を考える
- 第1回 フィルインライトは 天空の輝き?