黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン

TIPS篇 12 骨白アクリルの背景で影に色をつける

写真・解説:黒川隆広

クオリティと効率を求められる商品撮影では、ちょっとした工夫やアイデアで、仕上がりを良くしたり、後処理を簡単にしたり、撮影を効率的に進めることができるのです。

通常、乳白アクリルを撮影台にして下からライトを入れる撮影では、台(乳白アクリル)自体が透過光で明るくなり、台に置いた被写体の影は出ません。

ここでは「骨白アクリル」を使い、被写体のシャープな影を作り、さらにその影に色をのせる方法を紹介します。

下からの光で色をつけているため、被写体(商品)の色味には影響しません。

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シャープな影で日差し感を出しつつ、影自体に色のグラデーションを作った作例。少し昔の4×5フィルム撮影の写真。今ならPhotoshopで影に色をつけることも簡単だが、「骨白アクリル」でも強い光をあてると透過するということに気づけば、さまざまな撮影に応用できる。

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ガラス板と骨白アクリル板を重ねた二階建てのセット。骨白アクリル板には商品を置き、ガラス板の上には短冊状のカラーフィルターを置く。 ベアバルブ状態のライト❶で商品のシャープな影を作る。ライト❷で商品内部を明るくするが、ライト❶で作った影を消さないように注意する。グリッドを使い床面(骨白アクリル面)にあたらないようにするのもよい。 ライト❸で下から強い光を入れると骨白アクリルでも光を透過するので、影に下のフィルターの色がのってくる。フィルターの色、位置を調整して、影の中に色のグラデーションを作る。

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ガラス板の上に置いた短冊状のカラーフィルターはサンプル帳から外して使用。色のバリエーションが多いので、1冊あると便利。

*乳白アクリルと骨白アクリルの違い。

光をある程度透過し、ディフューザーなどで使用される白いアクリル板の正式名は「乳半アクリル(乳白半透明アクリル)」だが、撮影現場では慣例的に「乳白アクリル」と呼ばれることが多い(記事中でも「乳白アクリル」と表記)。 一方、半透明ではない白い素材は「骨白アクリル」で、光の透過が少ない。

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