玉ちゃんのライティング話

第2回  メインライトの位置を考える

解説 : 玉内公一

玉:玉内 編:編集部

 前回は、太陽の下でモノを見るのと近い状態を、メインライトとフィルインライトで作るという話でした。

 メインが太陽光、フィルインが空全体から拡散して降り注ぐ光という考え方ですね。今回は、それをもう少し応用して、メインライトの位置を考えてみようと思います。

 普通、メインライトは斜めからあてますよね。

 斜めからあてた方が、正面からあてるよりも自然な影ができて、立体感が出るのは当然ですよね。また、やや上方からあてるのも、通常は太陽の光が上にあることに倣っているわけです。水平45度、垂直45度ぐらいの高さにライトをセットするのが、基本的なライティングですね。

下の作例の、両端から棒が出た立体の場合、被写体正面をカメラの光軸からやや斜めに向けた方が、形全体が見えて立体感を感じます。さらに被写体が向いた方向とは逆斜めからライトをあてると、手前が明るくなり、カメラから遠い部分に影が落ちて、奥行き、立体感が強調される。

これが同じ斜めからの光でも、被写体の向いた正面から光をあてると、全体がのっぺりとした印象でしょう? つまり「被写体の形状」「被写体の向き→カメラアングル」「光のあたる方向→ライトアングル」が、ライティングの重要なポイントなんです。

メインライトの位置でモノの見え方が変わる

小型バンクライトをメインにして、その位置を色々と変えてみた。
明暗のコントラストをつけるため、フィルインはストロボを使わずに、大きなレフ板を囲むようにセットした。

メインライトの位置でモノの見え方が変わる


水平45度/垂直45度
左斜め上前方から。手前が明るく奥が暗くなる、基本的なライティング。被写体が過不足なく照らされる。


水平0度/垂直45度
正面上斜めから。作例のような被写体では影がなくなり立体感が出ない。


水平0度/垂直90度
真上からのライティング。影が真下に落ちる。太陽の位置が高い夏の日差しの感じ。


水平45度/垂直0度
作例の円錐形の被写体はある程度、高さがあり、上面に照らす必要がないので、水平45 度でも自然な仕上がり。


水平0度/垂直0度
ほぼカメラ位置からのライティング。影がなくなり立体感が乏しくなる。


水平-45度/垂直0度
被写体の正面にライトがあたっている状態。被写体正面は明るくなるが、立体感がやや減じる。


水平135度/垂直0度
斜め後ろからの逆光気味のライティング。被写体正面が暗くなる演出的な手法。


水平-135度/垂直0度
左の写真と逆の位置からの逆光。被写体正面のエッジにハイライトが入る。


 ところでマジックアワーって知っていますか?

 朝、夕の太陽が出る直前、太陽が沈んだ直後ですよね。クルマのロケ撮影は、その時間帯がいいと言われますね。

 そう、モノがとてもきれいに見える一瞬。マジックアワーとはメインの光源、すなわち太陽が地平に沈み、まだ明るさが残る空の光のみでモノを見る状態。ライティングで言えば、全体に回る光、フィルインライトだけで撮影する感じです。

写真左:メイン+ フィルイン 写真右:フィルインのみ
メイン(左斜め上)+ フィルインの2灯ライティング。適度にハイライト、シャドーが入るノーマルなライティング(写真左)。フィルインのみの「マジックアワー」ライティング。全体の立体感は乏しくなる反面、被写体の色、質感が出てくる。すべての被写体にマッチするわけではないが、絵画のような雰囲気のある仕上がり(写真右)。

被写体斜め上からメイン(アンブレラ小)、フィルインは全体に光が回るようにアンブレラの光をさらにディフューザーで拡散。作例左は、メイン、フィルインを両方使用。作例右はメインをオフにしている。

 メインライトがないと、立体感は失われませんか?

 強い影がなくなるので、明暗差による立体的な見え方はしませんが、全体を柔らかい光が覆い、被写体表面の凹凸が自然な感じで浮き上がってくる。また、ハイライトや濃いシャドーがなくなり、モノの自然な色、グラデーションが出てくる。 人物の場合、ホリの深い人なら、そのホリの凹凸がよりはっきりする。女性なら肌のトーンが出てくる。被写体がぐっと存在感を増すというのかな。だから、プロポーズは夕暮れ時がいいんですよ。

 本当ですか? それってもしかして経験談? でも何十年前のことなんですか?

 いやいや、マジックアワーっていうのは、原理的には広い水平線が見えるような場所だからできるわけで、日本みたいに山が多いと、日が山に落ちて、すぐに暗くなってしまうのですよ。

スタジオライティングで、マジックアワーの状態を作るには、大きなディフューザー、沙幕などで被写体を覆って、光を回す。いかにきれいに均等に光を回すかがポイントです。人物撮影ではよく行なわれる手法で、メイプルソープのモノクロのポートレイトは、そんな感じですよね。物撮影だとハイライトを入れたり、もう少し全体の立体感がほしくなるんですが。

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玉内公一 Kohichi Tamauchi

ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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