2016年12月22日
USB接続、CPU内蔵でキヤノン、ニコンの一眼に対応
専用CPUを搭載し、USB接続されたカメラのプロトコルをiPad Airに受け渡す。本体の重さは290g。単三電池4本、または外部DC電源で駆動。iPad Air用/iPad Air2用がある。
マンフロットwww.manfrotto.jp
●対応カメラ
キヤノン:EOS-1D X/EOS-1D C /EOS 5D Mk III/EOS 6D/EOS 7D Mk II/EOS 70D/EOS 60D/EOS Kiss X70
ニコン: D4/D810/D800/D800E/Df/D610/D7000/D5500/D5300
マンフロットの「DIGITAL DIRECTOR」を使ってみました。本体だけ見ると何の機材なのかわからないのですが、iPad Airを装着すると、なるほど「iPad Airをデジタルカメラの外部ディスプレイにしてしまおうというものなんだ」とわかります。2048×1536ピクセルという非常に高精細でコントラストが高く、屋外でも見やすいiPad Airを、外部ディスプレイとして活用するというのは、素晴らしいアイデアです。
さらに「DIGITAL DIRECTOR」にはCPUが搭載されていて、USBでカメラと接続し、iPad Airをセットすれば、専用ソフトウェア(APP)でピントや絞りなどのカメラのコントロールが可能になる一眼デジタルカメラ用のビューアーなのです。しかも静止画、動画のどちらにも対応。
対応カメラはキヤノン、ニコンの主なデジタル一眼カメラ。早速、ニコンD810に繋いで電源投入。アプリをインストールして起動すると、驚くほど簡単にビュー画面とカメラコントロールが立ち上がりました。
iPad画面でカメラをコントロール
「DIGITAL DIRECTOR」ソフトウェアの画面。右上のスライドボタンで、静止画/動画のモード切り替えを行なう。ブレビュー画面右には、露出補正、ISO感度、シャッタースピード、絞り値、フォーカスのコントロールレバーが配置されている。カメラ側の設定が「プログラム」や「オート」の場合、自動的にロックが掛かる。カメラの仕様上アクセスできない場合も同様。
iPad Airに表示されるAPPのメイン画面は、中央にライブビューウィンドウ、右に露出補正、ISO感度、シャッタースピード、絞り値と並び、その下にフォーカスのコントロールレバーが配置されています。ライブビューウィンドウの下にはヒストグラム表示(輝度のみとRGB表示が切り替え可能なのでかなり嬉しい)、音声のレベル表示などが配置されています。
操作してすぐに感じたことは、Wi-Fi経由のカメラコントロールと比較してレスポンスが良く、操作に「まったり感」がない。「ノートPCやディスクトップPCとデジタルカメラを繋いで撮影する」感覚を、コンパクトなiPad Airのシステムで実現しているところが凄いところです。
ただし、撮影した動画を記録する外部レコーダーとしては使えません。静止画はiPad Airに記録可能ですが、動画はライブビュー表示だけ。再生も不可。接続がUSB端子であること、iPad Air自体の容量の問題で、しかたないことかもしれません。
使いやすいのは、プレビュー画面でのタッチフォーカス。画面内の青くて丸いターゲットをタップすると、その位置でオートフォーカスが働きます。カメラ自体の性能にも左右されますが、これがかなり欲しいところで効いて、しかも高速です。フォーカスレバーを使ってピント位置を変更することも可能。この場合は画面左下に配置された虫眼鏡で画面を拡大できるので、ピント合わせをした瞬間にその見え方を確認できます。
接続するカメラによって動作制限があるので、その点は注意が必要(マンフロットのサイトで確認を)。たとえばニコンのカメラの場合、「DIGITAL DIRECTOR」をUSB接続すると、HDMI端子からの映像出力が切れてしまいます。HDMI出力が使えれば、カメラコントロールは「DIGITAL DIRECTOR」で行ない、HDMI出力から外部レコーダー記録や、クライアント確認用モニタへの映像出力ができるのですが 。キヤノンカメラの場合は問題なくHDMI同時使用が可能です。
気になっていた動画撮影中のコントロールに関しては、おおむねどんな機種でも、「露出補正」や「ピント調整」が可能。撮影中(録画中)に、カメラから離れた位置から、iPad Airのタッチパネルでピント位置を変えたり、露出を調整できます。(「絞り値」「シャッタースピード」「ISO感度」「ホワイトバランス」などのコントロールは、機種によって動作が異なります)。
USBケーブルを伸ばせば、最大10メートル、カメラから離れてコントロールできます。ブツ撮影などでは、iPad Airでライティングや構図を確認しながら被写体のすぐそばで作業したり、カメラを非常に高いところにセットして撮影をしたり、「DIGITAL DIRECTOR」を使ってできることは沢山ありそうです。
※この記事はコマーシャル・フォト2015年11月号から転載しています。
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鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
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