玉ちゃんのライティング話

第11回 半逆光でモノがよく見える

解説 : 玉内公一

玉:玉内 編:編集部

 これまで色々とライティングの基本をお伺いしてきたわけですけれど、特にブツ撮りで、何か私でも簡単に格好良く撮れちゃう裏技みたいなものってないですか?

 そんなのないですよ。ライティングはまずしっかりとした基本があって、その上で経験とセンス…です。

 いや、たとえばですね、ネットオークションの写真とか、中華料理屋のオヤジさんが自分で撮ったメニューの写真って「いまいち」というか、プロが撮ったものと根本的に違いますよね。

 当たり前でしょ。

 でも、最近のデジタルカメラなら、それなりの解像度もあるし、ホワイトバランスもオートだし。でも、決定的に何かが違うというか…。細部のグラデとか細かい技術は別にして…。

 ああ、そういうことなら、内蔵ストロボやクリップオンストロボで撮るか、外部ストロボで撮るかの違いじゃないですか?つまり順光と逆光の違いですよね。カタログなどに見られるプロの写真と比べて見ればわかります。

img_tech_lightingstory11_01.jpg斜め俯瞰のアングルでは半逆光の光をメインにすることで、立体感、質感が出る。さらに被写体のトップにハイライトが入り、全体に輝いた仕上がりとなる。料理写真では、素材感、美味しさを強調する定番のライティング。

img_tech_lightingstory11_02.jpg
img_tech_lightingstory11_03.jpg
被写体上面をディフューザーで覆った「天トレ」と呼ばれるセットで撮影。照明はバンクライト1灯。半逆光の光をあてる。ケーキ手前が暗くなるため、レフで起こしている。

 ブツ撮影でも料理写真でも、商品撮影と言われる多くの写真は、被写体を台に置いて斜め上からのアングルで撮ることが多いですよね。これはプロの写真もアマチュアでも同じだと思います。でも「いまいち」に見える写真は、内蔵ストロボの順光ライティングで撮ったものが多い。一方、プロの撮影では外部ストロボを使う。その時、被写体を挟んで反対の位置からライトを入れるのが、特に小物や料理写真の基本となっているんですね。それだとちょうどレンズの光軸に対し、半逆光の光が入る。カタログや広告などの商品カットでは、その半逆光のライティングをベースにした写真が多いのです。

 確かに。だけど、なんで半逆光だとよく見えるんでしょう。

 まず、単純にカメラと同じ方向から光をあてると、影は被写体の向こう側に出ますよね。つまり被写体表面にある細部の凹凸の影もカメラ側から見えないということ。影がないため、立体感、質感のないノッペリとした写真になるんですね。

 なるほど。ディフューズしてもダメですか?

 被写体によっては、正面からの光でも拡散したものであれば、ある程度自然に見えます。でも、斜めアングルの撮影では正面からの光だと画面が落ち着かないんですね。

 落ち着かないというのは?

 やはり画面構成として、画面上部分が明るくて、下が暗い方が生理的に落ち着くというのかな。斜めアングルの撮影で手前から光を入れるということは、できあがった写真の画面下が明るくなる。一方、半逆光で撮れば当然、奥が明るく、つまり画面としては上が明るくなる。だから自然に見えるわけです。

カメラと同方向からライトをあてる

img_tech_lightingstory11_04.jpg
img_tech_lightingstory11_05.jpg

img_tech_lightingstory11_06.jpg
カメラと同方向から光をあてると、布目の影などが向こう側に落ちるため、全体に平坦な写真となる。刺繍、ペンシルの立体感も出ない。



被写体に対し真上からライトをあてる

img_tech_lightingstory11_07.jpg
img_tech_lightingstory11_08.jpg

img_tech_lightingstory11_09.jpg
被写体真上からライトを照射。刺繍、ペンシルの影が被写体下に落ち、立体感が出てくる。



被写体の向こう側から半逆光でライトをあてる

img_tech_lightingstory11_10.jpg
img_tech_lightingstory11_11.jpg

img_tech_lightingstory11_12.jpg
半逆光のライティング。影によって立体感が強調され、さらに刺繍の凸部分、ペンシル側面、木彫りの背中などにハイライトが入ることで、全体に輝き感が出る。


 しかも半逆光は被写体の奥のエッジ、つまり画面上、被写体のトップにハイライトが入り、その被写体が輝いて見える。だから半逆光はテープルトップ撮影の基本的なライティングなんです。特に料理写真などは、出張撮影で複雑なライティングができないという理由もありますが、1灯でトレペ越しにディフューズした柔らかい逆光をあてるのが、定番のライティングになっていますよ。

 なるほど。それがわかればあの店のオヤジさんにも、美味しそうな写真が撮れるんですね。炒め物は絶品なんですがね…。


おすすめ商品・アイテム

写真:玉ちゃんのライティング話

玉ちゃんのライティング話

スタジオ撮影のライティングを基礎から知りたい人へ。月刊誌コマーシャル・フォトで約3年にわたり連載された「玉ちゃんのライティング話」を再構成。カラー作例をふんだんに使い、プロのスタジオ撮影の基礎を解説したライティング読本。

玉内公一 著 定価1,620円(税込)

写真:商品撮影の基本を学ぶ

プロが教える上達の早道商品撮影の基本を学ぶ

さまざまな広告写真で30年のキャリアのベテランフォトグラファー 熊谷晃氏が教える、商品撮影における極意。難しく考えられがちな「商品撮影」を楽しんで取り組めるようになる。

熊谷晃 著 1,800円+税

写真:クリップオンストロボの実践ライティング

基本をマスターすれば光は操れるクリップオンストロボの実践ライティング

便利なTTLオート発光や安心感のマニュアル発光など、クリップオンストロボの基礎知識からプロの現場での活用法を紹介。クリップオンストロボユーザーや、これからクリップオンストロボに挑戦するユーザーに送る1冊。

2,000円+税

写真:あなたにもできる実践ライティング&撮影テクニック

あなたにもできる実践ライティング&撮影テクニック

5人の講師によるセミナー形式でライティングと撮影テクニックを解説。豊富な作例、目からウロコのテクニック、便利な機材などの情報を満載。商品撮影から人物撮影まで、すぐに役立つ、真似したくなるプロワザを惜しみなく披露する。

定価2,160円(税込)

写真:基礎から始める、プロのためのスチルライフライティング

基礎から始める、プロのためのスチルライフライティング

スチルライフのジャンルでも、特にプロの世界で「ブツ撮り」と呼ばれるスタジオでの商品撮影をメインに、ライティングの基礎から実践までを解説する。

定価2,808円(税込)

玉内公一 Kohichi Tamauchi

ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

関連記事

powered by weblio




バックナンバー

反射神経に応えられる機動性 ディレクター「柘植泰人」

SWITCH 写真・デザイン・映像・広告業界の求人サイト

SPECIAL!

ピックアップコンテンツ

  • HP Workstationの実力
  • PhotoshopNavi
  • ColorEdge スペシャルコンテンツ
  • 露出計・カラーメーター入門
  • wacom
  • iStockphoto × COMMERCIAL PHOTO

広告クリエイターのためのイエローページ POWER PAGE by COMMERCIAL PHOTO

中古カメラ検索サイト! CAMERA fan:カメラファン