玉ちゃんのライティング話

第27回 ヒストグラムとライティングの関係

解説 : 玉内公一

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img_tech_lightingstory27_02.jpg 左の写真が撮影セット。ディフューザー越しのアンブレラ1灯。右にレフを置き、全体に光を回しながら、部分的にシャドー、ハイライトもきちんと入れた。

ヒストグラム RGB表示
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画面全体でバランス良く明暗があるのがわかる。

ヒストグラム レッドチャンネル
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赤系色のカップやクリーム色のタジン鍋が明るく写っている。

ヒストグラム グリーンチャンネル
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左の山は主に背景、右の山は緑のトレーやカップ。

ヒストグラム ブルーチャンネル
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青いドリッパーのシャドー部は暗くなっているのがわかる。

玉:玉内 編:編集部

 ライティング話も今回からデジタル編になります。

 デジタル編というのは?

 デジタルについてこれまでも触れる機会はありましたが、今回からは、もう少しデジタルとライティングの関係を具体的に見ていきたいと思います。

 デジタル撮影とアナログ撮影では、ライティングはどう変わりますか?

 写真が光と影による階調表現であるという点は全く変わりません。ただしライティングの組み立て、撮影、仕上げといった工程の中で、カメラの機能による方法論の違いや、ポイントの違いがある。

たとえばモデリングランプをあてて、仕上がりを予想してライトを調整するより、実際にストロボを飛ばして撮ってみて、モニタで確認。そこからライティングのバランスなどを詰めていけばいい。

 デジタルになってライティングは楽になった?

 デジタルならではの注意点もありますが、Photoshopで後調整ができるという点も含めて、概ね作業効率や仕上がりの精度は上がったのではないでしょうか。

さて、そこで今回はデジタル撮影の基本とも言えるヒストグラムの見方について。数値で表されたデータと実際のライティング状況の関連を把握しておくことが、デジタル撮影のポイントです。そんなに難しいものではなく、慣れてくればヒストグラムを見ただけで、画像全体の明るさのバランスを確認できる。

このページトップの画像は、カラフルな食器をテーブルに置き、適正露出で撮影した写真、下はそのヒストグラムです。ヒストグラムは0〜255の階調、つまり明るさにおける色の分布と理解してください。左が暗、右が明です。

 つまり明るい色が多い写真は山が右に寄る。

 大まかに言えばそういうことです。まず、一番上のRGBヒストグラムを見てください。幾つか山のピークがありますよね。これが画面の中で一定のボリュームを占める被写体の色味に対応してます。

次に「レッド」「ブルー」「グリーン」それぞれのチャンネル別に見ると、より詳細がつかめると思います。たとえばグリーンチャンネルは二つの山があるけれど、左の山は緑の背景、右の山は緑のトレーと緑のカップの色の分布が出ている。

レッドチャンネルの山はかなりハイライト寄りですが、それはマゼンタ、オレンジのカップのR成分、さらに後ろの明るいクリーム色のタジン鍋のR成分。ここはハイライトが飛ぶギリギリの明るさですね。

 なるほど。中央の青のドリッパーは手前右部分がかなり影になっているので、ブルーチャンネルのヒストグラムも左寄りに高い山があるのですね。

 そういうことです。RGB各チャンネルの左端、右端が線のようになっていて、それ以降は切れている。左端の切れているのは、完全に黒く潰れているトレーの下の影の部分、右の切れているのは、白いポットのクチやカップのエッジのハイライト部分です。

山が左側で大きく切れている、または右側で大きく切れている場合、その写真はアンダー、オーバーというわけです。その辺は上の比較作例を見ていただければわかると思います。

 確かにヒストグラムで見るとわかりやすいですね。

 フィルム時代、スポットメーターで各部の明るさや、バランスを確認したり、ポラロイドを見てポジの仕上がりのハイライトを予測していたことが、デジタル撮影してみれば一発でわかる。リアルタイムで画像を確認できるし、何枚撮ってもフィルム代、ポラ代はかからないですしね。

 デジタル撮影は「撮ってから考えろ」ですね。

 確かにそうだけど、多少は考えて撮ってください。

ヒストグラムで見るアンダーとオーバー

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適正露出の写真。下がスケールのハイライト部/シャドー部アップ。ハイライト、シャドーとも階調が出ている。ニュートラルグレーよりやや明るめのグレー背景が、ヒストグラム右寄りに山を作っている。
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1.5段オーバーの写真。山が右に寄って、グレーの背景も白く写っている。スケールもハイライト側の方が飛び気味で分離していない。ニンニクの白は飛んでしまい、そこがヒストグラムの右の山の切れている部分。
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1.5段アンダーの写真。背景の山が左に寄って途中から切れてしまっている。スケールもハイライト側が暗くなり、ちょうど左から3番目のマスが中間グレーの明るさ。スケールのシャドー側は潰れてしまい分離していない。

ハイキー表現とローキー表現のヒストグラム

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露出オーバー、露出アンダーと表現上の「ハイキー」、「ローキー」は違う。左がハイキーな表現。白バックで撮っているが、ハイライト部分の山が切れていない(=飛んでいない)。スケールのハイライト部分も分離している。明るい画面の中でハイライト部分の階調をきちんと出すのが「ハイキー表現」と言える。右の「ローキー表現」は黒バックで撮影。背景が黒でも山の高い部分はヒストグラムに残っている。背景の黒、被写体のシャドー部にも階調が出ている。

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ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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