玉ちゃんのライティング話

第6回 柔らかい光 硬い光

解説 : 玉内公一

玉:玉内 編:編集部

 「硬い光」「柔らかい光」ってよく言いますけど、実際のところ、それはどんな光なんですか?

 もっともシンプルにお答えすると、硬い光とは直進性がある光、つまりスペキュラー(specular)ライト。モノの影がシャープに出ます。光源で言えば点光源、ベアバルブの光が、スペキュラーライトですね。

柔らかい光とは拡散光、つまりバンクライトやバウンスを使ったディフューズ(defuse)ライト。光が回り、影は柔らかく表現されます。

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左:リフレクター直のいわゆる「硬い」光。黒い革が適度に光を反射して質感が出た。
右:アンブレラによる「柔らかい」拡散光。光が回って全体のディテールは出るが、シャープ感は少なくなる。

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撮影セット。リフレクター、アンブレラとも左斜め上からの1灯で撮影。右の白幕で被写体右側を起こしている。

 シンプルな答えということは、シンプルじゃない答えがある?

 そういうわけではないんですが、たとえば拡散光のバンクでもホットスポットから周辺までの光の落ち方が急激だと、そのバンクの光は硬いなんて言われますね。

さらに光の硬/軟と、写真の硬/軟が混同される場合もありますが、光の硬/軟はあくまで写真の硬さの一要素であって、イコールではない。写真の硬さは被写体(の材質)、光のあて方、また昔で言えば印画紙の硬さや焼き、ピント、シャープネスなどさまざまな要素で決まる。

つまり拡散光で撮った「硬い写真」というのもあるわけです。

 でも、一般的にシャープでカリッとしたイメージを作りたい場合は、硬い光を使うのがいいんですよね。

 そうですね。特に光の硬/軟と光のあて方は、被写体の質感を表現する上で重要です。

 硬い金属などは硬い光ですね。

 そうとは一概に言えません。光にスペキュラーライトとディフューズライトがあるように、被写体にもスペキュラーサブジェクトと、ディフューズサブジェクトがあります。スペキュラーサブジェクトとは光を直進的に強く反射させる表面を持ったもの。ディフューズサブジェクトは光を拡散して反射する表面のもの。

ディフューズサブジェクトはスペキュラーライト、ディフューズライトのどちらでも撮影できるけれど、スペキュラーサブジェクトはスペキュラーライトで撮らないのが、ライティングの基本なんです。

シャープに見せたい被写体の代表、銀食器など光沢の強いモノは、スペキュラーライトで撮ると光を強く反射してむしろ質感が損なわれる。

 言われてみればそうですね。

 また、柔らかい毛糸のような素材も、あまり光を回しすぎると、メリハリのないぼやけた写真になる。ちょっと硬めの光をあてた方が、毛足に陰影がついて毛糸の感じが出る場合もあるんです。

 お汁粉の仕上げに、塩をひとつまみ入れると甘さが引き立つのと同じですね。

 たとえ話が飛躍しすぎてません? ま、いずれにせよ被写体の表面の質感、またそれをどう見せたいかを考えた上で、最適なライトの硬さを決めていくわけです。

ベアバルブの光
img_tech_lightingstory06_04.jpg直進性の光により、影が強く出る。錆た鉄球のざらついた表面が強調された。
標準リフレクターの光
img_tech_lightingstory06_05.jpg適度な直進性と拡散性を持った光。影ははっきりと出るが、エッジは柔らかい。

アンブレラの光
img_tech_lightingstory06_06.jpg光が回り、細部のディテールが再現される一方、コントラストが減り、柔らかな表現となる。
バンクライトの光
img_tech_lightingstory06_07.jpgアンブレラよりさらに光が拡散して柔らかい仕上がり。毛糸の質感もほどよい。

シルバーアンブレラの光
img_tech_lightingstory06_08.jpg銀面が光を直線的に照射するので、シャープではないが濃い影ができ、「ヌメッ」とした印象になる。
アンブレラ+ディフューズの光
img_tech_lightingstory06_09.jpg光をかなり拡散させたソフトな表現。光は柔らかいが、毛糸などの被写体表面の凹凸感が少ない。

 ところで銀食器などの「光り物はディフューズ光」ということですが…。

 特に鏡面のものは直に光をあてない。周囲の環境をライティングするのが基本です。

 環境をライティングする?

 そこは次回ということで。

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ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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