2015年11月10日
パナソニックのコンパクトデジタルカメラ「LUMIX LX100」をテストしました。なぜこのカメラが気になったのかと言うと 筆者が動画撮影のメインに使っている「LUMIX GH4」と同じ4/3型イメージセンサー、処理エンジンを搭載。最も多く使用する標準域をカバーする焦点距離のレンズを装備。ファインダーは「LUMIX GX-7」と同等品。コンシューマカテゴリーではあるけれども、中身はトップクラスのカメラと同等。いざという時のサブカメラとして使えると予想したのです。
このコンパクトさで高性能。動画でもスチルでもサブカメラに最適
左:LUMIX LX100。コンパクトデジカメながらGH 4と同サイズのセンサーを採用。GH4でも定評のある「静止画用の空間認識オートフォーカス」「−4EVまでのAF動作」「カスタムマルチAF」「瞳・顔認識」など機能も搭載。筆者にとってはもう必須の「ハイライトシャドウ調整機能」が搭載されているのもありがたい。価格はオープンプライス(実売10万円前後)。
搭載するレンズは24-75mm(35mm判換算) F1.7-2.8。定評のあるマイクロフォーサーズ用交換レンズ「LUMIX G X VARIO 12-35mm / F2.8」(35mm判換算:24mm-70mm)と比較すると、レンズ周辺でやや解像感が落ちるものの、普通のスナップや動画では、問題ないレベルでした。F5.6まで絞ると良好です。ズーム比の中央にあたる25mm付近が、もっとも収差と解像感が良いバランスになっていたのは、個人的に嬉しい仕様です。
マイクロフォーサーズシステムの最大の長所は「小さいセンサーサイズのため、システム全体がコンパクトになること」ですが、小さなセンサーは高感度が弱点。少しでも明るいレンズが欲しくなるわけです。LX100のレンズは、広角側の開放値がF1.7で「1と1/3絞り」ほど明るいため、「センサーピッチの小ささによる高感度性能の限界」を1段以上もカバーしてくれます。
撮影性能も「静止画用の空間認識AF」「-4EVまでのAF動作」、「瞳・顔認識」など、GH4と同じ機能を搭載しています。もちろんRAWデータもはき出せます。
これで重量が400グラムというコンパクトさ。交換レンズ「G X VARIO 12-35mm / F2.8」が305グラムだから、レンズ単体よりも、わずか100グラム重いだけ。交換レンズの代わりにLX100を1台持って行っても、重量的にはさほど変わりません。さらにLX100の市場価格(オープンプライス)は10万円程度。「G X VARIO 12-35mm / F2.8」が、実売8万〜9万円で販売されていることを考えると(2014年11月末の情報)、交換レンズの代わりに「サブカメラをもう一台」という考え方もできます。
4Kで、動画も静止画も撮影
実際に舞台を撮影してみた。風景モードで彩度とコントラストを2段、シャープネスを4段落とした設定はほとんど後処理の不要な動画を記録してくれた。ISO上限付きオートが動画時は使用できないのが残念。マニュアルで撮影。取材協力:浅草ワハハ本舗 娯楽座
モデル:NANO
静止画性能の他、LX100の「売り」としては、コンパクトデジタルカメラながら4K動画撮影が可能なこと。ただし動画に関しては、GH4と比較して少々見劣りがします。ビットレートも4K/30pで100Mbps、FHD/30pで20Mbpsと低めの設定。撮影可能時間も、制限無しのGH4に対し、4Kで最大20分ほどです。このあたり、カメラサイズに制限された放熱や転送レートの関係だと思われます。音声入力インターフェイスがないのがとても残念でした。それでも「気軽に持ち歩けるカメラで、いざという時に4Kを撮影できる」のは魅力的です。
面白いのは4Kフォトモード。4K動画から静止画を切り出すためのモードです。通常、動画はシャッター速度を遅くして「1コマをぶらすこと」で映像を滑らかに見せます。ぶれていないことが良い条件となる写真側のリクエストとは相反するものなのです。しかしこの4Kフォトモードは、動画として見るとパタパタした映像ですが、最初から「通常の動画としては使わない」ことを前提に4K=800万画素で秒30コマという超高速連写を実現しています。
このカメラでスタジオでの商品撮影、モデル撮影はまずしません。しかしロケで超広角ズーム、明るい標準ズーム、望遠ズームをつけて動き回りたい時、中核にLX100を据えて、望遠側をGH4で固めるのがいいのではないかと考えています。ロケ、スナップ、イベント、舞台撮影や、動画をリクエストされた時は、静音モード(絞り開放であれば完全に無音)もあいまって、とても強力な「ツール」になってくれるでしょう。この小ささと軽さ、F値の明るさ、バランスの良い焦点距離は、普段使いのカメラとしても活躍してくれると思います。
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鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
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