2019年12月12日
常用のカメラがフィルム交換の必要がないデジタルになったことで、圧倒的に身近になったのが「タイムラプス撮影」です。筆者もこのところライフワークのように、星空や自然風景を中心に取り組んでいるわけですが、今回は筆者がタイムラプス撮影で愛用する機材を紹介したいと思います。
掲載する多くのネタはナイトネイチャーカメラマンの竹本宗一郎氏にアイデアをいただきました。タイムラプス撮影のための周辺機材とその使い方ですが、通常の動画でも活躍しそうです。
タイムラプス撮影は大概の場合、時間が掛かるので、カメラ1台で失敗してしまった時のショックはとても大きい。筆者の場合、通常3台のカメラとレンズのセット、それらを乗せるための三脚を持ち歩きます。
カメラ3台で撮影
通常、タイムラプス撮影ではカメラを3台持って行く。しかし荷物はできるだけ減らしたい。竹本氏から教わった「一番軽くコンパクトにして効果があるのは三脚」という言葉に従い、三脚はBenroのフラット三脚A2190T。このコンパクトさには脱帽したものの、現在は生産終了。ネットオークションで探しまくって手に入れた。
この撮影ではクルマで現場まで行けたので、カメラ3台、三脚3台、テーブルとフル装備。
コンパクトさが魅力のBenroフラット三脚。
もちろん「カメラが絶対に動かないようにセットする」必要があるため、本来は重量のある三脚が正解ですが、星空や風景の撮影はクルマで行けないところも多く、電車、もしくはクルマを降りて徒歩移動なんて場合は、ギリギリまで荷物を圧縮する必要があります。
その上で三脚や機材を固定させるために、スートンバッグやベルクロ(面ファスナー)のバンド、ケーブルワイヤー、結束バンドも必ず持って行きます。
自作カメラ2台用プレート
1台の三脚に2台のカメラを取り付けるためのプレート。使用する際は、2台のカメラの撮影開始と完了をほぼ同じタイミングに設定する必要があるため、万能ではないが、たとえば1台は魚眼で、もう1台は50mmを付けて銀河などを撮影する際には、持って行く三脚を1本減らせる。 無駄に長く重いのは嫌なので、必要なギリギリの長さ、厚さのものを自作した。
ねじれに対する強度も充分で軽い。雲台接続部と三脚接続部に回転止めストッパーも付けている。
プレートにカメラをセットした状態。カメラを並べて動かせる必要最小限の長さ。
三脚固定対策
ストーンバッグ 昔から三脚を安定させるために活躍してきたストーンバッグは、カーボン製三脚が主流になった今こそ注目のアイテム。これも自作。3片に「ハトメ」を打った布とカラビナ。それと輪になった紐で構成。布は雲台などを包むことに役立ち、紐はカメラストラップとしても使えるようになっている。
自作ストーンバッグ。
三脚にスートンバッグをつけた状態。
ベルクロバンド ベルクロバンドは3種用意。7センチのものはケーブル固定、12センチのものはモバイルバッテリーなどを固定、30センチのものは何かに三脚を巻きつけるという用途で活躍する。そのほかに結束バンド、アルミ針金などを常備。また盗難防止用巻き取り式セキュリティワイヤーケーブルも持って行く。 ただし柵などの公共物に針金やワイヤーで三脚を固定すると、「場所取り」「長時間の占有」と見なされるので、ご用心を。
ベルクロバンド、結束バンドなど一式。撮影終了後には、固定用針金を切断するためのニッパーなど工具も必要となる。
盗難防止セキュリティーケーブルで三脚を固定した状態。
大容量のモバイルバッテリーもマストアイテム。カメラだけでなくスマホ、PC、夜間照明器具、レンズヒーターなど給電が必要な機材は沢山あります。
レンズヒーターは、夜露、結露防止のために用意。レンズが曇っているのに気がつかず、何度、素敵な星空を逃してきたことでしょう。川辺など湿気の多い場所、昼から夜間にかけての撮影、雨上がり、結露対策が必要な状況は数えればきりがありません。そのため撮影に持って行くカメラセットの数だけ揃えています。
モバイルバッテリー/レンズヒーター
電源周りは複数の小型モバイルバッテリーを使用。メインとなるのMixMart KR-899はAC出力×2、USBポート出力×4、DC出力×1という多機能で、タイムラプス撮影だけでなく、最近はこれがないと外に出られないくらい。レンズヒーターも電力が必要だが、上記モバイルバッテリーがあれば安心。セットするカメラの台数分、用意しておく。
モバイルバッテリー 中央の黒い筐体がMixMart KR-899。
レンズヒーター レンズにヒーターを装着した状態。
その他、長時間の野外撮影、夜間撮影に対応するため、ライトや防虫対策、椅子なども、荷物になりますが、いざ撮影が始まるとかなり重宝します。
ヘッドライト/虫刺され対策
夜間撮影は少しの光でも撮影に影響が出るため、ライトは小出力かつコンパクトで身につけられるものが良い。赤い光は消灯時、暗闇への目の順応が早く、視認性も高いので、照明用赤フィルターを貼り付けている。
ヘッドライト COB(面発光) LED のヘッドライト、GENTOS NR-004R。発光面に赤フィルターを付けてある。
虫刺され対策 撮影機材ではないが、春から秋にかけては虫刺され対策も重要。「着る防虫素材」フォックスファイヤースコーロンを愛用。「アース製薬」「帝人フロンティア」が共同で開発した虫を寄せ付けない繊維特殊加工のウェアだ。
スコーロンを着て、「防虫」臨戦態勢の筆者。
月明かりでの撮影風景。
※この記事はコマーシャル・フォト2019年11月号から転載しています。
この1冊で「ジンバルのすべて」が奥の奥までわかる一眼&ジンバル スピードマスター
ビデオSALON編集部 編集
2,000円+税
あのクリエイターが使っているレンズと作例を大公開ムービーのためのレンズ選びGUIDE BOOK
ビデオSALON編集部 編集
2,200円+税
ドローン空撮に関する各種情報を完全網羅! ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年
2,000円+税(電子書籍版1,900円+税)
鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
- クイックモーション設定で一味違う魅力的な映像を
- フジX-S10とXF50mmF1.0 R WRでポートレイト撮影
- 新時代到来を告げるM1チップ搭載MacBookの性能はいかに?
- 高速化を極めた結果、動画撮影機能が大幅アップ|ソニーα7S III
- 気軽に使えて高性能、エントリー機といって侮れないLumix G100
- MacBook Air 2018を仕事で使えるマシンにする
- ローリングシャッター歪みを計測する
- 光の色再現を評価する新基準TM-30-18を知っていますか?
- 使ってみたら絶対欲しくなるスペシャルなレンズたち
- 動画でも静止画でも「もう手放せない」Kaniフィルター
- 一眼ムービーもRAWで撮影できる時代が到来
- どう使いこなすか!? 注目のSIGMA fp
- 噂の新世代入力デバイス、Orbital2を使ってみた
- 動画撮影を本気で考えた一眼カメラ LUMIX S1H
- 高解像度静止画も動画も、という人にはお薦め、ソニーα7R IV
- 長時間勝負のタイムラプス撮影で愛用する機材
- 通話だけではもったいない。ソニー Xperia 1の凄い性能
- 4KハンディカムSONY FDR-AX700を今更ながら使ってみた
- ワンオペ撮影の強い味方となるか!? Roland V-02HD
- パナソニックのフルサイズミラーレスLUMIX S1/S1R
- ニコン Z 6で銀河のタイムラプスに挑戦
- 形はミラーレス一眼、中身はシネマカメラ、BMPCC4K(Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K)
- フルサイズミラーレス、キヤノンEOS Rの動画性能は如何に!?
- ニコン Z 7の大口径は動画性能アップにも繋がる
- 大きく進化した動画性能、FUJIFILM X-T3
- 動画編集作業を高速に行なうための特効薬
- ジンバル初心者にも気軽に使えて高機能、DJI Ronin-S
- 動画編集用コンピュータが欲しい!
- 動画撮影でF1.2大口径単焦点という選択、オリンパスM.ZUIKO PRO
- GH5Sの「Dual Native ISO」はやはりすごい
- 動画撮影でも富士フイルムの「色」への思想を感じさせるX-H1
- スチルもムービーも高性能なα7R IIIを導入しました
- HDR映像を撮影可能にするハイブリッドログガンマとは
- ニコンD850でタイムラプスムービーを極める
- 動画機能も確実に進化させてきたニコンD850
- フォトグラファーのための簡単絵コンテソフト「StoryBoard Creator」
- ますます実用的になってきた動画AF撮影/Panasonic LUMIX GH5③
- Lumix GH5の動画撮影機能をさらに検証する/Panasonic LUMIX GH5②
- スチルフォトグラファーのためのデジタル一眼レフ動画撮影ガイド/Panasonic LUMIX GH5①
- 特別編:動画撮影ならこの機能に注目 4Kムービー時代のカメラ選びのポイント
- 第46回 伝統の色と階調再現。それだけで欲しくなる!? 富士フイルムX-T2
- 第45回 iPad Airをカメラコントローラーにする「DIGITAL DIRECTOR」
- 第44回 「ただ者ではない」カメラ、ソニーα7RII
- 第43回 フォクトレンダーF0.95 NOKTONが動画撮影でも評判な理由
- 第42回 快適な4K編集のために「G-SPEED STUDIO」導入を検討する
- 第41回 高性能タブレット「VAIO Z Canvas」を使う
- 第40回 「SHOGUN」をGH4とα7Sで使ってみた
- 第39回 4K記録ができる外部レコーダー「SHOGUN」
- 第38回 オリンパスOM-D E-M5 MarkIIの「手ぶれ補正」は、かなり使える
- 第37回 軽量な一眼カメラに最適な本格派ビデオ雲台が欲しい
- 第36回 コンデジでも4K動画が撮れる! LUMIX LX100の実力
- 第35回 ストロボもLEDも測定できる「スペクトロマスターC-700」
- 第34回 FCP Xマルチカム編集の便利さを改めて実感
- 第33回 一眼ムービーの様々な「不可能」をこれ1台で解決!「NINJA BLADE」
- 第32回 日本語化&機能強化でさらに身近になった「DaVinci Resolve 11」
- 第31回 「QBiC MS-1」と専用リグで360°パノラマ動画に挑戦
- 第30回 一眼ムービーにベストマッチのALLEXスライダー三脚システム
- 第29回 動画で様々なフィルムのトーンを簡単に再現できるソフト
- 第28回 GH4を「ミニマル動画」でいかに使いこなすか!?
- 第27回 LUMIX GH4の性能アップは期待以上だった
- 第26回 NECのPAシリーズ、マスターモニタ化計画
- 第25回 シネマカメラBMPCCのRAWデータの実力
- 第24回 「DaVinci Resolve」、ただ今勉強中
- 第23回 話題のBlackmagic Pocket Cinema Cameraを使ってみた
- 第22回 ミニマル動画のワークフロー「アフレコ編」
- 第21回 ミニマル動画のワークフロー「編集編」
- 第20回 ミニマル動画のワークフロー「撮影編」
- 第19回 ミニマル動画のワークフロー「打ち合わせ、機材選択編」
- 第18回 LUMIX GH3は、想像以上に「撮れる」カメラ
- 第17回 一眼レフの足りない部分を補完するカメラ「LUMIX FZ200」
- 第16回 フレームレートとシャッタースピードの関係
- 第15回 一眼ムービーの撮影時の画質設定は?
- 第14回 SSD搭載でMacBook Proをメインマシン化計画
- 第13回 Xicato社の屋内照明用LEDを撮影に使いたい
- 第12回 Lightroomを使ってカラコレ
- 第11回 動画のバックアップはどうしていますか?
- 第10回 ビットレートを制するものは動画出力を制する!
- 第9回 画像の書き出し設定は目的によって使い分ける
- 第8回 ニコンD4を動画撮影で使ってみた
- 第7回 アンブレラを使った動画撮影の「Light Modify」を考える
- 第6回 動画撮影に適した光源とライティングを考える
- 第5回 デジタルカメラのためのオーディオインターフェイス「DC-R302」
- 第4回 未知の世界...音声、音楽、効果音
- 第3回 ムービー撮影ならではの単焦点レンズにこだわる
- 第2回 ゼロから覚えるのなら、「Final Cut Pro X」だ!
- 第1回 難しく考えず、スチル撮影の延長からスタート