2016年02月08日
筆者はこれまでパンニングなど動画撮影のカメラワークを可能な限り封印してきました。何度もトライしてみましたが、なかなかうまくいかないからです。特に初動と停止時の滑らかさが、とても難しい。私の経験不足はもちろんですが、動画用の雲台が、通常は大きく重いカメラを搭載した状態で滑らかに動作するように設計されているのも一因でした。そこで最近登場した「軽量の一眼レフを搭載することを主眼にした動画用雲台」を試してみました。
マンフロット「502シリーズ」「500シリーズ」で一眼ムービーシステムを組む
それはマンフロット社の「ブリッジングテクノロジー」採用のプロフルードビデオ雲台シリーズ。ブリッジングテクノロジー雲台には「大きく重いムービーカメラ用」から、一眼ムービーなど「小さく軽いカメラに最適な雲台」までサイズ別に4つのタイプがあり、雲台中央部が空洞になっていることが特徴です。カウンターバランス機構や動作部を効率よく左右の橋下駄部分に収め、その間を「くりぬいた」ため、動作機能を保ちながら、雲台を軽く仕上げることができたようです。オイルフルードで滑らかに動作するパンとティルトは、ブレーキの掛かり具合を大きなダイアルを廻して自在にコントロールすることが可能です。
今回、メインでテストしたのは35ミリ一眼カメラには充分なサイズと耐荷重ながら、比較的小ぶりで扱いやすそうな「502シリーズ」です(シリーズの中では小さい方から2番目。ハーフボールタイプの「MVH502A」とフラットベースの「MVH502AH」があります)。全てアルミで作られた雲台は、カウンターバランスシステムのおかげで、カメラセット時にも勝手に下を向いてしまうことはありません。オイルフルードとボールベアリングによるパンとティルトは素晴らしく滑らかで、カメラの重さとその時のパンニングに応じて自在にテンションを変更できるため、私でも「そこそこ滑らかな」パンニングが可能です。
広いトッププレートのおかげで横に広い一眼カメラも安定してセットでき、長いスライディングプレートはカメラの重心を上手にバランスしてくれます。
ティルト軸とパン軸のロックノブは、それぞれ独立しているため、パンだけが必要なシーン、ティルトだけが必要なシーンに応じてセッティングを変更できます。自動車の設計から着想されたというディスクブレーキは効きが良く、軽く廻しただけでしっかりロックされます。
もっとも嬉しかったのはイージーリンクコネクターが2個、雲台の側面に配置されていること。アームを介して外付けモニタやマイクなどを、カメラではなく雲台に付けられます。筆者は大げさなリグを付けて撮影することが好きではなく、ついついクランプ等を使用して外付けモニタを三脚本体に付けてしまうことがありました。ただ、その場合、パンやティルトをしたときに、モニタが明後日の方を向いてしまうことがよくあるのですが、雲台にセットされていれば常にカメラと同じ方向を向いてくれます。このアイディアには脱帽です。
製品についての詳細はwww.manfrotto.jp
同時にもっとも小さな「500シリーズ」も使ってみました。こちらは筆者も愛用していた701HDVミニビデオ雲台の後継機種です。固定式ですがバネ荷重カウンターバランスも付いていますし、ティルトとパンのロックも独立してあります。テンションコントロールが省かれ、イージーリンクコネクターも1個と簡略化されてはいますが、動きは上位機種並み。この雲台でもっとも気に入ったのはカメラに付けるプレートの脱着方法。雲台の真上から押し込むようにセットできるのです。
2台を使ってみて、サイズ的には「500シリーズ」でも一眼ムービーであれば問題なく使用できるだろうという感想を持ちました。何といっても小さいし、軽い。カメラの脱着もやりやすく、三脚に付けたり外したりが多いシーンでは軍配が上がりそうです。ただし、パンやティルトを「素早く動かす、じっくりと動かす」というコントロールをしたければ「502シリーズ」を選択するべきでしょう。
ブリッジングテクノロジー雲台シリーズ、全4タイプ
撮影・取材協力:浅草ワハハ本舗
wahahahompo.co.jp/asakusa_wahaha/
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鹿野宏 Hiroshi Shikano
デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。
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