2013年12月26日
私は現在、ノートブックタイプのMacBook Proをメインマシンにして、動画/スチルの撮影、編集、レタッチなどのほとんど全ての作業をこなしています。以前使用していたタワー型のMac Proは、バックアップ用のマシンとなっています。
理由はいくつかありますが、最大の理由はスタジオと自宅に2台のマシンを用意するより安上がりで、2台のマシン間でデータを移動する必要もありません(仕事の場所が変化する度に「データの移動」をする無駄な時間がかからない)。ついでに、ノートブックならロケなどの撮影にも持って行けますから、「どんなところでも、やろうと思えば仕事ができる」というおまけが付いてきます。余った時間を有効に使えるということはありがたいことです。
ノートブックタイプはデスクトップタイプに比べて非力で、動画編集などのプロのクリエイティブワークではメインに使えないというイメージもありますが、現在の私の仕事では、ほとんどストレスも感じません。
MacBook Proに
30inchディスプレイを繋げて使用
スタジオなど作業を行なう拠点に30inchのディスプレイを設置して、MacBook Proとダブルモニタで使用。私の場合はタイムラインを大きく表示し、タイムラインに並べていく粗編集は、イベントを小さなディスプレイ(MacBook Pro本体) に表示。微調整は、ビューワーを小さなディスプレイに表示して行なう。
CPUの速度とコア数がやや不足しているものの、それ以外では不足ない環境。
パソコンの作業を高速化するエレメントは、CPU、搭載メモリ、ハードディスクへのアクセス速度の3点に絞られます。最新Mac ProのCPUの8〜12Core(コア)には確かに魅力を感じますが、MacBook Proも「クアッドコアIntel Core i 7プロセッサ」であればそこそこに動作します。4Coreが8Coreになっても、スピードは倍にはならないのですから。
さらにMacBook Proはメモリーを16GB搭載できるようになったため、64Bit対応のアプリケーションにとって、メモリ上に展開する容量はそこそこ確保されるようになりました。
しかし、ノートブックタイプの最大の弱点は内蔵ハードディスク。「読み込み速度が遅い小型のハードディスクを使用しなくてはならない」ため、どうしてもデータアクセスが遅くなってしまいます。常にハードディスクにアクセスを続ける動画データ、Photoshopの仮想記憶、数GBのデータの保存と読み出し、LightroomのCashなどにとって致命的な欠点なのです。
私のMacBook Pro(15inch、Early 2011)も、ハードディスクタイプだったため、その点がネックでした。
そこで内蔵の記憶装置を可能な限り、「高速」で「大容量」のSSD(Solid State Drive:フラッシュメモリタイプのドライブ) に換装しようと思い立ちました。当初はインテル製のSSDを検討していたのですが、480GBが最大。ちょっとこれでは容量が少ないのです。その他の製品も、512GBまで。あきらめかけていたところ、ネットのMacパーツ専門店で、面白いものを発見しました。
MacBook Pro、Retinaディスプレイモデルに搭載されている SSDと同じ、Samsung製Apple採用モデルSSD 768GB で 「Serial ATA 6Gbps」のものです。
他にも大容量のものはあるのですが、10万円以内で容量が700GBオーバー、かつ高速なSSDはこれしか見当たらなかったのです。
現物はこんな感じ(写真上)。SSDですので、円盤が必要がないため、長さが7センチほどで重さはなんと16グラム。でもこのままでは換装できないため、わざわざ2.5inchのケースに入れて、もともと内蔵されていたハードディスクドライブと交換します。ケースの重さが約79グラム(計95グラム、写真右)。なんか本末転倒で、スペースももったいない気がします。
しかし効果はてきめん。OSの起動が16秒(アプリケーションが100個近く入っているにもかかわらず )。以前は、起動時間を待つのが嫌で、作業を終了しても電源は切らずにスリープにすることが多かったのですが、最近は、電源を落とすようになりました。Photoshop起動も5秒かかりません。動画編集も、Photoshopで5TBのデータをオープンするのに30秒ほどで済んでしまいます。
もしMacBookの買い換えを考えているなら、あらかじめ16GBのメモリーと768GBのフラッシュストレージが搭載されている15.4inch、Retinaディスプレイモデルがお勧めです。ちなみにメモリは自分で交換できますが、ハードディスクの換装はあくまで自己責任となりますので、念のため。
いずれそのうちに768GBのフラッシュストレージをミラーリング、なんていう世界が待っているのかもしれませんね。
MacBook Proにもともと内蔵されていた2.5inchハードディスク(750GB)と、今回導入したSSD(756GB)の速度を、ディスクベンチマークアプリ「Blackmagic Disk Speed Test」で検証してみた。
書き込み53.5MB/s、読み込み57.2MB/s。2.5inchハードディスクでは、そこそこのスピード。3.5inchのハードディスクならば、150MB/sは出る。
書き込み432.0MB/s、読み込み442.5MB/s。2.5inchHDの6倍以上、3.5inch ハードディスクに比べても約3倍というスピード。これならばヘビーな作業も充分こなせる。
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鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
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