2011年02月21日
小さなガラス容器に染料で着色した水を入れて撮影。ライトテーブルの透過光によって容器内部も、クリアかつ鮮やかに再現される。
上の写真のセット。ガラス板+アクリルボードで撮影台を作る。撮影台の下は白い紙を敷き、周囲も白いボードで囲んだ。ライトを下に向けて照射するとバウンス効果で、アクリルボード面が均一に明るくなる。トップからバンクライト+ディフューズで光を入れている。トップの光量は、背景(ライトテーブル面)の約1段落ち。
玉:玉内 編:編集部
玉 以前、ガラス瓶やペットボトルなどは、背景自体を光らせて逆光で撮ると、透明感が出せると話しましたが(第10回 透明物の透過光撮影と黒締め)、それを斜め俯瞰のテーブルトップ撮影でやる方法を紹介します。
編 その方法とは?
玉 撮影台、つまりテーブル面を光らせればいいんです。名付けて「ライトテーブル」撮影。
編 そのまんまなネーミング 。
玉 ま、それ以外言いようがないわけで 。簡単に言ってしまえばポジを見る時に使っていたライトテーブル、ライトビュワーに被写体を置いて、斜め上、または俯瞰から撮るような感じです。実際、ビュワーを使ってもできるのですが、普通は撮影専用セットを組みます。
用意するのは透明なガラス板。面積は被写体、撮影画角に合わせてください。撮影スタジオでは大体、90×180cmくらいのものを用意していますね。それと同サイズの乳半アクリルボード。そしてテーブルの脚になるもの。
編 脚は、サイコロ(30〜60cm角程度の木製の立方体)や馬(折り畳みの脚)など、いつも撮影で使うものでいいんですね。
玉 その脚にガラスを平行に渡して、その上にアクリルボードを置く。ガラスを下にするのは、アクリル板のたわみを防ぐためです。そしてテーブルの下にライトをセットします。広いテーブル面を均一に明るくしたいなら、複数のライトを使ってもいいですし、ベアバルブにして光を広く回してもいい。
テーブルの下に白い紙を敷いて、ライトを下に向けて照射。拡散したバウンス光を使う場合もあります。光を効率よく回すために、テーブルの下を白いボードで囲むとよいでしょう。
編 ライトテーブルセットはどんな時に使うのですか?
玉 先ほども言いましたが、テーブルトップ撮影で被写体の透明感を出したい時。氷とウィスキーが入ったグラスを撮る時などですね。通常のセットで前方からの光だけで撮ると、グラスの内部が暗くなり透明感やウィスキーの色が上手く出ません。でも撮影台が光れば、その光がグラスに透過して透明感が出せるのです。
ライトテーブルの光だけで撮ると逆光表現、被写体前面もきちんと見せたい場合は、フロントライトを入れます。被写体がグラスなどの反射物なので、フロントは天トレにしてもいいですね。
もちろん透明物じゃなくても、ライトテーブル撮影ならではの白バック撮影が可能です。
編 と言うと?
玉 ライトテーブル撮影では、テーブル面が光るため、そこに置いた被写体の影が出ないんです。携帯電話などの撮影で、白い紙を敷いたテーブルに置いて斜め俯瞰から撮ると、被写体下に影が出てしまう。通常は被写体を直に置かずに、少し浮かせたりもするのですが、それでも影は消えません。一方、ライトテーブルなら無影撮影が可能。何もない空間に浮いたような浮遊感が出せます。
編 でも白バックなら切り抜きにして、影をカットしても同じでしょう。
玉 白バックと切り抜きは違いますよ。テーブルを光らせても完全に飛ばさない白にすることは可能ですし、テーブル下に仕込んだライトを調整することでグラデーションを作ることもできる。たとえばライトにカラーフィルターをかければ、背景に色をつけることもできます。
その他、ライトテーブルはアイデア次第で色々なイメージが可能です。ガラス板、アクリルボードは、ライトテーブル以外でも、ブツ撮りにはよく使うので、用意しておいた方がいいですね。
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