玉ちゃんのライティング話

第12回 レンブラントライティングで撮るポートレイト

解説 : 玉内公一

玉:玉内 編:編集部

 これまでブツ中心にライティングの話をしてきましたが、今回はポートレイトライティングの基本をお話ししましょう。ポートレイトのライティングでよく知られるのは「レンブラントライティング」ですね。

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右斜め方向に顔を向けた人物の鼻筋に対して、斜めに光があたるようにバンクライトをセット。フィルインとして左側にレフを立てている。全体に回し気味の光だが、シャドー側の頬に三角形のハイライトができる「レンブラントライティング」である。この写真のようにカメラ方向に向いている顔半分がシャドーになる場合を「ショートレンブラント(ライティング)」と言う。メインライトを拡散光にしないで、フィルインを入れなければよりシャドーとハイライトのコントラストがついた仕上がりになる。


 あ、知ってます。影の部分が多い重厚なポートレイトの撮り方ですね。

 うーん、感覚的には間違っていないのですが、正確にはちょっと違う。「キアロスクーロ」という言葉は知ってますか? イタリア語のChiaroscuro。「明暗」という意味ですが、絵画や版画では、明暗のコントラストによって立体感を出す表現のことです。もちろん写真でもそうしたライト表現を「キアロスクーロ」なライティングと言いますが、レンブラントライティングはポートレイトにおける「キアロスクーロ・ライティング」のひとつなんですね。

 つまりシャドーとハイライトのコントラストがはっきりしたポートレイトライティングが、すべてレンブラントライティングというわけじゃないということ?

 そうです。もっともレンブラントライトが広まったのは、かなり昔にコダックが写真館やポートレイトフォトグラファー向けに出した指南書からですから、今では、その解釈もあやふやになっているかもしれませんが…。

 では具体的にレンブラントライティングというのは、どういうものなんですか?

 シャドーを多用してドラマチックな表現をした画家レンブラントにちなんで名付けられた名前ですが、基本的には人物の鼻筋に対して上方斜め45度から光をあてたライティングのことなんです。

レンブラントライティング(正面)

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img_tech_lightingstory12_05.jpgレンブラントライティングとは人物の鼻筋に対し、ライトを斜め45度ぐらいの角度でやや上方からあてて、シャドーになる顔半分の頬骨辺りに三角形のハイライトを作るライティング。顔の立体感、陰影が強調される。カメラアングルが変わっても、鼻筋に対してのライト角度が45度ならば、三角形のハイライトが入るレンブラントライティングと言える。


 顔半分に光があたり、一部の光が鼻筋を越えシャドー側の頬にもあたる。そこに三角形のハイライト部ができる。この三角形がレンブラントライティングの特徴です。レンブラントライティングは、顔の立体感を強調して力強い印象を出します。また顔を細く見せるので、ちょっと太った人をやせて見せたり、丸顔の人を大人っぽく見せたりできますね。

 でもそれだけだと、シャドー面積の多さとか、重厚感とはあまり関係ないような…。

 それについてはショートレンブラントとブロードレンブラントの話をしなくてはなりませんね。重要なのはどの方向から顔を撮るか。たとえばカメラ位置から向かって右斜めに顔が向けられている場合、同じ鼻筋45度でも、左方向からの順光をあてれば顔の広い部分が明るくなります。それをブロードレンブラントと言います。一方、右から鼻筋に対して45度の光をあてると、カメラに向いていていない顔半分が明るくなり、全体としてはシャドー面積の多いポートレイトとなる。それがショートレンブラントです。


ブロードレンブラント

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向かって右向きの顔。鼻筋に対し左45度から(つまりカメラとほぼ同位置から)光をあてる。カメラに向いた顔の広い面積が明るくなるので「ブロードレンブラント」と言う。奥の頬に三角形のハイライトができている。


ショートレンブラント

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「ブロードレンブラント」とは反対の位置(鼻筋に対し右45度)からライトをあてる。カメラ光軸に対しては右手より直角に入る光となり、明るい部分の少ないシャドー中心の表現となる。これを「ショートレンブラント」という。

レンブラント
(プロフィール)

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横顔(プロフィール)も、鼻筋に対するライトの角度が45度であればレンブラントと言える。右向きのこのプロフィールの場合、カメラ光軸に対し、右奥斜めからの半逆光となるが、頬のハイライトはやはり三角形。


 日本でレンブラントライティングと言えば、一般的にこのショートレンブラントを指すことが多いので、レンブラントライト=影の多い重厚な表現というイメージがあるのです。

 なるほど。

 しかしレンブラントライトには問題点もある。立体感が強調され、重厚さが出るということは、顔が老けて見える。特にホリの深い外国人は、ハイライトとシャドーの部分のメリハリがつきすぎるんですね。それを解決するライティングは…。

 その、ライティングとは?

 次回に続きます。


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玉内公一 Kohichi Tamauchi

ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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