一眼ムービーなんて怖くない!

第1回 難しく考えず、スチル撮影の延長からスタート

解説:鹿野宏

2009年、キヤノンEOS 5D MarkⅡ に続きEOS 7D が発売。2010年末にはやっとニコンから「使える動画」を記録できるD7000が発売され、早くも1年が過ぎようとしていますが、私も一昨年前までは「絵画を含めて平面で育ってきたカメラマンだから、今更動画なんて…」と言っていました。しかしデジタル一眼レフカメラが動画機能を備えて、アマチュアが持っているカメラでもきれいな動画が撮れるようになった時、私たちフォトグラファーは、「動画は専門じゃないんで…」なんて言っていられるでしょうか? 一眼レフカメラで動画を撮れてしまうのだから、必ずオファーが来ます。その時「私は動画、できません」では、そのお仕事はきっと、静止画の撮影も含めて別のカメラマンに移行してしまい、二度とお仕事は来なくなるでしょう。

一眼ムービーは、私たちフォトグラファーに今後どのような関わり合いを見せていくのか……などと議論している余地はありません。私は動画を撮り始めました。

私のように「動画を始めるべきか」悩んでいるスチルフォトグラファー、もうすでに手探りで始めている人も多いと思います。この連載では私の動画への取り組みや、活用している機材、ソフトを紹介することで、「スチルフォトグラファー」にとっての動画撮影のハードルを下げられればと考えています。

私の動画/スチル撮影セット

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これが私の動画撮影用ロケセット。カメラ2台とレンズ数本。レンズは、扱いやすくピントがピーキーでピントリングの動作が滑らかなフォクトレンダーを中心に構成。


照明はコンパクトなタングステンライトを中心に使う。その他、外部モニタ、マイク、アンブレラ、レフ板など。リュックタイプのバッグとスタンドバッグ1つですべて収まる。こんなもので動画が撮れるのか? とよく聞かれるが、今のデジタルカメラの性能のおかげで、充分に撮影できる。

さて、私が動画撮影の仕事を始めるにあたり、まず考えたことは「スチルフォトグラファーとしてできること、スチルフォトグラーだからできることをしよう」ということです。現在、映画やコマーシャルの世界でも、デジタル一眼ムービーは多用されています。でも、そういった世界と同じ動画を撮影しようとすると、それなりの機材やスタッフが必要。その世界だけのセオリーやノウハウ、方法論が存在して、おいそれとは入っていけない世界です。

そこでまず提案したいのが、今までの撮影スタイルをできるだけ維持して撮影すること。私たちができる動画の仕事を探すことです。

私の現時点のスタンスを紹介すると

ライティングはタングステンやHMIといった定常光を使用するが、アンブレラなどのこれまで使っていたアクセサリーは驚くほど便利。

「写真が動くこと」それが私たちフォトグラファーがまず考えるべき動画のスタイルだと思います。それならば動画のスタッフが行なう照明ではなく、フォトグラファーがこれまで培ってきたライティングをそのまま使えばいい。

アンブレラはどこでも大きな面光源を作ることができるとても便利な照明アクセサリーです。レフ板もこれまで使ってきた物を使えばよいのです。

パン、ズーミングなどのいわゆる動画の基本とされるテクニックは使わない。

ザハトラーなど、一眼レフカメラで動画的レンズワークができるアタッチメントもありますが、本来重量が重い大きなカメラを搭載したときにバランスがよくなるように作られていますし、それなりのお値段もします。今後は必要になるかもしれませんが、パン、ズーミングをしないと決めれば、味のある単焦点レンズも使える。そこはフォトグラファーとしての経験やセンスが活かせるところです。

さらにパンするためには、その全ての環境を照明しなくてはなりませんが、固定で撮影する場合はこれまでのスチル同様の照明で充分です。

動画撮影でもカメラ回りはシンプルに

img_products_dslr_nofear01_02.jpg タングステンでも蛍光灯でも肌色が綺麗に撮影できるニコン D7000 をメインで使用。1280×720pixel、30bps撮影できれば充分なシーンが多いためだ。ただしこのままでは背面液晶が見にくいので、液晶モニタ、ソニーCLM-V55を装着することが多い。マイクは小型でそこそこ性能のよいニコン純正のマイク ME1。レンズは NOKTON 58mm F1.4 SLIIをつけている。


同時にサブで使用するのはソニー製のNEX-5N。こちらも専用のマイクを装着。この液晶は見やすく、しかもピーキング機能がついているので撮影しやすい。このコンパクト性と動画性能の高さは、私の心強い味方だ。レンズはアダプターを使って ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical をつけている。

同録はあくまでできる範囲で。

音声は動画の中でとても重要な位置を占めていますが、音声を扱うのは、私たちフォトグラファーにとって初めての経験です。場合によっては専門のスタッフにお願いした方がよい場合があるでしょう。

でも最低限の約束事はきちんと憶えておいた方がいい。特に音声、音楽をアフターレコーディングできる場合は、フォトグラファー個人レベルでもかなりできることは多いと思います。また、制作費用を抑えるためにはアプリケーションやよいマイク、シーンにあった機材を選択することで、ある程度の同録の仕事も可能になります。

以上のような考え方でいけば、撮影機材も非常にシンプルになります。

そんな簡単にできる動画の仕事なんてあるのか? という疑問もあると思います。ところがあるのです。

今、Webやデジタルサイネージでは、動画のニーズが高まっています。カタログや雑誌、駅貼りポスターなどの印刷物の仕事が頭打ち、減少している一方、2、3分から10分程度の短い動画の需要(社内教育、デジタルサイネージ、インターネット上の製品紹介、企業関係のインタビュー記事、使用説明書、マニュアル、取材物等々)は今後、唯一増加が見込めるお仕事。特にWeb の世界では静止画の需要は思い切り減って、その分「動画需要」が驚くほど伸びているのです。

この事実は、これまで私たちが撮影していた静止画が動画に置き換えられていることに他なりません。

鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾運営委員としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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