2017年10月27日
筆者の友人の本田氏が「Timetable Creator」というソフトを作ってくれました。セミナーやイベントなどのタイムテーブルを制作するソフトなのですが、その出来を見て、「これに絵柄が入ったら絵コンテソフトとして使えるのではないか」と相談したら、かなり面白い(便利な)ものができたので紹介します。名前は「StoryBoard Creator」と言います。
多くの絵コンテソフトは「お絵かき」機能が充実していて、アニーメション制作などには便利なのですが、筆者が撮影しているミニマム動画(監督も撮影も時間管理も編集も自分で行なう)では、高度な「お絵かき」機能は必要ありません。これまで筆者は絵コンテを作るためにPhotoshopを使用していましたが、もっと手早くコンテ制作ができて、コマの入れ替えやシーンの追加といった変更も簡単にできるソフトが欲しかったのです。
この「StoryBoard Creator」は絵を描く機能を一切省き、コンテの絵は手持ちの写真画像などをドラッグ&ドロップで入れ込む方式としました。ロケハンをしていればその写真を使うのが理想的ですが、シーンに近いイメージをストックから探して代用したり、紙に描いた手描きの絵を取り込んだりして、全体のストーリーを組み立てます。
絵コンテ作成フリーソフト「StoryBoard Creator」
「StoryBoard Creator」の利用はwww.hellolab.comから
※下記にて
A ヘッダー
B ストーリーボード
C 撮影予定表
と3つに分けて解説しております。
Aヘッダー
各シーンの尺(秒)を入力すると、トータル時間を自動で計算してくれるのがちょっと良いところ。トータル時間が「予定の仕上がりの尺」をオーバーすると、赤文字で警告、何秒オーバーかを表示してくれます。
※警告についてはB ストーリーボードの⑤を参照
Bストーリーボード
コマを足す時は、「ストーリーボード追加用」のパートから「ストーリーボード」にコマをドラッグ&ドロップ。コマを削除する時はごみ箱にドラッグ&ドロップ。ごみ箱の中身を再度ストーリーボードにドラッグすることも可能。変更、追加、削除はとても簡単なので、撮影現場でも打ち合わせの時でも、絵コンテがさっと作れます。
C撮影予定表
最大の特徴はシーンごとに「撮影場所、撮影予定時間」などを入力しておくと、自動的に場所ごとに撮影シーンをブロックでまとめて、撮影予定表を制作してくれることです。各ブロックは並び変え可能、休息時間や撮影場所の移動時間も入力でき、絵コンテを作ると同時に、撮影当日の行程管理ができてしまう仕様です。
この機能は、動画のみならず物量の多いスチル撮影で「必要カットと撮影する順番」を検討する際にも、便利に使えます。筆者のスタジオでも、大量の商品撮影をする際、カット数とファイルネームの管理に大いに役立っています。
ブラウザの機能を使えばPDF表示、保存、プリントが可能
コンテ、撮影予定はPDFとしての表示、ブラウザの機能を使って保存、プリントが可能です。コンテPDFにはシーン、カット、尺、画像と「アクション・内容・台詞」の項目が記載され、撮影場所や撮影備考の項目は反映されません。一方、撮影予定PDFには全ての情報が記載されます。筆者の場合、コンテPDFはクライアントやモデルへの説明用、撮影予定PDFは撮影時の注意点や覚え書きなどの公開したくない情報も入れて使い分けています。
制作したデータはPDFで出力、印刷可能。コンテ(右)と撮影予定(左)がそれぞれ作られる。
動画撮影をするフォトグラファーのために「軽くて簡単で使いやすい絵コンテソフト」という位置づけで作った「StoryBoard Creator」。筆者の会社Labのサイトから無料でご利用できますので(その代わりほとんどサポートはありませんが)、興味のある方は使ってみて下さい。対応ブラウザはFirefoxかGoogle Chrome(IE、Safariでは動作確認していません)。ブラウザベースで起動するWebアプリケーションのため、OSへの依存もなく、一度画面が表示されれば、回線を切っても動作します。
> StoryBoard Creator www.hellolab.com
絵コンテという内容を考慮し、作業途中のデータ内容はCloudなどに保存されず、バックアップを自分のPCに保存する必要がありますが(ダウンロードフォルダーに保存)、機密性は高いと考えます。ただし、リロード、あるいはブラウザを終了するとデータが消えてしまうので要注意。こまめにバックアップを取りましょう。
※この記事はコマーシャル・フォト2017年10月号から転載しています。
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鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
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