2016年05月16日
ついに「ショーグン」が出てきました。「サムライ」から「ニンジャ」となり、とうとう「ショーグン」です。序列で言うと「あれ?」と思うのは日本人だけでしょう。「サムライ」より「ニンジャ」が後? あ、「ニンジャ」であっても「武士」という人も存在していたのかな?
余計なことはさておいて 「SAMURAI」「NINJA」とはATOMOS社製の外部レコーダーの名前。フルHD記録対応の「NINJAシリーズ」は、この連載の第33回でも取り上げましたが、上位機種、4K記録対応の「SHOGUN」が登場したのです。かなり以前からアナウンスされていたのですが、実機登場まで時間がかかったのは、フルHDに比較して4倍の面積の映像を記録するだけでもかなりの力業なのに、それを10ビットのProRes422で記録するための技術的なハードルが高かったのだろうと想像します(熱問題と転送速度ですよね きっと)。
一眼カメラ(GH4)に「SHOGUN」を装着 さすがに将軍は大きい
背面にバッテリー❶と、2.5インチSSDを専用キャリーケース❷で装着する。背面上部にはヒートシンク(この写真では左手前❸)があり、作動中はかすかにファンの音がする。非常に静かだが、無音室内での撮影では、マイクを「SHOGUN」から離してセットする必要がある。
パナソニックLUMIX GH4もちょうどよいタイミングで「NINJA BLADE」、「SHOGUN」へのスルー出力に対応し、「SHOGUN」は4K撮影が可能な一眼カメラSONY α7sとGH4両機種の受け皿となりました。カメラ単体では4K記録ができない「SONY α7s」にとって、唯一のバッテリー駆動可能な外部レコーダーと言っていいでしょう。
4Kデータともなると記録媒体の容量が問題となりますが、「SHOGUN」の場合は1TBのSSDを使用でき、ProRes422HQで記録しても2時間オーバーの記録容量があります。将来的には2TBのSSDも期待できるでしょう。
ただし筆者のMacBook Proの内蔵SSDが1TBなので、「SHOGUN」の1TBのSSDで容量一杯に動画を記録してしまうと、マシンにデータを取り込むことができません。苦肉の策として「SHOGUN」のSSDには半分ほど空き容量を残しておき、それを外部ディスクとしてマシンに繋げ、その空き領域にFinal Cut Pro Xのライブラリを作ってしまうというアクロバットな対応をしました。MacBook Proでも4K動画の編集はそこそこできるのですが、さすがに4Kの容量はいかんともしがたいものがあります。「SHOGUN」を使うなら高速大容量のRAIDストレージなどを検討する必要がありそうです。
フルHD表示、7インチの液晶サイズは外部モニタとしてもトップクラス
「SHOGUN」は単に4Kを記録できるだけではありません。外部モニタとしても、その表示部は7インチ、フルHD表示というスペックを持ちます。現状、多くの外部モニタは長辺800dpi程度。HD表示の「NINJA BLADE」では1,024ピクセルを確保しており、それはそれで高く評価していたのですが、「SHOGUN」は面積比でも表示可能画素数でもその約1.7倍。長辺で1,920ピクセルの広大な視認エリアを提供しています。
4Kとなるとピントのシビアさは通常のスチールに近づいてきます。正直な話、かなりのピント精度を出さなくては成り立ちません。4Kで広角レンズを付けて撮影し、これをフルHD、HDに部分的に切り取って使用しようとする時も同様で、「浅いピントでの撮影」はもってのほか。筆者自身、GH4を使用して撮影している時、その背面液晶の小ささでピントの確認が思うようにいかない状況が多くありました。でもこれなら致命的な「ピンぼけ」を起こさずに済みそうです。
画面のコントラストが高く、好き嫌いがあると思いますが、私は屋外の使用を考えればこれでいいと思います。確かに仕上がりのイメージとは異なりますが、とにかくよく見えます。
さらに嬉しいことに拡大表示機能として、実ピクセル表示(約2倍の表示)と、200%表示が可能です(4K/フルHD撮影時には100%表示のみ)。カメラ本体の液晶は全体表示にして、全画面を確認しながら、「SHOGUN」は実ピクセル、あるいは200%表示にして撮影できます。これもまた大きなアドバンテージで、これまでの撮影のワークフローを変えてくるでしょう。
※この記事はコマーシャル・フォト2015年5月号から転載しています。
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鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
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