玉:玉内 編:編集部
編 前回、四角い箱のライティングの基礎を教えてもらいましたけど、円柱や球みたいなものは、どうするんですか?
玉 そう来ると思いました。
編 四角い箱は「面ごとに明るさを考えよう」という話でしたよね。では湾曲した面を持つ円柱は?
玉 まぁ、明るい所と暗い所、また中間の明るさを作り、立体的に見せていくという基本的な考えは変わりないんですね。だから、よほど極端な形でない限り、四角い箱と同じセッティングで撮れば、それなりに自然に見えるのです。
編 つまり、メインはやや斜め上にセットして、全体的にバランス良く光をあてるというパターンですね。
玉 それが基本になると思います。

3つの作例のセット。

上の写真は真正面やや上方からライトをあてた作例。曲面のため正面からの光でも、周囲が落ちて丸みが出る。花瓶全体を見せるライティング。
玉 では、今回は円柱、円錐、球を使ってライティングのパターンを見ていきましょう。素材が発砲スチロールなので、表面はあまりきれいじゃないのですが、明暗を見るのにはいいでしょう。
まず、わかりやすい円柱から。これは四角い箱と同様に、立てた状態だと天面(トップ)がある。基本はここを一番明るくして、どちらかのサイドをやや暗く、もう一方のサイドをシャドーにする。ただし、作例のように細長い円柱だと、サイドの面積が広く、そこがポイントとなる場合もある。その時は、サイドに一番明るい面を持ってきます。
編 缶ビールとかは、サイドのラベルをメインに見せたいですからね。サイドのシャドー面積は、ライト位置によって変わりますけど、どのくらいがいいんですか?
玉 確かに平面で構成される立方体と違い、連続する曲面はメインライトの位置でシャドーの面積が変わる。そこがポイントです。明るい部分の面積を広くするか、シャドーを広くするか、それは撮影意図や被写体によって変わります。それと同時に、明るい部分と暗い部分が連続した面になるので、どのように明暗のグラデーションを作っていくかも大切なんですね。
その辺は次回、詳しくお話しします。
円柱のライティングパターン
メイン+非常に弱いフィルインで撮影。
左斜め手前、45度の高さから
左斜め上45度にライトをセット。トップを明るくした基本的なライティング。

左斜め手前、20度の高さから
左斜め方向、ライトをやや低め(20度)にセット。トップよりサイドを明るくした。

真横、20度の高さから
真横、20度ほどの高さからのライティング。右側のシャドー面積を広くした。

正面、20度の高さから
レンズ光軸方向、やや高い位置からのライト。正面が明るくなる。
編 では続いて円錐型。これは天面がないですよね。
玉 だからサイド面の横方向だけでなく、縦方向でも明暗のグラデーションを作る。やはり上からの光を意識させた方が自然なので、上の方を明るくするのがノーマルですね。四角い箱と違い、曲面は光が回るので2灯使わずとも、1灯をやや上方からあてれば自然に仕上がる。今回の作例でも、フィルインは入れていますが、かなり弱めで、メイン1灯で明るいところから暗い部分までのグラデを作ってます。
円錐のライティングパターン
メイン+非常に弱いフィルインで撮影。
左斜め上、45度の高さから
斜め上からライティング。天面がない円錐だが、上からの光を感じさせる。

左斜め手前、水平位置から
ライトは被写体に対してほぼ水平位置、斜め手前からのライティング。

真横、水平位置から
ほぼ真横からのライティング。右側のシャドー面積を大きくした。

正面、20度の高さから
カメラ位置よりやや高めからのライト。正面が明るくなる。
編 球もそうですか?
玉 そうですね。1灯でも斜めから光をあてれば、直に当たるハイライト部分、光が回って徐々に落ちていく部分、そしてシャドー部ができる。
編 簡単ですね。
玉 否! 球&曲面を侮るなかれ。簡単にそれなりのグラデーションができるから立体感、曲面の感じは出ますが、先ほど話したように、どれだけシャドーの面積を作るか、どんなグラデーションを作るかで、モノの表情は変わっていく。シンプルだけに奥が深い、センスが問われる部分です。
編 その辺は次回に続くってことで。
球のライティングパターン
メイン+非常に弱いフィルインで撮影。特に球などはメイン1灯でも近い仕上がりになる。
左斜め手前、水平位置から
右側にシャドーができる、球の基本的なライティング。

真横からの光
右側半分がシャドーになる。ちょうど半月状態。

正面からの光
曲面のため全体に光が回るが、周囲はやや落ちるので立体感は出る。
基礎から始める、プロのためのスチルライフライティング
スチルライフのジャンルでも、特にプロの世界で「ブツ撮り」と呼ばれるスタジオでの商品撮影をメインに、ライティングの基礎から実践までを解説していきます。
定価2,730円(税込)
玉内公一 Kohichi Tamauchi
ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。
- 第28回 グレースケールをヒストグラムで見る
- 第27回 ヒストグラムとライティングの関係
- 第26回 最初に揃える照明機材は?
- 第25回 ライトパネル+アンブレラで撮影
- 第24回 スローシャッターを使った表現
- 第23回 アクリルボードを使った背景の演出
- 第22回 カラーフィルターで背景を作る
- 第21回 ライトで背景のグラデーションを作る
- 第20回 ボトルのエッジを光らせろ
- 第19回 天からのスポットで被写体を強調
- 第18回 透明感を演出するライトテーブル撮影
- 第17回 バンクライト2灯でクラムシェル
- 第16回 商品撮影に便利な「天トレ」セット
- 第15回 モーテンセンの5つのパターン
- 第14回 ポートレイトライティングの組み立て
- 第13回 ループ、スプリットそしてバタフライ
- 第12回 レンブラントライティングで撮るポートレイト
- 第11回 半逆光でモノがよく見える
- 第10回 透明物の透過光撮影と黒締め
- 第9回 入射光式露出測定と反射光式露出測定
- 第8回 黒でシャドーを締める
- 第7回 鏡面の被写体を撮る
- 第6回 柔らかい光 硬い光
- 第5回 明暗のグラデーションを作る
- 第4回 円柱、円錐、球のライティングパターン
- 第3回 四角い箱のライティング
- 第2回 メインライトの位置を考える
- 第1回 フィルインライトは 天空の輝き?


















